松尾君は絶対勘違いしています④
松尾君は絶対勘違いしています④
松尾俊之
その日、春菜の指定したカフェに座って、僕は窓の外を眺めてました。春先の不安定な空は、朝は晴れていたのに今曇ってる。雨が降り出しそうだなと。天気予報をまめに見る人間でない僕は、朝、雨が降っていなければ傘を持たない人間なのだけれど、天気予報をまめに見る母が持ってけと鞄に滑り込ませたので、その日は珍しく折り畳みの傘を持っていた。だけど、降らないに越したことはないな。雨の中を帰るのは億劫だ。
「トシ、ごめん……」
聞き慣れた声で思考を遮られた。前を見ると、春菜がすまなさそうに立っていた。それを見てわかった。あ、やっぱり、芽衣には会えないのかと。断られて春菜だけ来たんだなと。
どうにかなるかと期待してただけに、結構ショックだった。
すると僕の顔を見ながらすまなさそうにしていた春菜がふと姿勢を正し、自分の後ろを振り返った。
「ちょっと芽衣」
すると、春菜の陰にピッタリとくっついていて見えなかった女の子が僕の視界に現れた。高校の制服を着た芽衣だった。何をやっていても彼女らしい。春菜は別に小柄な人ではないけれど、だからと言って大柄なわけでもない。そんな人の背中にピッタリくっついて隠れるなんて。
春菜という壁を失って僕の前に数ヶ月ぶりに現れた芽衣は、でも、じっと床の方を見ていて顔を上げてくれない。
「久しぶり、中村さん」
「……」
声をかけても返事もしてくれない。やっぱり絶賛、うまくいく気が全然しない。
「ほら、芽衣、座りな」
春菜に言われてしぶしぶと僕の前に座った。すると、立ったままでそれを傍で見届けた春菜がきっぱりという。
「じゃ、芽衣、そういうことで」
「えっ、春菜ちゃん?」
床をじとっと見て、次は僕の前に座ってテーブルをじとっと見て、俯いていた芽衣がパッと顔をあげ、そして、声を上げた。僕は数ヶ月ぶりに芽衣の顔を見て声を聴いた。
それだけで幸せだったんです。
不思議なものだと思う。こういうのをなんと言えばいいのかわからないけれど、一緒にいられるだけで、満たされる。そういう相手が広い世の中には確かにいる。非常に稀なのだけど、確かにいる。
「いい。約束忘れないでね」
春菜は芽衣の何を警戒しているのか、ぱっと体を少し離した後で、芽衣を指差し、捨て台詞を吐いた。それから、タタタッと店を出て行った。芽衣はこの世の終わりのような顔をして(残念ながら決して誇張ではない)、それを見送っていた。
カランとカフェの出入り口のドアベルが乾いた音を立てる。芽衣はまだ諦めきれないような顔で春菜の消えた方を見ていて、僕は彼女の横顔を見ていた。横顔とそれを縁取る彼女のあの柔らかな髪を。
それから、しぶしぶとこちらに向き直った。……とても、機嫌が悪そうに見えました。残念ながら……。しかし、だからといっていちいち落ち込んでいるわけにはいかない。想定内です。このくらいの機嫌の悪さは。
「あの、今日はどうもすみません」
「……」
当然のように返事が返ってこない。
「あ、なにか飲む?コーヒーとか」
「コーヒーは飲まないの」
しゃべった。しゃべったな。下手するとずっと黙られるかと思ってたよ。
「嫌いだった?」
「いや。背が伸びなくなるから」*1
「あ……」
別に今くらいの方が可愛いと思うんだけど、という言葉は口に出さずにおきました。
「身長、高くなりたいんだ」
「春菜ちゃんみたいになりたいの」
そういって、僕を見た。
「……」
何か、ここで、コメントを求められているんだろうか……。
「そうか。春菜みたいに……」
「うん。春菜ちゃんみたいに」
「じゃあ、コーヒーはやめて、こっちに紅茶があるよ」
メニューの紅茶のページを開いて渡すと、ゆっくりと丁寧に眺めて、ダージリンのミルクティを頼んでいた。注文を終えてからちょっと言ってみた。
「でも、中村さんは中村さんなんだから、別に春菜みたいになる必要はないんじゃないかな」
すると、芽衣は真っ直ぐに僕を見た。真っ直ぐに。
「なんで?」
「なんでと言われても……」
ちょっと困って、テーブルの上に乗っていたコップのお水を飲む。正直にいうと、もし、君が春菜みたいだったら、僕は君にここまで興味は持たなかっただろうなと。でも、そんなことを言うのはやっぱりやめておいた。
「えっと、春菜には春菜の良さがあるけど、中村さんには中村さんの良さが……」
「松尾君って、学校の先生みたいなことゆうんだね」
「……」
これは褒められているんだろうか?
