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作者によるどうでもいい後書き












  作者によるどうでもいい後書き













このトシ君がカエルになってしまう物語は、勘違いの第3章にあたる本編、松尾君は絶対勘違いしていますの中で、何度も拒絶されて落ち込んでいる時、トシ君が妹のえりちゃんに告って断られているのにそれでも会いに行ってはやばいかと相談をし、女子にとって告ってきた男子は殿様ガエルとかガマガエルではなくてアマガエルなら、応じることはできないまでも憎からずであると答えるシーンがあるのです。その後、トシ君が自分がカエルになって芽衣ちゃんといる夢をみる。

その場面を書いていたら、久しぶりに絵を描きたいなと思うくらいその、制服姿で傘を刺して小さな雨蛙と対峙している芽衣ちゃんとカエルのトシ君の様子が可愛かった。

そのせいで、一気にイメージが湧いてプロットのできたお話です。

子供の頃、日本をはじめ古今東西の伝説や神話、昔話が大好きだった私。カエルの王様も覚えてた。かわいいお姫様がカエルにキスするシーンが印象的だったので、タイトルをさっさとファーストキスにして、素敵な題名なのに開いてみたら、カエルになってんのかよっという設定が私的にはミソでした。その前に書こうと思ってたプロットがいくつもあったので、構想が浮かんでからしばらく放置されていました。自分的には本編を書いた後に重要なエピソードはサボタージュでした。専業主婦や一枚足りない、ファーストキスは全部おまけ。さっさとかけるつもりが意外と全部に時間がかかかり、内容量も結構な分量になりました。そして、予定よりも遅くなりましたが楽しみながら書いた作品です。

この作品には実は一つ誤算がありまして、大まかな構想をたて、作品をすでに書き始め、いよいよ途中でトシ君が人間に戻るシーンにまで辿り着いたので、もととなったグリム童話をダウンロードして読んだ。びっくりしました。幼い頃に私が読むか見るかしてたものは、元祖のグリム童話を物語的に脚色されたもので、実際の童話はもっと致し方ない物語というか……

姫はカエルに鞠をとって来させるという労働をさせた挙句、友達になるという約束を反故とし、怒ったカエルはお姫様と王様達が住む王宮にヒタヒタと忍びより、

「お姫様ぁああ」

と扉を叩くというのです!


ホラー、やん!


また、この童話は地方に伝わる口伝をもとにしている。口伝は何か象徴的な出来事を暗に含むものですから、捉えようによっては身分差の結婚のように思えますね。女の側からは望まないが無理矢理結婚させられる何かの出来事を象徴的に物語にしたものなんじゃないかしらと深読みすらしそうな不気味さだぜ。それから、ベッドにまで入ろうとして、殺意を持ってお姫様に壁に叩きつけられたら、あら不思議、みめ麗しい王子様に早変わり。


「わたしは悪い魔女に魔法で…(以下略)」


二人は結婚し、王子様の国である隣国へと移ってゆきましたとさ、めでたし❤︎


じゃねえだろと思いました。お前、自分を殺意を持って壁に叩きつけた女と結婚するのかよぉおおおおおお!これは一体なにを背後に含んだ物語なのだろう???


自分が曖昧に覚えていた物語が実はアクロバティックにやばい話だったと知り、ドキドキしました。ドキドキした後に、自分の作品はどうしようとしばし悩んだ。しばしでした。


いや、使うでしょ。S女でもありM女でもあるハイブリッド女史(→私)が、このS的展開を楽しまないわけがない。で、当初の予定ではありませんでしたが、使いました❤︎


で、自分は書かないけど、ミステリが大好きで、探偵モノや刑事物を山のようにみている私。主軸はミステリではないけど、刑事の動向とか、捜査についての小ネタを書くのが面白かった。楽しみました。そして、本作での名探偵というわけでもないが芽衣ちゃんに加害者として犯人像を分析されるという、あれも楽しかったな。


ただ、リアルを求める途中で、当初の予定はなかったのだけど、男性のレイプについてチラリと入り込んでしまう。実は調べました。それで、流石にこれは洒落にならんなと。あまり面白がって書くのはやめようと思って、少し出てくるのみで終わらしてます。


