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21話「いつかはそこへ至りたい」

 個性的な植物モモクサを大切に育てているディアの姿を想像すると何だか可愛らしくて笑ってしまいそうになる。

 もちろん本人の前で実際に笑ったりはしないわけだが、ほっこり感を強く感じてしまうのだ。


 だってそうだろう?


 彼は王子だ。

 王国の未来なのだ。


 なのに育てているのがモモクサ。


 あのような桃のようなキュートな植物を自分の意思で育て、大切に想っている。


 そう考えると面白いではないか。

 まるで彼という人間の人となりがそこに現れているかのよう。


 だが悪いことではないと思う。


 完璧なものやかっこいいもの、偉大なもの――そういったもの以外のものも純粋な心で愛せるというのが彼の美点の一つなのだから。


 人の印象というのは本当に小さなことで左右されるもの。些細なことであっても、良い方向へも悪い方向へも容易く揺れ動く。


 そしてこれもその一つであろう。


 彼がモモクサを育てている、なんていう小さな事実一つだというのに、私の中の彼へのイメージはより良い方向へと変化した。


 彼となら共に歩んでゆけるのではないか、今はそんな風に思える。


 型にはまるだけでない彼となら。

 協力し合いながら進んでゆけるような気がする。


 彼との未来を前向きに考えてみても良いのではないだろうか――心は徐々に前向きな色を滲ませて。


 見つめてみようか。

 彼との明日を。


 いつの間にかそんなことを思っている自分もいる。


 人とは、人の心とは、変わるものだ。

 だから過去では決められなかったことが現在未来でも必ずしも決められないというわけではない。

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