「今のそれは、褒められているととってもいいのかな?」
「うーん」
芽衣は首を傾げた。
「じゃ、むしろ、貶されている?」
「……」
少し軽く目を瞑った後に、芽衣が目を見開いて言葉を紡ごうとした。しかし、僕はそれを制した。
「あ、やっぱり言わないでいい」
「なんで?」
「褒められたと思っておきます」
「ふうん」
何か言いたいことがあったのか、ちょっとつまらない顔をした。
「お待たせいたしました」
お店の人が僕たちの注文した飲み物を持ってくる。芽衣にはダージリンのミルクティーを、僕にはコーヒーをことりと置いた。
「コーヒーを飲めるの?」
「飲めますね」
「何も入れないで?」
「それは無理」
ついてきた小さな容器に入れられたミルクをコーヒーに落とそうとした。すると、僕のその様子を芽衣が瞬きもせずにじっと見ている。
「なにか?」
「いや、別に」
「入れちゃダメ?」
「いいえ、別に」
「……」
そう言われて、じゃ、と入れようと思うのだけれど……。
「なんでそんなにじっと見ているのか聞いてもいいですか?」
「ああ……」
少し前のめりになるくらいだったのを姿勢を正して背もたれにもたれ直す。
「そのまま入れちゃうんだって思って」
「どういうこと?」
「くるくるって回してから入れたら綺麗なのに」
「え?」
「だからくるくるって」
芽衣は、そこで、まるでトンボを捕まえる時みたいに指で空をかき混ぜた。言いたいことがわかるようなわからないような……。
「じゃ、中村さんがやって」
「え……」
コーヒーカップとソーサーとその上に載った銀のスプーン。それからミルクの入った小さなガラスの丸みを帯びた容器をテーブル越しに渡す。
「いいの?」
「よくわかんないから、やって見せて」
すると、芽衣は少し嬉しそうにスプーンでコーヒーをくるくるとかき回してから、ミルクをそっと少しずつたらした。真っ黒な液体の中に白い渦巻きがくるくると入り込んでゆく。二人で顔を寄せ合ってそれを覗き込んでた。
「ね、綺麗でしょ」
「なんか、昔、CMでこういう画面があったような」
「コーヒーを飲みたくなるよね、あの画面」
「じゃ、飲む?」
「背が伸びなくなるから」
またきっぱりと断られた。
「でも、かき混ぜるのは好きなんだ」
ちょっとぷっと笑ってしまった。そう、こういう子だったよなと。遅れてやってきた笑いがしばらく、クククと止まらない。
「そんな笑うことですか?」
「すみません」
憮然とした顔をされてしまった。
「それで、今日の話って……」
「……」
さっきはコーヒーが綺麗だって笑ってたのに、今はとても渋い顔をしている。
「あの……」
「はい」
「その……」
「はい」
自分は途端に歯切れが悪くなった。
「春菜からは何て聞いてきた?」
「具体的なことは何も」
ふっと肩の力が抜ける。そりゃそうだよな。協力してくれるとは言っても、後は箸を取り上げて食べるだけってとこまで詰めて持ってくるわけがないよな。こういうことなのだし。
「すみません」
とりあえず、気を落ち着かせようとコーヒーを口にした。
「あち」
そして、舌を火傷した。それで、仕方なくグラスの水を飲む。一度火傷した舌がそれで治ることはありませんが。芽衣はそんな僕の一部始終を黙って見てた。そして、ほっておいても話が始まらないとでも思ったのか、自分から話し出しました。
「松尾君とわたしって」
「うん」
「中学の時、そんな別によく話したとかではないですよね?」
「ああ、はい」
「それが、どうしてこういうことになってるのかと」
「こういうこと……」
「そう、こういうことに」
つまらなさそうな顔をされていました。
「もしかして、ものすごく迷惑だとか思ってる?」
「……」
