表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したけど、スキルが『Excel』だけだった。でもマクロ組んだら魔法より強かった件  作者: まこーぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/51

第47話:古代の遺産とマクロ建造 〜空飛ぶ豪華客船〜

 リゾート都市「エル・ドラド」の建設が進む中、俺は古代遺跡の最深部、`Zone E: Hangar (格納庫)` に籠もっていた。

 そこは、広大なドーム状の空間だった。

 天井は高く、床には複雑な魔法陣(誘導路)が描かれ、中央には巨大な「骨組み」が鎮座している。


 全長300メートル。

 クジラの骨格を思わせる、流線型の金属フレーム。

 古代文明が作りかけで放棄した、未完の飛空艇だ。


 `[Object]: Sky Ark (Prototype)`

 `[Status]: Incomplete (Progress 40%)`

 `[Missing]: Engine, Hull, Control System`


 未完成。エンジンなし、外装なし、制御系なし。

 ただの巨大な鉄屑だ。

 だが、俺の目には、これが世界を変える「空の物流革命」の象徴に見えていた。


「……これを飛ばすのか? 正気かよ」


 後ろでカイルが首を傾げている。

 彼は遺跡から回収したスクラップの山に腰掛け、リンゴをかじっていた。


「正気ですよ。海路では往復二週間かかりますが、空路なら二日です。

 鮮度の高い魚介類、珍しい果物、そしてVIP客の輸送。

 これを実現するには、空を飛ぶしかありません」


 俺は空中に `[設計図ウィンドウ]` を展開した。

 古代の設計データは破損していたが、Excelの `[データの補間 (Interpolation)]` 機能で、欠損部分を現代の航空力学に基づいて補完する。


 `Sub Repair_Design()`

  `For Each parts In Ship_Frame`

  `If parts.IsBroken Then parts.Repair(Level:=High)`

  `Next parts`


 まずはフレームの修復だ。

 俺は遺跡内に散らばるミスリル合金の残骸を集め、マクロで溶解・再構築させた。

 ドロドロに溶けた金属が、生き物のようにフレームに絡みつき、欠けた骨格を補強していく。

 数十分後、銀色に輝く完全な骨組みが完成した。


「次はエンジンだ。心臓部がないと動かない」


 俺は格納庫の隅にある、埃を被った巨大な円筒形の装置に目をつけた。

 `[Gravitational Engine (重力エンジン)]`。

 理論上は無限の浮力を生み出す夢の機関だが、肝心の動力源(燃料)が枯渇している。


「魔石か? それとも電気か?」

 カイルが聞く。


「いいえ。もっと効率的で、クリーンなエネルギーを使います」


 俺は懐から、一枚の契約書を取り出した。

 以前、魔王軍の四天王イフリートと交わした「エネルギー供給契約書」だ。


 `[Contract]: Thermal Energy Supply`

 `[Provider]: Ifrit (Fire General)`


 イフリートの生成する超高熱の炎(魔力)を、特殊なクリスタルに封入し、バッテリーとして利用する。

 俺は通信石でイフリートに連絡を取った。


『よう、工藤か。何の用だ? 今、人間の街でステーキ屋を経営する準備で忙しいんだが』


「ステーキ屋もいいですが、特注のバッテリーを送ってください。出力最大で」


『へっ、任せとけ! 特大のを送ってやる!』


 数分後、転送魔法陣が光り、真っ赤に燃える巨大な魔石が転送されてきた。

 熱い。近づくだけで眉毛が焦げそうだ。

 俺は `[断熱処理]` を施したマニピュレーター(魔法の手)で魔石を掴み、エンジンの炉心にセットした。


 ゴゥン……!


 低い唸り声と共に、エンジンが覚醒した。

 重力制御装置が稼働し、300メートルの巨体が、ふわりと数センチ浮き上がった。


「浮いた! 本当に浮いたぞ!」

 カイルが飛び上がる。


 動力は確保した。

 最後は、外装と内装だ。

 ここが俺の腕の見せ所だ。

 ただの輸送船ではない。「空飛ぶ豪華客船」にするのだ。


 俺は `[デザインモード]` に切り替えた。

 船体の上部には、全面ガラス張りの展望デッキ。

 客室は全室スイート仕様。

 レストラン、バー、そしてカジノも完備。


 `[Material]: Enhanced Glass (強化ガラス)`

 `[Style]: Art Deco (アール・デコ調)`


 資材が足りない部分は、森の木材や、魔王城から「余剰在庫」として送られてきた高級家具で代用する。

 俺は指揮者のように手を振るった。

 `Execute Build Macro`。


 カンカンカンッ!