笑い主導で書き始めた話だけど、裏ではカエルになっちゃったって話だけど、表では男の子が誘拐された話になっちゃって、戻ってきたのだけど親も友人もどう接していいのかわからないというシリアスな要素が発生してしまいました。これも予定外だったのね。予定外だったけど、まぁ、最近はシリアスなものを書くより笑いに軸足を置いていましたが、別に真面目なことを書かないと決めているわけでもなく、大事に育ててきた子供が突然行方不明になり戻ってくるという場面を、ちょっとだけ母親の気持ちで書きました。


たとえ無事だとは言っても心に傷は負うわけで、おそらく親も一生引きずると思いますね。そんなもんです。ただ、この物語はシリアス路線のものではないから、バランスを取るために最後は軽く撫でるようにしか書きませんでした。で、芽衣ちゃんの一言が出るわけで。


「加害者もこんなことになるとは思わなかったって反省してますよ」


正確にいうと反省はしてませんが、予想外だったのはほんと。パッと思いついたときは、100%笑い話でした。ただ、たった数日でも子供や友達が行方不明になるって笑えない出来事ですね。命があって無事ならよかったって問題ではないですね。そう思うのは他人事だからで、当事者の気持ちというのは分かってない。


ニュースの中でたくさんの人が亡くなっています。人が事故にあったりとか、亡くなったりとか、酷い目にあったりとか、それこそレイプされたりとか、作品の中でこれからも書くことがあるかもしれない。その時、そういうことに慣れてしまってはダメだなぁと思いました。


自分は作者ですから、登場人物とは別の人間ですが、できる限り、そこまで、感情移入して書きたいなと思うのです。中には自分自身が経験したことのないことを書くこともあるのですが、その時は、その経験者の気持ちに思い馳せます。そこを丁寧に生きていかなければダメだなと。


人間ですので、集中力や想像力の限界もあり、いつもいつもそんなことができるわけではなく、自分的にはやはり、自分のその登場人物への共感力のようなものは、今も発展途中だと思ってました。海に潜って魚介類をとる海女のようなところが、物語を書くという行為にはあるなと思っていて、深く潜ってより良いものをとって海上に戻ってくるには技術が必要なんです。


私も潜る練習をしているのですよ。その中で、たくさんの映画や小説の中で、たくさんの人が酷い目にあっているわけだし、それこそフィクションの中ではなくノンフィクション、つまりは現実で、酷い目にあっている人たちがたくさんいる。テレビ画面を通してみると、それらもまるでフィクションのように思えるのですが、そうではない。


もう一つ別のことをいうと、物語を書くと一言に言っても、この世にはありとあらゆるタイプの作品が溢れています。最近思うのは、マキシマムとミニマムという点なのです。結局は大きいものを書くのか、それとも小さいものを書くのかということで、カメラワークといってもいいと思うのですが、表現には空の上から俯瞰するように描く視点と近寄れるだけ近寄って描く視点とに代表される、手法というものがあると思うのです。


そういうことを漠然と把握しつつ、でも、どうしたらいいのか、どう書けばいいのか、そして、自分はなにを書くべきなのかに非常に迷ってしまうのです。


今だって分かってて書いているわけじゃないのですが、ただ、思ったこと。


マキシマムの視点で見れば、人が死ぬことに始まり、ありとあらゆる出来事というのはありふれているのですが、ミニマムの視点、つまりは個人からすればそれはとんでもない出来事なんです。だから、私は、ありふれた出来事をとんでもないという新鮮な感情で書きたいということなのかもしれません。


世界にとってはありふれた出来事が、個人にとっては初めての出来事で、そしてかけがえのない出来事であり、時に、耐え難い出来事である、ということでしょうか。


マキシマムという意味であれば、今はテレビがあってネットがあって、私たちは映像でのみ見たことのある出来事を、あたかも自分が実際に経験したかのように錯覚している。


それこそが現代の貧しさかもしれない。

この世にありふれた感情なんて本当は存在しない。感情なんて本当はいつもみずみずしいものです。


とんでもなく長い後書きになってしまいました。これも予定外です。


風邪をこじらした息子の咳の音を聞きながら、自宅より

汪海妹


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