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ハルは試練を受ける 2

山の頂上につくと、そこには廃墟が連なっていた。ボロボロのビル、屋根が吹き飛んだ家。僕たちは唖然として立ち尽くす。


「お前らどっからきた?」


呆然としている僕たちの後ろから、声がかかる。そこには軍人のような恰好をしている大柄な男がいた。ヘルメットをかぶっていて顔は見えない。


始めてみた村以外の人に僕たちがおびえていると、


「す、すまないね。子供相手にすこし圧をかけてしまったようだ」


軍人はかがんで僕たちの目線に合わせ謝ってくれた。


「え、えっと、おじさんは誰?」


「あぁ、俺は見た通りしがない軍人だよ」


「えっと、あの街ってずっと前からあんなだったの?」


「ん。あれ?まあそうだな、ずっと前からあんな感じだよ。5、6年前くらい前かな」


「そうなんだ」と僕はとても苦しくなる。僕たちがずっと期待していた、楽しみにしていた都会は、存在していなかったことがとても信じられなかった。


すると隣にいた友達が時計を見るなり、


「もう帰らないといけない。ごめん」


「ん?あぁそうかい。気を付けて、もう暗くなり始めているからね」


手を振り軍人とお別れをした。


僕たちはすぐにその場を離れ下山していく。その間、互いに無言で何を話せばいいかわからなかった。しばらくし、足を止めて話を始める。


「今日のことなんか夢みたいな一日だったね」


「悪夢だったけどね」


「村のみんなはなんで今までこのことを隠していたのかな」


「帰ったら聞いてみよう」


帰りは意外とすんなりいくことができ、日が落ちるまでに帰ってくることができた。


「「おかえりなさい」」


村の入り口でみんなが出迎えてくれた。どこかしんみりとした雰囲気をしており、どうやらみんなあの事を知っていたらしい。


「じゃあ、あとで村長の部屋で大切なお話をしようか」


その後軽い宴があり、僕たちはそのあと村長の部屋へ行くことになった。


「はいいらっしゃい、今日はお疲れ様だね。」


村長がやさしく出迎えてくれた。手前にある座布団に座るように言われる。そして僕たちの顔が曇っているのに気づいてくれた。


「まぁ言いたいことはわかる。これから説明をするから」


村長はゆっくりと話しを始める。かなり長くなり1時間弱話は続いた。要約すると、僕たちがいた国はとっくの昔に戦争によりほろんでいる、という話だった。そして何とか逃げてきた人たちで村を築いてきた。とのことだった。この村の周囲が森で茂っていたのも、空から見られないようにするためだったらしい。


「成人してからじゃないと話の実感がわかないだろうということで、今まで話せなかった。変な期待をさせてすまないね。」


最後に村長が謝りを入れた。


「もう寝なさい、今日は疲れただろ」


外に出ようとドアノブに触れた瞬間、銃撃音が聞こえてくる。何事だと村の人々が出てくる。


音の先には、さっき山の頂上にいた軍人を筆頭に複数の軍人がいた。胸の鼓動が強くなる。


「まさか、こんな辺境な地に村があったとは」


僕は急いで周りの大人たちをかき分け軍人に近づく。


「だれだ!…あぁさっきの子供か」


軍人の周りに胸を押さえている大人が一人いた。息が詰まる。


「なんでこんなことをするんだ?」


「ん?あぁ、この国のやつらは全員捕まえるってことになってるからな。あんたの後をこっそりと追っていたら村を見つけたからびっくりしたよ。」


僕は強く軍人をにらみつける。


「下がりなさい、君が戦うべきじゃない。大人に任せるんだ」


「いやだ、僕ももう大人だ、だから」


「馬鹿!戻るぞ!」


結局僕は友達に引っ張られ無理やりそこから引きはがされた。


ある程度人ごみから離れ、ようやく友達が手を放してくれた。


「どうして、どうして止めるんだよ!せっかく大人になってみんなと一緒に…」


「できるわけないだろ!僕たちはまだ人の殴り方も何も知らない、ただの無力な子供のままなんだよ。」


「うぐ、でも…」


そこに村長がやってくる。


「二人とも逃げなさい、まもなくここは戦場となります。」


村長は僕たちに腰ぎんちゃくを手渡す。中にはお金や食べ物などが入っていた。


「貴方方二人、この村の希望です。どうか最後まで抗い続けるのです。」


村長の迫力に圧倒されてしまう。しばらくし、


「いこう」


友達の声とともに僕たちは村を離れていく。しばらく走り、僕は足を止めてしまう。


「どうした?早く行こう」


「無理だ、全部僕のせいなんだ。僕が頂上まで行こうなんて言い出さなきゃ、あいつと会うこともなかった。戻らないと!!」


バチィ!


一瞬何をされたかわからなかった。すぐに僕は頬を叩かれたのを認識した。


「何すんだよ。よくそんな平気でいられるよな。」


僕は胸倉をつかまれた。友達の顔はプルプルと震えている。


「平気でいられるわけがないだろ!別れの挨拶なしに父さんも母さんんもおいていったんだぞ。でも、ここで冷静にしないと逃げきれないだろ!」


今まで生きてきてここまで怒っている友達の姿は見てこなかった。ここまで我慢してたことが一気に溢れてしまったのだろう。


しばらく沈黙が続き、胸倉をつかんでいた手が離れる。


「すまない、熱くなってしまった。」


「いや、こっちもごめん。僕ばっかり言いたいこと言っちゃって」


「そうだな、ただこれだけは覚えておいて。お前だけのせいじゃない。俺も頂上まで登りたかったから」


そういうと友達は僕に背を向け再び走り出した。


走ること20分後、前を走っている友達の足が急に止まった。


前を見ると、待ち構えていたかのように軍服を着ていたさっきの仲間らしきものがいた。


「逃げるならここだろうと思っていたよ。ほら抵抗せずにおいでよ。子供をいたぶるつもりはないんだ。それに捕まったとしてもそこまでひどい扱いにはならないよ」


僕たちはすぐさま来た道を戻る。


走る途中、後ろから友達が話しかけてきた。


「あの大樹を右に曲がれば川がある、その川の流れに乗ればあいつらでも追ってこないはずだ。」


「わかった、あの大樹ね」


僕は無我夢中で走った。とにかく逃げないとと思い一心不乱に走り続けた。しかし川は一向に見つからない。


「おい、一回地図を確認しなおそう、本当にあってるの…か…あれ」


後ろを振り返ると、そこに友達の姿はなかった。


「おい、僕が早すぎて追いつけなかったの?」


声が返ってくることはなかった。


そしてふと、自分の腰には友達が持っているはずの腰ぎんちゃくがつけられていたことに気づく。


腰ぎんちゃくを広げると、そこには「お前だけでも逃げろ」と書かれている紙だけが残っていた。僕はそこでようやく、友達がおとりになって逃げてくれたということに気づいてしまった。


こうして僕だけが生き残ってしまった。自分の何もできない弱さをかみしめ、前に進んでいった。


ようやく流れてきた情報が完結した。

僕はエンマから地獄に落ちるってきいたとき実は何も思わなかった。地獄に落ちて同然の人間だとずっと思っていたから。

気が付くと僕が持っていた刀は目の前に現れた軍人の心臓を刺していた。

ついにハルの過去が暴かれましたね。つぎも試練のお話でまたハル視点での話です

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