 目に見えない大工たちが一斉に作業を始めたかのように、船体が組み上がっていく。

 銀色の流線型のボディ。

 翼のようなスタビライザー。

 そして、船首には女神リリムをモデルにしたの像。


 三日三晩の不眠不休の作業の末。

 ついに、それは完成した。


 **飛空艇『アーク・ロイヤル』**


 圧倒的な存在感。

 古代の技術と、現代(俺の前世)のデザインセンスが融合した、空の女王。


「……美しい」

 ミリアがうっとりと見上げている。彼女は内装のコーディネートを手伝ってくれた。


試運転テストフライトと行きましょうか」


 俺はブリッジ(操舵室)に入った。

 そこは、魔法陣と計器類が並ぶ、コックピットのような空間だ。

 俺はキャプテンシートに座り、マイクを握った。


『本日はアーク・ロイヤルにご搭乗いただき、ありがとうございます。

 これより、王都への処女航海を行います。

 当機は全自動操縦(マクロ制御)となっておりますので、皆様はどうぞおくつろぎください』


 エンジン出力、上昇。

 反重力フィールド、展開。


 ズズズ……フワッ。


 巨体が軽々と宙に浮く。

 格納庫の天井が開く(これも修理した)。

 青空が見える。


「発進(Launch)!」


 俺がエンターキー(空中のボタン)を叩くと、船は猛スピードで空へと駆け上がった。

 G(重力加速度)がかかるが、内部の慣性制御が働き、揺れはほとんど感じない。


 窓の外。

 眼下には、ジャングルの緑と、建設中のリゾート都市、そして青い海が広がっていた。

 カモメたちが驚いて逃げていく。


「ははっ! 最高だ! 世界を見下ろしてる気分だぜ!」

 カイルが窓に張り付いている。


 俺は航路を「王都」に設定した。

 高度3,000メートル。巡航速度800km/h。

 これなら、王都まで半日だ。


 王都の上空に、この巨大な船が現れた時の、人々の顔が見ものだ。

 そして、ヴァルザック大臣や国王陛下に、新大陸の特産品(醤油、トロ、熱帯フルーツ)を届ける。

 これが、最強の「営業ツール」になるはずだ。


 `[Log]: Flight Stable`

 `[ETA]: 6 hours to Capital`


 俺はオートパイロットに切り替え、コーヒーを淹れた。

 空の上で飲むコーヒーは、また格別だ。


 だが、俺たちの快適な空の旅は、そう長くは続かなかった。

 王都の手前、山岳地帯の上空で、レーダーに「巨大な反応」が現れたのだ。


 `[Warning]: Unknown Object Approaching`

 `[Size]: Colossal (超巨大)`

 `[Speed]: Mach 2`


 なんだ?

 ワイバーン? いや、もっと速い。

 ドラゴン?

 俺がモニターを凝視すると、雲海を割って、伝説級の怪物が姿を現した。


 **『天翔ける古龍エンシェント・スカイ・ドラゴン』**


 全長500メートル。

 白銀の鱗を持ち、六枚の翼を広げた、空の王者。

 それが、縄張りを荒らされたことに激怒し、ブレスを吐く構えを見せていた。


「……おいおい、テストフライトでラスボス遭遇かよ!」

 カイルが叫ぶ。


「想定の範囲内リスクです。……総員、戦闘配置!

 アーク・ロイヤルの『迎撃システム』を起動します!」


 俺はコンソールを操作した。

 この船は、ただの客船ではない。

 元・軍用艦だ。武装オプションも、しっかりと復元してある。


 `[Weapon System]: Online`

 `[Target]: Ancient Dragon`


 空の覇権をかけた、ドッグファイトが幕を開ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