勝負開始
めちゃくちゃ遅くなりました><
今後は…遅くならないと思います…たぶん!w
ベッドから起き上がって一言。
「…あー」
なんだかんだあった1日目が終わり、さらに色々あったこの一週間。
「何も思い出したくねぇ…」
思わずやさぐれた言葉が出るほどきつかった。
って言うか今無性に泣きたい気分だ。
別に訓練が悪かったわけじゃない。
僕が考えた作戦だけではなく、皆で考えた案や作戦を取り入れたりもしたし、そのための練習もした。
それらは別に苦労しなかったのだが…。
「毎日毎日…限界ギリギリまでやるんだもんなぁ」
そう、倒れない程度かもしくは意識を失わない程度のギリギリまで魔力を出し切って練習したのだ。メンバー全員がだ。
「そこまでして行き先を自由に決めたいのかなぁ?」
僕とロナとアイズ、それから転校生の…名前なんだったか聞いてないけど。
その4人以外のメンバーにとっては、ただの依頼旅行の行き先自由権を掛けたバトルロイヤルに過ぎない。
だから必然的に行き先を自由に決めたいがために限界ギリギリまで練習、訓練してきたことになる。
「うーん。もしかしたら今までの行き先が酷かったのかも?」
そう言いながら結がふわふわとキッチンスペースからマグカップを抱えて飛んでくる。
どうやら、最近寝て過ごすことがなくなった為、色々と世話を焼いてくれるようになった。
「ああ…なるほど。それなら納得できるな。サンキュ」
受け取って一口。
…ってこれブラックコーヒーか…苦い。
僕苦手なんだけどなぁ…紅茶にしてくれっていつも言ってるのに…。
「ユキさんはどこか行きたい場所はないんですか?」
「んー…今のところはないな」
北も東も南もまだ行った事がない。
今居る、この大陸の西の地方も全ての街に行ったわけでもない。
地名は幾つか聞いているし、興味もあるが、行こうとするとどうしても日数がかかるし、そんなに長い間学校を休むわけにもいかないからだ。
だが、色々な事情を抜かなくても1つだけ気になっている場所がある。
「なぁ、結。お前が討伐した魔王って城とかに篭ってたりしたのか?」
「えぇ、大きなお城に引き篭もってましたよ~」
「じゃあ、その城が現代まで残っている可能性は?」
前回の魔王が生きている可能性がある以上。そういう前に居た場所に何か手掛かりが…。
「ああ、絶対残ってないです」
「…は?」
「だって、わたし達討伐メンバーが魔王討伐に成功した瞬間に時限爆弾のスイッチが入りましたから…」
「………」
「…まぁ、あとは言わなくても判るでしょうけど…木っ端微塵です」
「はぁ…手掛かり0かぁ」
どうするかなぁ。ホント。
「魔王がいる方角はなんとなくわかりますから、それを基準にしてみたらどうです?」
「んー…それしかないかぁ」
いきなり魔王とエンカウントするのは遠慮したいけど。
「ほらほら、そろそろ着替えて出ないと朝御飯食べ損ねちゃいますよ~」
「ああ、うん。わかった…って、うわぁ…」
朝日を部屋に入れようとカーテンを開くと曇天だった。
窓を開いて、空気の匂いを嗅いでみると、僅かに水の匂いがする。
「雨、振りそうだなぁ」
「こっちだと、天気予報がないから不便ですね~」
「そうだなぁ、こりゃ今日の試合は中止かなぁ?」
地面がぬかるんでたら試合はできないだろう。サッカーみたいに。
「…でも、あそこの訓練場の上部って亀の甲羅みたいな防御魔法が張れる様になってませんでしたっけ?」
「そういえばそういう構造だったっけか?」
「それに、市街地戦ですから、地面は石畳ですよ?」
…そうだったな。って言うか、昨日思いっきり石畳に腰打ち付けて、痛がってたじゃないか。僕…。
「…………行くか」
「はーい」
脱力感を感じながらも、びっと左手を上げて笑顔で返事をする結を肩に乗せ、マグカップに入っていたコーヒーを飲み干し、流し台に置いて鞄を肩に下げる。
「さて、頑張るとしますか」
「おー」
予想通り、雨天決行だった。
市街地の空には青い亀の甲羅のような防御魔法が張られ、降ってきた雨は遮断された。
「まぁ、雨なんか降っててもらっても戦い難いだけだからなぁ」
「たしかに」
魔法実技室の窓から外を見ながら嘆くとアイズが短く答える。
今は教師陣が市街地の最終チェックに入っているらしく、生徒は待機となっているため、久々にアイズやロナとも言葉を交わしていた。
「で、勝算はあるのかしら?」
「…それ、どっちに聞いてるんだ?」
「もちろん。ユキのほう」
「…目の前に居るアイズの事も考えてやれよ…」
がっくりと肩を落として俯いているアイズを見て思わず目頭を押さえる。
酷い…酷すぎる…。
「べ、別にいいじゃないっ!ユキが勝てばアタシはまた自由になれるんだから!」
「…でも流石に真剣に考えてくれてるんですからちょっとぐらい考えてあげても…」
