6.「読まれない」がわからない
一番最初に投稿した短編は、別に良かった。
テスト投稿も兼ね、さっくり書き上げた小品。あらすじもシンプル。
むしろこういうのが一番好きなのだけれども、ひとまず連載を軌道に乗せてみたかった。
ついでにこの初投稿作品、なんと感想がふたつももらえた。
初めてにしてはかなり上出来な気がする。いや上出来だった。
とってもうれしかった。ありがとうありがとう。
「なるほどこんな感じかあ」
なろうが、少し分かった。そう思った
大間違いだった。
次に投稿した連載もの。
まあ読まれない。
読まれていない。
反応が、ない。
本当に驚いた。
すごく驚いた。
一番びっくりした
反応がないというネット小説での当たり前が、初体験なのであった。
SSは、ほぼ反応がある。
もちろん良い反応だけではない。
「つまんね」「首吊れ」「お前の親がかわいそう」。こんな罵詈雑言も当たり前に、ある。
しかし反応ゼロは、まずなかった。
読者の反応も含めて、みんなで作品を作り上げていくものだった。
1レス毎の合間合間に、リアルタイムで反応やツッコミがくる。それが当たり前。
初体験。
読まれないという、初体験。
反応がないという、初体験。
驚愕した。なんということだ。なんという。なんという。
すぐに反応が帰ってくるSSは、フィードバックが容易でもある。
フィードバックっていうかっこいい単語を使ったけれど、要は簡単に諦めがつく。
「つまらない」ってたくさん言われたら「ああつまらないのか」と判明する。
「おもしろい」っていっぱい言われたら「ああおもしろいんだ」と調子に乗れる。わかりやすい。
ここは違った。反応がないので、良し悪しも分からない。
というか反応がない時点でもう駄目なのかもしれない。
いや駄目じゃないのかもしれない。もう分からん。分からんったら分からん。
「……この作品、すごくつまらないのでは」
そう、思った。
恐る恐る、読み返してみた。
面白くない訳ではない気がする。いややっぱり面白くない気もしてくる。
もう何がなんだか分からない。だって反応が無いから。
一応、執筆中はそれなりに面白いと思って書いていた。
それじゃあ、それなりに面白がってくれる読者もいるんじゃなかろうか。
ならばとにかく目に触れる必要がある。目に触れる必要。
タイトルと、あらすじと……。
「あらすじ!!??!?!?」
迷走が、始まる。