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3話「晩餐会に誘われて」

 ルッティオから唐突に誘われた晩餐会。

 知らないうちに用意されていたコバルトブルーのドレスをまとい参加する。


 自分から誘ってくるなんて、一体どういう展開……?


 謎は謎を呼ぶ。

 彼の行動はまったくもって理解できない。


 だが応じた。


 一応私たちは婚約者同士なのだ、応じてもおかしくはないはずである。


 そうしてその夜が訪れる。


 晩餐会は何の問題もなく開始され、煌びやかな空間で息をしていた、のだが――。


「今日は皆に伝えたいことがある」


 ルッティオは皆の前へ出た。

 何だか誇らしげというか自信ありげな顔をしている。


 その様子を見ている晩餐会参加者たちは「なになに?」「何が始まるのだろう」「大事な話?」などと思い思いに独り言をこぼしていた。


 前触れなく王子が話し始めたので皆戸惑っているようだ。


「僕はエリサとの婚約を破棄とすることにした!」


 やがて彼はそう言い放つ。


「エリサが悪女であったことが判明した! 妹さんからの訴えで分かったことだ。よって、婚約は破棄とする! 彼女は王家に入るに相応しい人物ではない!」


 何の躊躇いもなく、彼は言葉を並べる。


 その様を見ている者たちは動揺したような顔をしていた。何が起きているのか分からない、とでも言いたげな顔をしている者が多い。女性も、男性も、困惑やら何やらが入り混じったような表情で王子の姿を見つめている。


「一体何なの?」

「わけ分かんない……、大勢の前でこんな話する……?」

「意味不明だわ」

「こういうのはちょっとさすがにどうかと思いますわ」

「婚約者さんを晒し物にでもしたいのかしら」


 女性たちはひそひそと言葉を交わしている。


「ということなので、今後、僕はエリサとは関わりを持たない」


 ルッティオは胸を張っている。


「彼女とはおしまいだ」


 会場の空気は冷えきってしまった。


「近くエリサを王城から追放するつもりだ。まだそこまでは話が進んでいないが――追って行動に移る。僕は彼女をここから追放する」


 視線がこちらへ向いてくる。悪意ある視線ではないけれど、話が話だけに突き刺さる視線が痛い。笑うことも泣くこともできない状況で大勢から視線を向けられるというのはかなり困る状況だ。知り合いがほとんどいないため誰かに助けてもらうこともできないし。私はただ、一人、この苦し過ぎる状況に耐えるしかなかった。


 なんという絶望……。


「だが安心してくれ、良い報せもある」


 やがてルッティオが口を開いた。


「改めて婚約する相手はいるので、国は安泰だ」


 彼がそう言うと同時に一人の女性が姿を現すのだが――まさかの展開、その女性というのが実妹であるメリーだった。


 思わず叫びそうになって、何とか堪える。


「彼女はエリサの妹、メリー」

「皆様初めましてぇ」


 宝石がふんだんに使われた豪華なドレスをまとったメリーは全力ぶりっこモード。


「メリーと申しますぅ」


 私が婚約破棄されるだけではなかったのか……? そんな馬鹿な。彼は私を切り捨てて妹と結婚するつもり……ということ、なのだろうか。だが彼らの目的は我が家などではなく私の魔力であったはず。なのに私を捨てて魔力を持たない妹と? そんなこと、あり得るのか? もしそんなことになるのなら、最初と話が大幅に変わってしまっている気がするのだが……。

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