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エンマ大王は決着をつけた

目を開けるとそこにはハルが手を広げ私をかばっていた。

逃げろと叫ぼうとしたが肺ちが刺さっており


「どけ人間、私は切るのに人は選ばないぞ」


「いや、どかない。」


「そうか…」

ハンネは鉈を一振りしただけでハルの体から血が出てきた。「うぐ…」ハルは呻き少し体をかがめてしまったが依然として動こうとはしなかった。


「今は軽く切っただけだ。次は本気で両断するぞ。痛いならさっさとどけ。震えてるぞ」

ハンネは鉈をハルに向ける


「痛い…けど別に死ぬわけじゃないんだろ...ただの我慢だけで命を救えるならこの程度の苦痛は大したことじゃない」


「なぜそこまでかばう?そもそもお前らが出会ったのはついさっきのはずだろうに」


「…これ以上誰であろうと何もできず他人が死ぬのはいやだから。」

その覚悟を見るにおそらくハルが生きていた時代は平和というわけではなかったのだろう。戦争とか何かしらの危機に陥っていたような、そんな感じだった。


「そうか、じゃあ死ぬしかないようだな」

ハンネは説得をあきらめをがもう一度振りかざされる。

まずい…頼む動け私の体。ここにきたばかりのあいつ死ぬほどの痛みを耐えられるわけがない…


ハルが切り裂かれるすんでのところで体に刺さっている刃物を抜くことができた。ハルの体を横にずらし自身の爪にとがらせた血をつけハンネの目をひっかいた。私が動けると思わなかった油断していたハンネにもろ直撃し目から血が流れる。すぐに目を抑え一度後ろに下がった。

かなり深く入った…おそらく再生するのにおそらく数分かかる。

肺にたまっていた血を吐き出しハルに話しかける。


「ゴホッ…無茶しやがって、いったい何を考えているんだ」


「何考えているのかはそっちだろ、勝てないのに無茶しているのは」


「うぐ…」

私はぐうの音も出なかった。

「それであるんでしょ…勝てる方法が」

「…でもこれをした場合お前は二度と生き返ることはできないかもしれない、それでもいいのか」

「ここで二人一緒に死ぬより悪いことはあるのか?」

ハルはどうやらもう覚悟が決まっていたようだ。

でも、それをすればお前はもう…

私が決断できず迷っていると刃物が飛んできた。


「油断した」

ハンネ、もう治ったのかよ、思ったより再生がはやい…

手で覆っていた目を見るともう既につぶされた目はほとんど治癒していた。

すぐに複数の刃物が再びハンネの背後に表れ容赦なく私たちに飛ばしてくる。私は血を固めて簡易的な盾をつくった。ある程度は抑えることはできたもののすぐに崩壊していく。即座にもう一度展開し再び飛んでくる刃物を同じように止める。ハンネはもう容赦をするつもりは一切ないようで間髪なく刃物が飛んでくる。

「うぐ…」

「エンマ時間がない早く教えて!エンマのことだから渋っている理由は僕にあるんでしょう」

「でも!それをすればお前は死ぬよりも大変なことになるかもなんだぞ!それでもいいのかよ」


「死ぬよりも怖いことがあるのかよ!?私は死なないためなら何でもやる。今までもそうやって生きてきた。だから早く!」


「…」

すこしの沈黙のあと私はハルの覚悟に答えることにした。

盾が再び割れいくつかの刃物が私に刺さる。力を振りしぼりドーム状に盾を作った。

「どうなってもわたしはしらないからな」


私の体の現状は魔力を放出するための穴が本来より小さくなってしまい魔力をほとんど出せない状態となっている。ただ放出しにくいだけであるため悪魔としての巣の力は依然として一切変わりない。つまり私の体を媒体に使わなければ本来の力を使えるということになる。