芽衣はその時も、爬虫類が嫌いな人が爬虫類を眺めるような顔をしていたのだけれど、僕のその言葉にその表情をちょっと修正しました。露骨に出ていたその負のオーラのようなものを、一旦両手でパッと顔を隠してその手を外す時には引っこめていた。
「誤解しないでほしいんですけど」
「はい」
「松尾君を迷惑だと思う人なんていないと思います」
「はぁ」
「松尾君はむしろ、迷惑とは反対で誘えば誘われた人に喜ばれる日向キャラですよ」
「ひなた……」
「でも、日向の人は日向の人を誘わないと。どうして陰キャのわたしに声をかけてるんですか?」
「かげきゃ……」
これ、標準的な日本語なんだろうか?
「日陰キャラのことですよ」
「……」
そして、芽衣はゆっくりと自分の頼んだミルクティを飲みました。
芽衣は……
その日、僕は春菜の助けを借りて、知人というラインを越えて、初めて彼女の世界のようなものに一歩、足を踏み入れた。
僕は、その時まで芽衣のことを遠くから眺めていて、そして、よく知りませんでした。
芽衣は、とても強固な壁を持っている人でした。それは透明な壁だった。だから、彼女に近づいてみようとする人でなくては、彼女がそんなに強固な壁を持っている人だなんて気づかない。
「今日、呼び出したこと、怒ってる?」
「怒ってはないですけど、松尾君は間違ってると思います」
「間違ってる?」
「絶対勘違いしてます」
「……」
僕の慣れない感情は、ゆっくりと時間をかけて堆積されて、それをどう扱っていいかわからないうちに、不意にその相手によって引き起こされた津波のようなものによって飲み込まれた。そして、自分でも全く思いがけないことですが、僕は逆ギレとでもいうのかな?僕としては非常に珍しいことですが、ムッとしてしまったんです。
「なんで自分で自分のこと、日陰キャラだなんて決めつけてるの?」
「それは松尾君には関係ありません」
「それなら、なんで僕のことも、日向キャラだなんて勝手に決めつけてるの?」
「それは……」
「それは中村さんには関係ないですよね」
そして、その後に、僕の理性が戻ってきました。
……最悪、どっからどう考えても最悪だ。
「……ごめん、ごめんなさい」
「……」
「あの、言いたかったのはこういうことでは全然なくて」
芽衣にただ会いたかった。ただ一緒にいられたらそれでいいんだけど、そういうことをどうやって伝えたらいいのかわからない。言葉が一つも出てこない。
芽衣は少し俯いていた。その時、彼女を俯かせてしまったことに心が痛みました。
「中村さんから見たら、僕が勘違いというか間違っているって思えるのかもしれないけど、僕としては間違っているってつもりはなくって……」
「……」
「なんかすごいことがしたいってわけじゃなくて、ただ、たまに会って話したりとかできたらそれでいいんだけど……」
しどろもどろとそんなことを必死で言っていると、不意に芽衣が俯いていた顔をあげた。そして、すまなそうにこう言った。
「ごめんなさい」
正直いうと、その時、泣きそうになったんです。もちろん泣かなかったけど。自分がほっとしたからとかそういうのもあったけど、それだけじゃなかった。僕は、その時、芽衣が、どんな気持ちで、どんな状態でそこにいるのかについて全く知らなかった。知らなかったのだけど、その、ごめんなさいという言葉を言うときに、僕は芽衣と一緒にその場にいて、そして、空気を共にした。
そこにある何か、僕の側じゃなくて彼女の側にある必死さのようなものが空気を通して伝わった。それは一瞬のことでした。僕が泣きそうになったのも、彼女がとても必死にそのごめんなさいという言葉を紡ぎ出したのも。その後、芽衣はため息をついてからこう言った。
