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異通者奮闘記  作者: ラク
三章:エルクワール学園生活
39/46

説明会

説明回でもあります(笑

あと実を言うと手直しが中途半端だったりしますので、もしかしたら誤字脱字が目立つかもしれませんが、よろしくお願いします><


『眠い…』


あれからすぐにベッドに横になったのだが…早く寝ないと、早く寝ないと…と思っていると余計眠れなくなり、ようやく寝れたのは明け方だ。

おかげでかなり眠い。


『今度からは気をつけたほうがいいですね~はい、どうぞ』


そう言って結が腕時計を抱えてふよふよと飛んでくる。

礼を言って受け取り左手に着ける。


『そうだな…そんじゃ行って来るわ』


『あ、わたしも行きます~』


そう言って結が飛んできて肩にしがみ付く。

特に断る理由もないので、そのまま部屋を出て鍵を掛ける。


『そんじゃあ、まずは朝飯行くとしますか…』


そう答えてから寮の部屋を後にした。





食堂で適当に朝食を摂り、学校に向かう。


『やっぱり眠い…』


何か食べたり飲んだりすれば少しは眠気が取れるかと思ったんだが…甘かったしい。


『なぁ、結。眠気取れるようなスキルないか?』


『そんな便利なのありませ…あ』


ピタリと結の言葉が止まる。

え?あるの?そんな有用性0スキル。


『うーん。眠気は取れはしますけど…あんまりお勧めしませんよ?』


思案顔で結が言う。


『いや、助かる。今すぐやってくれ』


正直今日の朝行われる説明会で話を聞いてたら眠りそうなレベルなので、出来る限り早めに眠気は取っておきたい。


『それじゃあ、行きますよ~』


結個人もスキルが使えるので、索敵等を任せる事も可能らしい。

隠蔽を使えば偵察もできるだろう。

まぁ、使う機会はまだまだ先の話だろうけど。


『"能力【電撃】発動スタートアップ"』


電撃と聞いて、え?と思った瞬間、全身に電撃が走る。

バチィッという音が僕を中心に鳴り響く。

同じ通りを歩いていた生徒が何事とこっちを振り向くが、気にしている余裕はない。

全身が痺れたからだ。


『あ、がががが…』


口からなんか意味不明な声が響く。

眠気は確かに飛んだ。飛んだには飛んだが、痺れが変わりに居座った。


『だ、だいじょぶですか?』


『へ、平気だ…と言いたい所だが、ごめん。やっぱ無理』


バタンと横に倒れる。

下敷きになる寸前に結が肩から飛び立ち、側に座り込む。


『ひぃ、ユキさん!ユキさん!しっかりしてください~』


『す、すまん。これちょっと動けそうにないかも…』


手と足の筋肉が痺れてて、すぐに立てそうにない。


『え、えっと。こういう時の対処法は…"浄化"じゃだめだし、"治療"もだめだし…』


『あら?ユキトさんに…』


『…結ちゃん?』


目だけ動かしてみるとユリアとロナが立っていた。

どうやら一緒に出てきたらしい。


『って、ちょっと。何寝てるのよ。こんなところで』


『いや、その、色々ありまして…』


結がしどろもどろに答え始める。

と言うかその前に僕をどうにかして欲しいんだが…。


『ふうん。足が痺れたのね』


『どうしましょうか…肩貸していきましょうか?』


『いや、二人じゃ無理だろう』


肩貸して貰っても引きずっていかれるだけだろう。

回復するまで時間がかかるだろうし、先に行って貰うことにする。


『…わかりました。それじゃあ先に行きますね』


『校庭で説明あるんだから遅刻しない程度にしなさいよ~?』


そう言って2人が先に行く。

とりあえず道の脇にある木の根元まで運んで貰ったので、そこに寄りかかって痺れが抜けるのを待つ。


『す、すいません。かなり弱めに撃ったんですが…』


『いや、詳しく聞かなかった僕が悪い』


申し訳なさそうに結が言ってくるので、頭を撫でて慰める。

実際どういうスキルを使うのか事前に聞いていればこんな事態にはならなかったのだ。


『大分痺れも抜けてきたし、そろそろ行くか』


気合を入れて立ち上がる。

まだ少し足の感覚がないが、これ以上この場にいると遅刻してしまう。

鞄を右肩から提げて、結が心配そうに左肩にしがみ付くのを確認してから昇降口に向かって歩く。


