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エンマ様は襲撃された2

はい、こんにちは。エンマです。皆さんお元気ですか?


いま私たちは無間地獄の第2層にいます。辺り一面雪景色で、夜空には巨大なオーロラが揺らめいていてとてもきれいです。ですが気温はー10度、最大で―50度ほど下がってしまうような場所です。


そしてつい先ほど第一層を抜けた直後、待ち伏せにあい毒矢を食らっちゃって私はうまく動けません。今はハルに抱えてもらい何とか逃げています。


「はぁ、はぁ……エンマ!大丈夫??」


ハルの息は切れ、吐く息は白く凍るようだった。


「全……然、大丈夫じゃ……ない」


しびれで口がうまく動かせず、私の声はカスカスで掠れてしまう。 私は今、指先がすこーし程度にしか動かせないため、できることといえばハルに魔力をながして身体能力を上げさせることくらいしかできない。


私、一応は閻魔大王だったんだけどな。情けねえよ……。


この無限に再生できる地獄では、最強の武器は毒であるといわれている。毒を食らってしまえば、どんなに再生しても体内に毒が残ってしまうため、毒を体内から吐き出さないかぎり万全になることはないのだ。


「ハル、私のことはお姫様だっこじゃなくて、背中負いでおぶって盾にしてもいいんだぞ。ハルに当たった場合、どちらも走れなくなって詰んじゃうよ」


必死に走るハルをこれ以上危険に晒したくなかった。


「……いやしないよ!!」


ハルは一瞬で強い拒絶を示した。


「それより僕は一体いつまで歩いていればいいの?」


「わからない!!」


「そんな自信満々に言うなよ」


と言われましても、私自身ここらへんの土地勘が一切ないため本当にどうしようもない。 ……でも何とかしないと。

炎をだすにしても、周囲が冷えているせいで一瞬しか出せない……。


最初不意打ちを食らった時、急いでハルに魔力を通して炎の弾を出そうとしたが、いきなり温度が低い場所で使おうとしたためか、炎の弾を宿そうにも一瞬しか出すことができなかった。 でも、やるしかない。ここでやらなければ、時間の問題だ。


「ハル、一か八かだけど、手を地面につけて」


「でもそれをしたら……」


立ち止まる一瞬で、追いかけてくる悪魔たちの矢の餌食になる。


「失敗したらもちろん毒矢の餌食。でも、ここでやらないと時間の問題でしょ」


ハルは覚悟を決めたようで、私お姫様抱っこからおんぶする形にして地面に手を触れた。私も全力でハルに魔力を通す。 追いかけている連中もチャンスと言わんばかりに弓矢で狙いをつけ、放ってくる。私をおんぶで盾にしているためハルには当たらず、私に直撃した。


「……ぐ、うぐぅっ!」

歯を食いしばり、痛みに耐える。

私の呻き声を聴いたハルが一瞬こちらを振り向く。


「気にするな、集中しろ!」


ハルの手から、一瞬だけ白く激しい爆発がおこった。辺りに積もっている雪が霧のごとく辺りに散っていく。雪煙に乗じて、私たちはなんとか近くで見つけた洞窟に身を隠すことができた。


私はまだ全身から毒がぬけておらず、仰向けのまま寝ていて、隣でハルが座って荒い息を整えている。毒がぬけるのにかかる時間は1時間程度だ。かろうじて口は動けるが体が全く動けず、かなり、かなり間抜けな姿になっている。


……全く動けん。これじゃあどっちが主人かわからないな……。


「はぁ、とりあえず何とかなったね」


ハルは疲労困憊といった様子で呟いた。


「こ、かか……」


だめだ、麻痺してて活舌が死んでる! ハルも急に何を言ってんだこいつという顔をしていた。


「こかか?」


本当は「これから寒くなるからやり過ごそう」って言いたかったのに。 恥ずかしくて思わず顔を赤面させてしまう。


「あ!ごめん、もしかして毒で今しゃべれなかったのか」


ハルがようやく理解してくれたので、私は力いっぱい首を縦に振った。

「「はずかしいいいいいいいいいいいいい」」


そして1時間後。


徐々に手足が動くようになり、元通りになることができた。


「よし、完治!」


私は勢いよく飛び起き、そのままハルを抱き上げた。


「あの、完治したからっていきなり抱っこするのは辞めてほしいのだけど」


現在、私の小さい腕でお姫様抱っこをしている。小さい子にお姫様抱っこされるのがハルは恥かしいのか、顔が少し赤かった。


「ふふん仕返しだよ仕返し!どっちが主かはっきりさせとかないとだからね!」


「早くおろしてー」


しばらくし満足してからハルをゆっくり地面に置いた。


「はぁ、それでこれからどうするの?さっき外見たら猛吹雪だったんだけど」


この2層は夜は猛吹雪で気温が一気最低気温になる。


「というかなんで太陽があるの?ここって一応塔の中でしょ」


ハルが、外の空を見上げて問いかけた。


「説明うまくできんけど、無間地獄は割と何でもありって認識でいいよ。」


説明を放棄した私にふーんとハルは何とか納得できたようだ。というか、ここでは物理法則が狂っていることにようやく慣れてきたようにも見える。

…だって説明できないんだもん。


「それで、これからどうするかだったよな。第2層の3か4に、私の手錠を破壊できるかもしれないやつがいるから会いに行こうと思う。私がこの無間地獄に来るずっとまえからいて、頼りになるばあちゃんだよ」


私がここにいた時、よく世話になった人でもある。ばあちゃんは機械に詳しく、たくさんの画期的な発明もしている。ばあちゃんならもしかすると、この手錠のことについて知ってるかもしれない。


