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エピローグ

 背景、ミオちゃん。チカゲくん。


 元気にしているかな。僕だよ、ネロリだよ。エイレンを脅して手紙を届けるためにゲートを開けさせたんだけど、うまく届いてるといいな。


 元気?ご飯食べてる?ちゃんと幸せになってるかい?


 僕は今割と充実してるよ。


 時が過ぎ去るのは早い物で、君たちが元の世界に帰ってもう三か月も経ったね。あれから君たちが帰ってからいろいろ大変だったんだ。


 まずレジスタンス組織クレセントムーン改め教信者一団は全員とりあえずは教会の監視下に置かれることになったんだ。と言っても監視の名目で各地の教会の修繕とか修復やらされてる感じだね。それが終わったらどうなるかはわからないけど、無罪放免ってことはないんじゃないかな。


 まあ、君が殺すなって命令を出したから人殺しをしたメンバーは一人もいないし、死刑だとか、そういうのになることはないと思うんだけど、こればっかりはまだわからないね。ロキに関しては1か月くらいは完全に抜け殻みたいになってしまっていたけど、今はまた邪神を再度復活させてやるとか言ってるよ。メンタル強いよね。


 教会に関しても、このまま元通りってことはないみたいだよ。今回ド派手にどったんばったんと夜中通して抗争の大騒ぎをしたでしょ?やっぱり市井の人は音を聞いてたし爆発も見ていたしで説明を求められて、エイレンがクレセントムーンに襲われたことと一緒に、今までの聖女信仰と祈りの旅についてゲロったんだ。


 聖女として異世界の人間を呼び出し、生贄に捧げるための儀式だったってことをね。勿論何も知らずにそんなことをしていた住民たちはいろんな反応だった。驚く人も怒る人も悲しむ人もたくさんいた。

最初は集約器もほぼ働かなくなったことで負の感情がたくさんたまるタイプの一部の人たちが「教会を潰せ」と騒ぎ立てたけど、生贄の儀式はこの地にに邪神を封じるための物、そして邪神は負の魔力で復活をするからそれを吸い上げて、生贄の体と一緒に別の世界に送り世界の平和を保っていた。と聞いてトーンダウンしていったよ。基本的に集約器で負の感情も黒い魔法も吸い上げなんてしなくてもこの世界の人間あんまり争いごととかしないしね。僕にとってはあんまりおもしろくない事だけど。ぶっ壊せば変わると思ったけどあんまり変わらないみたい。残念。


 今、教会は次の方法を考えているみたい。邪神を復活させず、この世界を平和に保ち、他の世界に迷惑をかけなくてもすむ方法を。それが見つかるまでは現状維持だっていってたけど、もう聖女も生贄の儀式も行わない宣言はしていたから安心してね。


 ああ、それから聖女の亡骸は責任持って焼いて供養もしたよ。僕は初代聖女トワ様の家系だからね、実はそういう祈りとか白い魔力の使い方結構得意だったりするんだ。だからもう安心してね。


 そろそろ便せんがなくなってきたからここまでにしようかな。


 それじゃあ、またいつか。


 敬具 ネロリ。


「……だって澪ちゃん。こっちの字勉強して手紙書いてくるなんて律儀だね」


 千影は丁寧に手紙を読み上げると、綺麗にたたんでテーブルの上に置いた。


「ねえ」

「なぁに?」


 じゃらり、澪は手と足につけられた拘束具と鎖をわざとらしく見せつけるように千影に差し出す。


「取って」


 千影はほの暗い笑みを浮かべると、しゃがみ込んでそっち足先に口づける。


「守るって言ったでしょ?」

「……」


 澪は無言で足を引っ込め腕を組んだ。じゃらじゃらと金属が揺れる音が黒で統一された部屋に響く。

「澪ちゃんに沢山守ってもらったから今度は僕が守るんだ、ふふふふ」

「はあ……」


 千影の大きな体が澪の上に覆いかぶさった。澪は焦ることなく棚の上の置時計に目をやる。


「はい、もう1時間たったから取って」

「む……」

「鎖も拘束も1日1時間までって決めたでしょ」

「けちんぼ」

「これでも譲歩してあげてるのよ」


 澪は自分で足首の拘束と鎖を外し、千影に手首を差し出す。


「取って」

「やだ、けち、意地悪」

「あ、じゃあ離婚してもいいのよ?」

「どーしてそんな意地悪ばっかりするの。澪ちゃん僕のこと大好きなくせに」


 千影は頬を膨らまし不満げにぶつぶつと言いながら澪の腕の拘束を取ると、そのまま自身の手で澪の手を恋人繋ぎにしたままベッドに結いつけた。


「ほら、好きって顔になった」

「なってない、嘘つかないで」

「なってるの」


 千影の唇が澪の唇に合わさる。


「澪ちゃん大好き」

「……」

「澪ちゃんは好きだよね?」


 うるうるの瞳を見てチワワを思い出しうっとなる。


「……あー、はいはい、スキスキです~」


 澪は目をそらしながら適当に返して、少しだけ握られた手を握り返した。それが澪にできる精一杯の愛情表現であることを知っている千影は本当に愛おしい物を見る目で澪を見つめ、甘い声で澪を呼ぶ。


「澪ちゃん」

「なに」

「愛してる」


 再度重なった唇に澪はまんざらでもないような顔をして受けいれて目を閉じるのだった。


これで完結です~

長編一度書いてみたかったので満足しました。

また機会があればなにかしら投稿する予定です。


ご拝読いただきありがとうございました。

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