校門をくぐり、昇降口までもう少しのところで、急に痺れが強くなってその場に倒れそうになる。


『わったったった…』


『あらよっと』


『!?』


倒れなかったことにほっとしながら肩を支えてくれた人を見ると、最近見なかったクラン先輩がいた。


『す、すいませんクラン先輩』


『気にしなくていいぞー?俺もたまたま近くを通りがかっただけだ』


体勢を立て直して、改めて頭を下げる。


『すいません。助かりました』


『そんなことより、面白いことになってるなーお前の周り』


ニヤニヤしながらクラン先輩が言う。

昨日の今日だというのに既に噂が広まってるのかとげんなりする。


『僕のせいじゃないんですけどね…』


『お前がこの学校に入ってきたからじゃないか?こういうイベントが増えたのって』


『そう…なんですか?』


『ま、俺は大歓迎だけどな。見てる分には楽しいし』


ニッコリと良い笑顔で宣言される。

はぁ、まぁ関係ない人にはそんなもんだよな。


『じゃあ、俺は教室行くわ。がんばれよ後輩』


ひらひらと手を振りながら去っていくクラン先輩。

それを見送ってから、僕は校舎の向こう側にある校庭に改めて向かう。


『…?』


『どうかしました?』


『いや…』


気のせいか、さっきより体調が回復してる?

時間が経って回復した…って感じじゃないし…何かしたっけ?


『結、お前何かしたか?』


『ふえ?いえ、特に何もしてませんが…さっきからどうしたんです?』


『うーん?いや、僕の気のせいかも…気にしないでくれ』


首を傾げながらも、時間がないので先を急ぐことにした。






校庭に足を踏み入れると端のほうに生徒が集まっているのが見え、その場に向かう。

集まっている端に辿り着き、そのまま説明を聞くことにした。

…よく耳を澄ましてみると雑談らしき会話が聞こえてくる。


『…じゃあ、今回は3つ巴ってやつなのか?』


『らしいぜ。しかも噂によると勝ったチームには特別な権利がもらえるらしい』


『どこからそんな情報仕入れたのよ?』


『職員室に盗聴魔法仕掛けた』


『おまっそれやばいって!あははっ』


人が多すぎて誰が喋っているのかわからないが、男の笑い声が聞こえて、それにつられて2人の笑い声も聞こえてくる。


『なんというか…皆さんお祭り気分ですね~』


『仕方ないよ。向こうと違ってこっちは娯楽少ないみたいだし、クラスの皆も楽しみにしてるっぽかったしな』


結が呆れたように言うが、僕は皆の気持ちが少しわかる気がする。

向こうの世界と違って娯楽施設が圧倒的に少ないのだからこういうイベントが楽しみになるのは至極当然だろう。

そんな事を考えていると、前のほうが少しざわつき始める。


『お、説明はじまるみたいだな』


少し背伸びしてみると昨日会った校長先生が用意された小さな台の上に登っている所だった。


『あー、コホン。元気にしとるかね、1年生諸君』


校長がそう言ってこちらに耳を向ける…いや、小学生じゃあるまいし、望んだ反応は返ってこないと思うぞ?

呆れた目で見ていると、案の定まわりの生徒もざわつくが返事をするような人間は1人もいない…。


『元気にしてまーす』


『こ、こらユリアっ!』


前言撤回。1人いたよ珍しい方が…。


『あ、ユリアちゃん達は前のほうにいらっしゃるみたいですね~合流します?』


『羞恥プレイを受ける趣味はない』


姿は見えないが、恐らく周りの生徒から奇異の目で見られているだろう。

そんな中で堂々と声をかけられるほど勇者じゃない。

結も『ですよねー』と言いながら苦笑している。

…お前もさらっと酷いよな。人の事言えないけど…。


『うむ、転入生は良い返事をするのう。それはさておき、説明に入ろう』


カラカラと移動式の黒板が校長の横に置かれる。


『まず、試合を行う場所なんじゃが。今回は市街地の訓練場を使用する』


黒板がくるりとひっくり返されると、訓練場の上空図らしきものが描かれている。

地図によると、この訓練場は『Y』の字のような大きな路地があり、その路地に沿って建物がいくつも並んで密集しているらしい。簡略化された地図なのでこれ以上の詳しい地形はわからない。