「契約だ、ハル。少し気持ち悪いが我慢しろよ。」

私はハルの心臓あたりに指をさし自身の血をハルの体に入れていく。ハルの表情は少し険しくなる。

「ハル…おまえは私の従僕となり私の手足となることを望むか?」

ハルは戸惑っていたが契約という言葉で何となく察したようだ


「…望む」


その瞬間ハルの体から靄が出てくる。ハルも自分の体に何がおこったかわからずただ困惑している。


「契約は成立した」

その言葉とともにドーム上に展開していた盾は壊れてしまった。ハルと私を見たハンネはすぐにその異変に気付いたようだ。


「お前らこの数分の間にいったい何をした?」


「…ハンネ私たちの勝ちだ。おとなしく投降してくれないか。」


「何を言っているかわからない。今もボロボロじゃないか!」


「ハル…手を前にだしてくれ。」


「うん?あぁ」


ハルはいまだ理解ができておらず私の言われた通り手をまえに出した。瞬間掌に、灼熱が集まる。炎が渦を巻き、圧縮され、弾になった。

「な、なにこれ。というかなんか体が熱い…苦しい。それに、なにかが溢れてくる」

思わずハルは手を下げようとするのを制止し私の手をそっとハルの手に添えた。


「おちつけハル、リラックスだ。流れてくるものに抗おうとする必要はない。いいか?私のタイミングで力を籠めろ」

突如ハンネが何かに気づいたようで声を荒げる。


「お前らまさか契約をしたのか?あの一瞬の間で!?」

ハンネもようやく私たちの狙いに気づいたようだ。急いで止めるべく刃物を再度飛ばしてくる。しかし刃物はこちらに届く前に空中で溶けて消えてしまった。それでもあきらめずハンネは飛ばしてくる。

「今だ!」

私の合図とともにハルの手にあった炎の弾はハンネを目掛け突っ込んでいく。


「お前たちいかれてるぜ」


その言葉を最後に炎弾はハンネに当たった、その御、瞬間辺りは光りに包まれ、周囲一帯は爆音とともに爆ぜていき廃墟だった場所も跡形もなかった。そこには床と天井しかない殺風景が残っていた。


「はぁはぁ」

横にいるハルはそのあまりの威力にただひたすら呆然とし床に座り込んでいた。


「ハル、大丈夫か?」


「だ。大丈夫だとは思うけど…ねせあいつはどこにいったの?もしかして殺しちゃった?」

私は立ち上がり消し飛ばされた一帯を見ているとわずかに動いている腕をみつける。それを座り込んでいるハルの元に持って行った。


「あった。これがハンネだよ。」

ぴくぴくと動く腕をハルに見せた。


「はえ?死んでないの…それ?」


「…わからない、あいつに生きるという意思が残っていればかってによみがえってくるしあきらめてしまえば、ただ消滅するだけだ。」

消滅すなわち虚無になることである。死後の世界はこのように例えどんなに切り刻まれようが、どんなに粉みじんになったとしても生きることをあきらめない限り時間をかけ再生することができる。


「それ、どうするの?」


「どうもしない、ここにおいてく。このレベルだとおそらく再生には数年はかかるんじゃないか?ハルが望むならもっと細かくしておくけど…」


「い、いや大丈夫。これがここでの当たり前なんだね。けっこう驚いたかも」

私の見慣れている感じにハルは若干、引いていた。

まぁ普通のやつから見たらだいぶおかしいわな…


「いろいろ話したいことがたくさんあるけど一旦今日は休みにしよう。私も正直頭があまり回ってない」

私は刺された頭をさすりながら休むことを提案した。ハルがどうなったのかなど反したいことはいくらでもある。むしろありすぎる。こんな状態で話してもかえって混乱するかもしれない。



「そうだね、私もいろいろ聞きたいことあるけど一旦は寝たいかも」

ハルはその提案にのり廃墟のおんぼろなベットで寝ることになった。


そうして私たちは無間地獄に来て初めての睡眠を行った。


とりあえず一段落ですね。

ブックマークや感想をもらえるだけで頑張れます。今後も書いて行きますので本当によろしくお願いします。

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