「……なんかおばあちゃんが機械に強いイメージが全然わかないんだけど」


おそらく反応を見る限り、ハルはばあちゃんに対して勘違いをしてるようだ。後にわかるだろうと、とりあえずおいとくことにした。


「とりあえず今日はここで吹雪が止むまで一旦寝ちゃおうか」


洞窟を照らしていた炎を消し、私たちは寝ることにした。


しかし当たり前だけど、洞窟の地面は馬鹿みたいにカチカチなため、寝れるわけがなかった。


「エンマー起きてる?」


「……起きてるよ」


どうやらハルも寝られないようだ。まぁ仕方ないか。


「寝られないし、軽く話しとくか」


ボンッと私の指からろうそく程度の光を出し、私とハルの間にそっと置いた。


「これが消えたら今日は寝よう。そういえばここにきてそうそうに襲われちゃったから気づく暇もなかったと思うんだけど、寒くなかったでしょ」


「あー確かに!あまりになんも感じないから全然分からなかったよ。それでなんで暖かいの?」


「それは、私の血だよ」


「血?」


「ハルの体は今、7割が契約により私の血で満たされている。私の血は常に体温を一定にする仕組みがある。今ならなんと、ウイルス、細菌、ほかにも諸々を自動的にはじく効力がある!」


「おぉおおお!!」


ハルは控えめに拍手をする。


「はい、次。ハルも何か言いたいことある?」


「あ、交互に話題出してく感じね」


何を離せばいいか、ハルは少し考え始める。数秒し、


「あ!なんで一層の試練が残虐性を見せることが合格の条件なの?普通逆じゃん。ここが罪人を閉じ込める場所なら善性をみせるべきじゃないの?」


「うーん、それかぁ。お前と直接関係はない話だからつまらないかもよ。それでも気になるなら話すけど」


「気になる」


「……この無間地獄が閉ざされている前は、罪の重たい悪魔の監獄としてつかわれたってのはわかるよな」


「あーうん、言ってたねそんなこと」


「でも無間地獄ができたのとは、全く違う使われ方をされてたんだよ」


「全然違う使われ方ぁ?監獄以外にいったいなんの使われ方があるっての?」


それはそうだ。ここまで過酷で、かつ人殺しなどの罪を犯したものが常に近くにいる場所が、監獄以外に使われ方があるとは思わないだろう。


「無間地獄は本来、閻魔大王を選定するための試練なんだよ」


「……え?どういうこと?」


ま、そうなるよね……。そもそもこれ自体ハルとは一切かかわってなかったことだから、理解するのは難しいだろう。


「まーそうだな、とりあえず質問に答えてくよ」


質問形式で答えていけば確実に理解してもらえると思い、ハルからの質問を待つことにした。しばらく悩み、


「はい!」


とハルが元気よく手を挙げる。


「どうぞ」


……ノリノリだな。


「つまり試練は、閻魔大王になるのに向いていることを確かめるってことですか?」


「おお、正解。あれは対象の悪魔の残虐性、そしてたぶん精神の強度とかかな」


私が一層の試練を受けるときどんなことがあったのか覚えていないため、断言はできなかった。


「はい!」


またしても元気よくハルが手を挙げる。


「どうぞう」


「つまり、無間地獄をでれば自動的に閻魔大王になるってこと?」


「そのとおおり!無間地獄の出口には、閻魔大王の力を扱える王冠が手にはいるんだ!」


閻魔大王の王冠の効力はえげつなく、持つだけでどんなに弱い悪魔でも最強になれるといわれるくらいには凄い代物である。


「あ、でも今の無間地獄に王冠はないけどね。だって私がここを出た時に持ち去ったから」


「あ、そっか。もしかしたら僕も閻魔大王になれるかもって思っちゃったよ」


「いや、お前にさせるわけないだろー」


冗談交じりに笑いあう。


「……はい!」


納得したようで再びハルが手を挙げる。


「どーぞ」


「なんで無間地獄をでたものを閻魔大王にするってことにしたの?」


「あーと、たしか代16世代の閻魔大王だったか……そいつが、次の閻魔大王はすべてのものに平等にチャンスをあたえるとかいってこの無間地獄って決めたんだよ」


「ほえーそれでどうなったの?」


「ま、結果から言うとその無間地獄を突破できたものは誰一人としていなかった。結果、その後の代の閻魔大王たちは全員力がただ強いやつが就任する形になり、閻魔大王の王冠による本来の力を使えるものは誰もいなくなったんだよ」


少し説明が長くなり、ハルが眉間にしわを寄せていた。


「あ、あとついでなんだけど。閻魔大王としての本来の力を持ってない大王たちは、強い悪魔を閉じ込める檻としてこの無間地獄をつかったわけだ。説明はだいたいこんなもんかな」


まぁ、もっとついでにいうと、閻魔大王としての本来の力がなくなってしまったせいで天国との門が開き、戦争が勃発したわけだ。これを言うとハルが混乱すると思い、言うのははやめておいた。


ふと炎をみると、数分で消えそうなくらいには小さくなっていた。


「なるほど、だいたい分かったかも。それでエンマがこの無間地獄を一番最初に抜け出した人なの?」


「そんな感じだね。あ、そろそろかな。タイミングもいいね」


私とハルが挟んでいた炎は、フッと音もなく消えてしまった。


「それじゃあ、お休み」


そのまま私たちは、固い床の上で就寝した


だいぶ仲が深まってきましたね。無間地獄の正体もわかってきたし物語としての基盤部分は一通り乗せられたと思います。次回もよろしくお願いします!

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