「わたしは、松尾君には合わないと思います。誰かと付き合うなんて、そんなことができる人間でもないし。だから、松尾君を嫌な気持ちにさせると思う」
「うん」
「でも、松尾君がそれでもいいというなら、春菜ちゃんにも言われましたし」
「春菜に?」
「うん」
そっとまた少し俯いた。僕から目を逸らして俯いて、僕はその芽衣の俯いた顔を眺めた。
「松尾君のその気持ちが勘違いだったって気づく時まで付き合います」
「……」
この日の自分は、生まれてから今までで一番間抜けだったなと思うんですけど、しばらく芽衣の言ったことの意味がわからず、黙って彼女を眺めていました。あまりに僕が黙っているので、芽衣が怪訝な顔をして俯いていた顔をあげて僕をチラリと見た。
「え?」
自分から持ちかけていながら、相手が三角ではあるものの一応OKを出したというのに、それに対して腰を抜かしそうなほどに驚いている自分がいた。
「それで、いいの?本当に?」
「……」
芽衣は僕をしばらくじっと眺めていました。それから口を開いた。
「松尾君が、特に望まないのならなかったことに」
「あ、いや、そうじゃない。そういう意味じゃ」
慌てた。何やってんだ、俺。そんなふうに浮き足立ってた自分に対して、芽衣は非常に落ち着いていた。というか、沈んでいたんです。
お互いの飲み物を飲み終わって、店を出る。心配してた雨が降り出していた。
「傘、持ってる?」
カバンの中をガサゴソとしてたけど、彼女のカバンに傘は入ってなかった。天気予報を見て傘を滑り込ませてくれた母に感謝しながら、二人で使うには小さい折り畳み傘を開いた。
ずっと会いたくて会えなかった人と肩を並べて歩き、二人を収めることはできない小さな傘を少しでも多く芽衣の方に傾ける。僕のすぐ隣に芽衣がいた。深く息を吸い込んだら彼女の香りがかげるのではないかというほどの近くに。もしも僕が突然隣で深呼吸をしたら、なんだか意味不明なのでもちろんそんなことはしませんでしたけど。
僕たちは、芽衣の言う通り、中学の時には友人までいかない知人の関係で、お互いにお互いをよく知らない。会話がそんな弾んだわけでもなく、黙りがちになりながら駅まで並んで歩いた。僕はそれでも幸せで、でも、芽衣は……。
緊張していたというよりは、沈んでました。
バスに並んで座って、僕の方が早く降りる。僕の降りるバス停が近づいてくると、僕はさっき使って濡れた傘を芽衣に差し出しました。
「松尾君が濡れちゃいますから」
「大した雨じゃないし」
「でも……」
「今度、これ、返す時にまた会ってくれる?」
「……」
芽衣は僕の差し出した傘をすぐには受け取ってくれなかった。僕はでも、手を引っ込めなかった。芽衣は最後にはそっと手を出して僕の傘を受け取りました。
ほんというと、遠回りになったっていいから家まで馬鹿みたいについて行きたかった。だけど、芽衣が嫌がるだろうと思ってやめました。自分のバス停が来て僕は立ち上がった。
「じゃあ」
僕がドアの前に立つと、芽衣は自分も立ち上がって僕の横に立ちました。
「どうしたの?」
「あの……」
傘を両手で握りしめながら悲しそうな顔で僕を見てました。
「先に謝っておきます」
「謝る?」
「きっとわたしはあなたを不快にする」
「え?」
「ごめんなさい」
ドアが開いて、開いたドアのすぐ前で僕たちは見つめ合っていた。
「松尾君、降りないと」
「あ……」
言われて降りて、僕の後ろで音を立ててバスのドアが閉まる。降りても僕は立ち去らずに芽衣を見ていました。芽衣も僕を見ていた。動き出して離れてゆく間も僕は立ち去らずずっと芽衣の消えた方向を眺めてました。
***
不快にするって一体、どういう意味なんだろう?
