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婚約した王子を妹に奪い取られてしまいましたが、結果的には幸せを感じられる居場所を手に入れることができました。  作者: 四季


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1話「愛されない女」

 一家で唯一の黒髪、そして、強大な魔力を持って生まれた私エリサは、異端ゆえに両親からは良く思われていなかった。


 そんな私には三つ年下の妹がいて、名はメリーという。

 金髪碧眼で可憐な容姿を持つ彼女を両親はいつも大切にしていた。


 父はメリーを溺愛しており、欲しがったものはすべて買い与えた。

 母もメリーを大層可愛がっていて、彼女が少しでも私を悪く言えばそのたびに私を呼び出して二人きりで説教と言いつつ叩いてきた。


 家に居場所はなかった。


 ずっと孤独だった。


 誰にも愛されず。

 皆に冷ややかな目を向けられ。


 気に食わないことがあればメリーはいつも私を悪者に仕立て上げる。そして両親はそれを信じ込む。明らかに不自然な主張であっても、彼女の言葉が嘘なのではないか、とは少しも考えず。一方的に私を悪者として扱うのだ。


 だが、ある時、そんな私のもとへ婚約が舞い込んだ。


 それはこの国の王子であるルッティオとの婚約話。

 私が桁外れの魔力を持っているためにそういう話が出て、話し合った結果、実際に動くに至ったようであった。


 厄介払いしたかった両親にとってそれは都合の良い話で。


 両親から「嫁に行ってくるといい!」「貴女みたいなのが売れ残ったら私たち困るもの」などと言われ、私は彼との婚約を受け入れた。


 家を出ていく朝、両親は物凄い笑顔だった。


 ……そんなに嬉しいの?


 でも仕方ないのだ。彼らにとって私は常に余計な存在でしかないのだから。愛する対象ではないし、娘として見つめる気もきっとないのだろう。楽しい日常を邪魔する存在、くらいでしかないのだろう。ゆえに、合法的に追い出せるのが嬉しいのだろう。その嬉しさが顔に濃く出てしまっているものと思われる。


 ただ、そんな中でも、妹メリーだけは少し不満そうだった。



 ◆



「エリサです」

「ルッティオだよ」


 王城へ連れていかれた私は王子と対面する。


 笑顔が爽やかな人だ。

 けれどもどこか黒そうな感じがする。


 嫌な予感が……。


「僕は君は愛さないからね」

「え」

「当たり前だよね? 一国の王子たる僕が君みたいなただ魔力があるだけの女なんて愛するわけないよ」


 な、なんという心ない発言……。


 予感は既に当たり始めている

 幸せな未来など私には永遠に訪れないのだろうか。


「ま、せいぜい国のために働いてよ」


 彼はそれだけ言うと去っていった。


 同席していた女性が「無礼を、申し訳ありません」と謝罪してくれた。


 でも嬉しくはない。

 本人ではない人から謝られても何の意味もない。


 彼女はこの城で働いている女性の中ではそこそこ偉い部類の人らしいが……あんな王子の代わりに謝罪しなくてはならないのだから気の毒だと思う。


 それから自室へ案内される。


 とても殺風景な部屋だった。ベッドとテーブルとチェアが置かれているだけ。それ以外にはほぼ何も用意されていない。まるで、歓迎していない、と直接言われているかのような室内だ。


 取り敢えず、チェアに腰を下ろす。


 はぁ、と、溜め息が出た。


 これからどうすれば良いのだろう。どうにかここで幸せになる道はないのだろうか。彼に認めてもらえるよう努力する? ……いや、きっと無駄だ。初対面であんな態度を取る人だ、こちらが媚を売ったところで恐らく相手にしてくれないだろう。何かきっかけがあれば良いのだが……それを作り出す才能は私にはない。

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