『各チームがこの地図の右上、左上、真下に配置され、開始の鐘が鳴り次第戦闘開始じゃ』


『勝利条件はチームメンバーの全滅か、代表者の戦闘不能だ。もちろん参加者は【訓練リング】をしてもらう』


校長の側に控えていた教師の1人が説明を付け足す。

まぁ、それは当然だろう。【訓練リング】をしているのといないのとでは危険度が段違いである。


『なお、時間制限も設ける。3時間経っても勝敗が決まらなかった場合はもう一度鐘を鳴らし、その時の残り人数でも勝敗を決める予定じゃ』


長期戦は無理…かな、こりゃ。

別にしても良いが、あまり得策とは言えないだろう。

主にメンバーのやる気の面で。


『さて、まずここまでで質問はあるかの?』


『武器や、使用魔法の制限は何かありますか?』


端にいた生徒が手を上げて、質問する。

うん、確かにそういうの気になるよな。


『【訓練リング】の効果で武器や魔法の制限は特に必要なかろう、じゃが禁止魔法の使用だけは制限するぞい』


禁止魔法というのは耳にしたことがない…だがまぁ、なんとなく予想がつく。

禁断の魔法とか違法魔法とか、そんな感じの魔法のことだろう。たぶん。


『個人の勝ち負けの判定はどうなりますか?』


『今回は【訓練リング】の設定に"動けなくなるようなダメージが与えられた場合"全身を拘束する魔法をしかけてある。それが発動した場合は戦闘不能だ。戦闘不能になった場合は全身に緑色の魔力が出るようにしてある。あとギブアップ宣言によっても戦闘不能だ』


そう答えてから、教師が実際に【訓練リング】を装着して、『ギブアップ』と言うと全身が緑色に染まる。

…なんか気持ち悪いな、あの緑色…あんまりなりたくない。

そんな事をつらつらと考えていると、質問が先ほどので出終わったらしく、一気に周りが静かになった。


校長がまた台の上に立ち、口を開く。


『さて、最後に勝ったチームへの褒賞じゃが、依頼旅行の行き先の自由権を与えようと思っておる』


ざわり。と周りが一気にどよめき、騒がしくなる。


『ちょ、まじかよ、おい』


『依頼旅行の行き先が自由になるって今までなかったよねー?』


と、皆似たようなことを言って騒いでいる。

肩に乗っていた結が耳を引っ張って問いかける。


『ユキさん。依頼旅行ってなんですか?』


『いや、実は僕も知らなくて…』


だから、皆が何に驚いているのかもよくわからなかったり…。

僕やユリアは転入生だから、まだ学校について詳しく知らない。

ロナやアイズ辺りに聞けば詳しいことがわかるだろう。


『周りに人に聞くより、知り合いの方に聞いたほうがいいかもですね。ロナちゃん達と合流しません?』


『ん、そうだな。合流して話を聞こう』


別に念話でもいいのだが、直接話を聞いたほうがいいだろう。

そう思って、ざわめく人混みを縫って歩き、ロナ達を探そうと一歩踏み出す。

だが、ロナ達を見つける前に教師達が大声が話し始める。


『はい。静かに!たしかに今までになかった褒賞ですが、今回は生徒の成長にもっとも適している訓練だと認定されました』


『そのため、一致団結して訓練に集中して貰うために今回の特別な褒賞となりました。皆さん頑張ってください』


『実際の訓練場で訓練するチームは1つ。1日交代でまわしていくこととする。以上、解散!』


そう教師達が締めくくると、早々に台を片付け始める。

ロナ達と合流する前に話が終わってしまった。

どうしようかと思ったが、会った時に聞けばいいかと流す。


今はとりあえずメンバーを確認しようと思い。

昨日配布されていたプリントを見てチーム合流地点に向かう。

今日は①チーム目が訓練場を使用できるらしい、僕達は③チームだ。


校舎に戻り、校舎内を突っ切って、魔法実技室に向かう。

魔法実技室は体育館ほどの広さを持っていて、室内で魔法の練習ができる数少ない場所だ。

壁や床、天井に特殊な素材が使われており、魔法が当たっても破損しないという。

天気の悪い日などによく使用されているらしく、僕はまだ利用したことがない。


学校の地図を思い浮かべながら、移動していくとようやく魔法実技室に着いた。

中に入ってみると、既にメンバーが集まっていたのか、一斉にこちらを振り向く。

58の瞳に見つめられ、一瞬びくりと引くが深呼吸して落ちつく。


『えっと、皆さんが③チームのメンバーだよね?』


敬語と普通語が混じった聞き方をしながら問いかける。

すると、1人の男子生徒が一歩前に出て答える。


『そうだ。君が代表者のユキト・ウォンスールかい?』


『うん。はじめましての方は、はじめまして。それと今回はこんな面倒な企画に巻き込んでしまって申し訳ない』


不愉快だと思っている人もいるだろうから一応謝罪しておく。

すると、先ほどの男子生徒が笑いながら手をひらひらと振る。


『いや、ここにいるメンバー全員この企画を楽しみたいと思っている。だから気にしなくて良いよユキト君』


『そっか。そう言ってもらえると助かる』


『ボクはトラン・マーテリア。よろしくユキト君』


そう言って右手を突き出してくる。

僕も右手を突き出して、お互い力強く握手した。


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