小雨の中を歩きながら考える。その後、ちょっとぼうっとした頭で、今日春菜の後ろから忍者のように現れてから、ドアのところで別れて、僕から遠ざかってゆくまで、その短い時間に目に映った芽衣の像を繰り返し再現していた。映画を見るような気持ちで。何度も。
そのうち、じわじわと喜びが湧き上がってきた。
その時、僕には決めたことがありました。それは……、簡単に一言で言えば、諦めないとかめげないってことでしょうか。芽衣は確かに難しい。本人と直接話す前からそう思っていたけど、今日話してみて改めてそう感じました。
でも、かろうじて彼女は僕にそのドアを少し開けて立っている。だから、そのドアを決して閉じさせない。こじ開けるわけにはいかないけど、でも、そのドアがいつか僕に向かって大きく開くと信じて、諦めない、めげない、焦らない。
それが、あの日、自分で自分に立てた誓い。
それから、誰かにこの話をしたくなった。相手はもちろん一人しかいない。携帯を取り出した。
「春菜」
「あ、どうだった?うまくいった?」
「ああ……」
その時,コーヒーを混ぜてた時以外は終始仏頂面だった芽衣の顔が思い浮かんだ。
「なんか」
「なに?」
「どっから話せばいいのかな?」
今更ながら,今日の芽衣も芽衣らしいというかなんというか,ある意味ぶっ飛んでたなと思う。
「松尾君のその気持ちは勘違いだと思いますってはっきり言われて」
「ええっ?」
春菜が素っ頓狂な声をあげた。構わず続ける。
「ただね」
「うん」
「春菜ちゃんにきつく言われましたから,松尾君が自分で自分の気持ちが勘違いだったって気づく時まで」
「うん」
「付き合いますって」
「嘘?ほんと?」
「うん。すっごい嫌そうな顔してたけど」
「やったじゃん」
「いや、やったと言えるような状況じゃないんだけど……」
「でも、普通なら、速攻、無理って言われるところを」
「ま、そうなんだけど……」
そして、ふと春菜がもし芽衣に僕を簡単に切り捨てるなと言ってなかったら、今日はまず絶対に即座に断られて席を立たれてただろうなと思いあたった。
「春菜、ありがとう」
「いや、まだどうなるかわからないじゃない」
「ま、そうなんだけどさ。でも、ありがとう」
そして僕の船は港を出て航海を始めた。初めての恋という海に滑り出た。いつ難破したっておかしくないような新米の船員を乗せて。
「じゃ、頑張って」
「ああ、うん」
僕は電話を切った。ちょうど家にたどり着いた。
「ただいま」
「あら、俊之、傘持ってたでしょ」
母がボールを抱えて何かをかき混ぜながら台所から首を出し、僕をみて驚く。酢味噌の香りがした。
「ああ、うん」
「なんでささなかったの?」
「貸しちゃったの」
「え、誰に?」
「友達」
「お友達?」
「うん」
母は怪訝な顔で僕をしばらく眺めた。
「女の子?」
「……」
どうして女の人って時々、妙に勘が鋭いんだろう……
「いや、友達は友達だよ」
「女の子でしょ」
「そんなんどうだっていいでしょ」
「すぐお風呂に入んなさい。風邪引くわよ」
「はいはい」
母は途中から息子に興味を失い、作りかけの料理に関心が移ったようで、台所に戻って行った。
作者によるどうでもいい注釈
*1 コーヒーを飲むと背が伸びなくなる
ネットで調べましたが、カフェイン自体が成長因子を阻むといったことではなく、カフェインの摂取によって睡眠に影響が出た場合、身長が伸びなくなるようです。確か、夜の10時くらいから1時くらいだったかしら?成長するためにゴールデンな時間帯があり、その時間帯に人間は熟睡した方が良いそうだ。コーヒーのためにその時間に熟睡できないと影響が出るようだゾッ!