ハルは夢を見る
「どこなんだよ…ここ」
つい先ほどまで確かにエンマと一緒に城の中に入ったはずなのにいつの間にかエンマもどっかにいってしまった。
城の廊下を歩いていたはずなのにいつの間にか気づかないうちに洞窟のような薄暗い場所を歩いていた。エンマもいつの間にか隣からいなくなっていた。
…うぅ怖いな、エンマどこにいったの
来た道を振り返るけども暗闇が続いており元居た場所は全く見えなかった。
「…来た道をもどろう」
数十分後…
歩くもあるくもあるくも一向に景色は変わらなかった。変わらない景色にしだいに足が重たくなっていくのを感じる。
「…」
もう自分がどっちに向かって歩いているかすらわからなくなってきてしまった。
さらに数時間後
もうどれだけ歩いたか分からない。
ずっと変わらない景色に絶望しその場に座り込んでしまう。
もう一生このままという不安感がでてくる。
「助けて…エンマ」
つい漏れ出たひと言。答えるものはいないは誰もいない…はずだった。
「「助けに来たよ」」
ふと後ろから声が聞こえすぐさまに振り向いた。
「エン…いやだ、え、だれ?本当に誰?!」
見上げると底には白髪で髪の長い中世的な男か女か分からない全く見覚えのない人がいた。
…いやここでは悪魔なのかな?でも…
どこか人とか悪魔とかそういう枠組みの生き物には見えなかった。どちらかというと植物?とかなにか今まで見たことのない他の生物のようなそんな気がした。
「あれ、どうかしたのかい?…そうか前回はこの姿ではあっていなかったか。」
「えっと…会ったことがあります?」
まったく見覚えがなかったしあったとしてもここまで特徴的な奴を忘れるはずがない。
「最後にあったのは2層のに来る時だったか。あの時は時間がないから何もできなかったけど」
ふと2層に入る直前のことを思い出す。2層入る直前私だけよくわからない空間に飛ばされた。そこでよくわからない全体がぼやけた人と会話した。会話内容は意味不明だったしただの夢だと思っていた。
「今回はちゃんと自己紹介をしよう。私はこの無間地獄の管理人、5層担当のアンバー・レコルリフ。アンバーと呼んでもらっていい」
その言葉にぽかんと口を開ける。驚きというよりかは何を言っているんだろうという気持ちのほうが大きかった。
僕のいまいち理解できてなさそうな反応を見たそのアンバーと名乗る悪魔?は不思議そうな顔をした。
「あれ前回会った時ちょっとは説明した気がするんだけど…覚えてないのかい?」
「え?」
この間会った時、話を聞くよりも訳の分からない場所に飛ばされるとなんか目の前にビカビカと光っている人型がしゃべりかけたという状況にひたすら困惑していたため会話内容がいっさい頭に入っていなかった。
…そういえば管理人どうたらはいっていたようなないような…
「その反応をみるに覚えてない様だね…」
「そ、それよりもエンマを知らないですか?さっきまで隣にいたはずなんですけど気が付くといなくて」
「ん?エンマは…あぁ彼女の事か。えっと結論から言うと彼女は今ここの空間にはいないよ。今この空間にいる生き物は私と君しかいないからね」
…二人しかいない?空間?じゃあエンマは?