ユリアが取り成すように言うが、ロナは首を左右に振ってから、ユリアの肩をガシリと掴む。
「ユリアだっていきなり結婚相手決められたら嫌でしょ!」
「う…それはたしかに嫌ですけど…って言うか、この前決められそうになりましたけど、ロナちゃんの場合付き合ってくださいって意味ですから、考えてあげても…」
「甘い!甘いわ!ユリア!アイズの普段の行動見てるでしょ!どう見ても付き合ってください=結婚としか見てないわよ!」
「まぁ、それはわたしもわかる気がしますが…」
「僕もそれはわかる気がする」
「否定なしなのか!?」
アイズが愕然とした表情で僕とユリアを見てくる。
いやだってなぁ…普段の言動と行動を省みてみろよ…アイズ。
そんな風に久々に雑談していると横の人垣からシリアが出てきた。
「あ。こんなところにいた。そろそろチェックが終わるらしいから各チームに分かれて移動しろって、カサイ先生が言ってるよー」
「ん、了解。じゃあ、アイズ。お互い頑張ろう」
「うん。絶対に勝たせてもらうよ」
がっしりと握手をしてから、アイズが人混みに消えていく。
「じゃ、アタシも観客席に移動しておくわー。ユキ、ユリア。しっかりね」
「はーい。頑張りまーす」
「ほどほどに頑張るよ」
そう言って、その場から離れようとした瞬間。ロナから右肩を掴まれる。
恐る恐る振り返ってみると、睨みつけるような顔でロナが見つめてくる。
「ぜ、ん、りょ、く、で頑張りなさい!」
「「「は、はい!」」」
側にいたユリアとシリアまで揃って返事をしてしまうほど、気迫があった。
そのまま急ぎ足で魔法実技室を出ると、後ろの二人がはぁーと息を吐き出す。
「こ、怖かったです」
「そ、そうね。若干怖かったわ」
「…なんか、すまんな二人とも」
なんかいたたまれなくなったので二人に謝る。
「何言ってるんですか、ユキトさんが謝ることじゃないですよ」
「そうよ。ユリアの言うとおりだわ」
「…そ、そうかな?って、そろそろ行こうか?」
腕時計をちらりと見ると、結構時間が経っていた。
魔法実技室の中を見ると既に誰も居ない。
「やばい、一番最後みたいだ。先生に怒られそうだし、急ごうユリア、シリア」
「「はーい」」
チームの集合場所に着いた時には既に全員揃っていた。
一応リーダーなので、先頭に立つ。
すると、トランやサラーが寄ってきた。
「遅いぞリーダー」
「すまん。ロナにどやされてた」
「ああ、ロナ嬢か…それならば仕方がないな」
「うん、この発言で納得されるあたりがロナたる所以だよなぁ…」
まぁ、訓練の時に何度かどやされたからなぁ…皆。
悪い子じゃないんだけど…玉に瑕ってやつだろう。
そんな事を考えていると、スピーカーで大きくしたような校長の声が訓練場に響き渡る。
「全員揃ったかな?」
その声に答えようとして、どこに校長が居るかもわからず、大声で叫ばないといけないのかと一瞬迷う。
とりあえず、誰かに聞こうと口を開く。
「えっと、どうやって返事すればいいんだろ?」
「ああ、こちらの魔法で声は拾うから問題ないよ。ウォンスール君」
どうやら、その手の便利な魔法が使われているらしい。
相変わらず色々と便利だなぁ…もう慣れつつあるけど。
「あ、これも聞こえてるんですか。じゃあこちらは問題ありません」
「うむ、皆準備が整ったようだね。では早速はじめることにしよう。1分後に訓練場上空に砲撃魔法を放つので、それを合図に開始する。以上だ」
校長の声が聞こえなくったので、すぐに後ろを振り向いて、チーム全体を見渡して一言。
「じゃー皆。怪我をしないように…でも、負けないように全力で頑張って行こう!」
すると、大声ではないが、やる気のある声が返ってくる。
「おっしゃー!」「やってやる!やってやるぞー!」「絶対に勝つ!」「負けるかー」「俺、この作戦が終わったら…告白するんだ!」「あの子に負けるわけにはいかないのよ!」「ぶっ潰す!」「我に力を!」「かかってこいや!」「とっとと終わらせるぞ!」「負けない!」「勝てますように!」「が、頑張ります!」
…なんか、若干死亡フラグっぽいのやら、物騒な言葉を口走ってる奴がいるが…大丈夫だろうか?
まぁ、訓練だし大丈夫か。そんな事を考えながら僕も準備をすることにした。
えー、ホント遅くなってしまい。すいませんでした。仕事がもう、色々とありまして。そのせいでモチベーションが一時期かなり落ちたのも原因だったりします。
まぁ、言い訳としか聞こえませんが。とりあえず、次回からは大丈夫です。最低でも1ヶ月ペースを維持します。仕事関係が色々と片付いたので、更新ペースは上がると思います。ちゃんと『』の手直しもしますので、ご安心を><
こんな頼りない作者ですが、今後もよろしくお願いします><