色々な疑問がうかび何から聞こうか迷っているとアンバーは話を続ける。
「いろいろと聞きたいことはあると思うけど、最初に大事なことを言っておくとこの空間は現実ではない。とある悪魔の能力によって君は閉じ込められていたという認識が正しい。」
「…いやでも僕とエンマはここにくるまで悪魔と対峙した記憶は全くないんだけど」
「そうだね、君たちはたしかにその能力元の悪魔にはいっさいあっていない。君たちはただその悪魔のトラップに引っかかっただけだからね。」
「トラップ?そんなのかかった覚えなんてないんだけど…」
「そのはずさ。このトラップの仕様上、いつかかったのかかなりわかりにくくなるから。」
城に入ったときのことを思い出していく。城に入るとき私とエンマは窓ガラスを割って中に入った。それのどこかに罠が…
「ピンと来てないみたいだね。答えを言うとこの城は正規の門以外の方法で入ると発動する。君たちの場合は窓ガラスを割って入ったからかな」
「…なんとなくわかった気はします。それでその罠って」
「もう君はすでに喰らっているけど“夢”の中に飛ばしてしまうこと。今まで明らかに不可解なことはあったんじゃないか?」
その言葉を聞いてすぐにピンときた。誰もいない廊下、この暗い空間、突然消えたエンマ。すべて夢の中で起きた出来事なら少しは納得がいった。
「え、じゃあエンマも今夢の中に!」
「いや彼女はもう夢からは覚めてる…ただ少しピンチかもね」
「え!エンマは!エンマは大丈夫なの!!」
思わずアンバーの方をつよく掴んでしまう。
「落ち着け落ち着け、まだ助かる!助かるから!今回私はそのためにきたんだから。」
一旦一呼吸しどうにか平静を保つ。
「落ち着いた?これから君を夢から覚まそうともう。ただ一つ条件をつけたい。」
「条件?」
「あぁ条件といっても軽いお願いのようなものだよ。そんな身構えなくても大丈夫さ。」
「それでなんなんですか、条件って。」
「ここであったことを絶対に…エンマに言わないことそしてこの無間地獄の最上階まで来てほしいということ。」
「…どういうこと?なんでエンマには」
「あぁ前半のお願いについてはあまり深く考えないでほしい。」
「え、なん」
僕が言い終える前にアンバーが口をふさいだ。
「こらこら余計なことは考えない。…不安だな、これは契約で縛ってもいいかい?」
「契約はあまりするなってオクスタシアさんが言ってたんだけど…」
「ちゃんと教育されてるな…まぁいいや。とにかく絶対に言わないこと。」
「はぁ…でも後半の条件っていうのは」
「それについては本当に只のお願いだ。どうかこの無間地獄を登り切って私に会いに来てほしい。」
「…わかったよとりあえずエンマには絶対言わない。」
「あとは…」
アンバーが急に僕の首筋辺りに顔を近づけてきた。
「えちょっと急に…」
「ごめんねちょっと匂いを覚えないと…」
…匂いってどういうこと!!
20秒ほどが経ちようやく匂いを嗅ぎ終わったらしい。
「これからちょくちょく君に会いに行くからよろしくね。早いところエンマのところに行ったほうがいい。じゃあ」
アンバーは数歩ほど僕の立っているところから離れる。
「ちょっと我慢してね」
アンバーが手をかざした瞬間。いつの間にか僕はアンバーの足を見ていた。というよりかは足の高さまで目線が落ちた。
…そこでようやく自分の体がバラバラになっていることに気づいた。
「痛みはないようにしたから…多分大丈夫なはず。早いところ彼女のもとにね」
喋りたくても口の感覚がまったくないため喋れない。
数秒ののち視界がゆがみ始め僕は現実世界へともどっていた。
目が覚めると僕は滑車の上に縛られ寝っ転がっていた。周りには特に悪魔はいなかった。
「とりあえず縄を解いて」
ポケットから小さいナイフを取り出し縄を切った。
不思議と奥にある扉の向こうにエンマがいることに気づいた。
急いでその扉を開けると案の定エンマと数体の悪魔がいた。エンマは座り込み動いていなかった。
「お前らエンマになにをしたんだよ!」
「だ誰だお前…」
「あいつだよ一緒に縛っておいた奴。どうして目が覚めて…」
そしてかなり苦戦はしたが相手も疲れがたまっていたようで何とか勝つことができた。
「疲れた…エンマは」
ゆさゆさとエンマを揺らすとすんなりとエンマの瞼は空いた。その瞬間、エンマの拳が思いっきり僕の目前までやってきた。
「は、あれ、なんでハル?」
「エンマ~」
僕はエンマに抱き着く。
「でもよかったよ。ハルが無事で」
こうして僕たちは無事再会を果たせた。
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