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 そうそう、書き忘れていましたが

神々には神力(しんりき)と云うものがあり、

森羅万象しんらばんしょうの技を各々持っています。

なお、神力が強いほど年齢を若く保てるのです。


 当然このお二人は物凄く若いですよ、

ただ精神に悪影響あくえいきょうを及ぼすのか

スサノオ様は母上に会いたいと、

年甲斐としがいもなく駄々(だだ)をこねまくります。


 地獄へ出掛ける前にお(うかが)いを立てるのは御立派ですが

結局反対されるのですから黙って降りたら(よろ)しいのに……


 いつものようにいましめるアマテラス様、

行きたいと暴れまくるスサノオ様。

ええ、これが喧嘩の原因です。


 長男のツクヨミ様は知らんぷりですよ、

彼はお姉さんと仲が悪いので関わりたくないのでしょう。


 まあ、太陽神と月神が仲良くなったら

朝と夜が無くなる恐れがある為、

誰も仲裁ちゅうさいには入りません。


 ですがアマテラス様とスサノオ様はマズいですね、

また天岩戸あまのいわと事件が勃発ぼっぱつしては困ります。


 すぐにコレを解決しなければなりません!

持って来た封筒から写真を取り出して


「スサノオ様、ほ~らイザナミ様です。

撮ったばかりの最新写真、超激(ちょうげき)レアですよ!」


 スサノオ様が私の手からそれを奪います。


何故(なぜ)それを早く渡さぬのだ! あゝ相変わらずお美しい」


「気持ち悪いのう……いつまでマザコンでおるのじゃ?」


 それは禁句きんくですよ、アマテラス様。


「母が恋しゅうて何が悪い!!」


「もう大人じゃ、早く独り立ちせぬか!」


 火に油を注いでしまいましたね、こうなったら最終手段です。


「今度イザナミ様からお手紙を頂けるよう頼みます。

しかし、この争いも御報告しなければいけませんね」


 ビクンと固まる暴君ぼうくん、スサノオ様。


「は、母上には話さぬと約束してくれ!」


「ふん! 騒ぎ立てる其方そなたが悪いのじゃ」


 再び喧嘩が起こりそうなので、

あらかじめ呼び寄せた踊り子を活用しましょう。


「お話し中失礼します。アマテラス様、

久しぶりに天宇受売アメノウズメ様の踊りを拝見しては?」


「おお、アレは楽しい踊りじゃからな」


 目線でアメノウズメ様に宜しくと指示を出してから

次にスサノオ様の注意をらしておきます。


「では、アマテラス様は舞台のほうへ。

スサノオ様、貰うばかりではなく

此方(こちら)から書くのも重要だと思いますが」


「そうだな。愛しい母に素晴らしき手紙をしたためるぞ!」


 スサノオ様は嬉しそうに(うなず)

やる気に満ちて、いそいそと部屋へ……


 二人を離せばもう喧嘩は起こりません。

コレで一件落着ですね、はあ疲れましたよ~


 申し訳ありませんが、

デパートは止めて近所の洋菓子屋さんへ寄ることにします。

あの店でも『雲のスフレ』は売ってますしね、

自分へのご褒美ほうびにお菓子を頂きましょう!


 神様ましてや身内同士でもこうして喧嘩をなさるのです。

どの方も我儘わがまま破天荒はてんこうな自由人、

天上人てんじょうびとさえも完璧ではないという事ですね。

――とても親近感が湧くでしょう?


 私を含め、どの神様も好き勝手に動いております。

ですから皆さんも伸び伸び生きてくださって結構なんですよ。


 日本は多神国家たしんこっかですから様々な宗教や宗派の方、

または無神論者むしんろんしゃの方もいらっしゃるでしょう。


 我々としては自己の命、

そして他者の命を尊重すれば他に文句など御座ごさいません。

 どの神も心良くみちびけるよう

常に努力しておりますので安心して生を(まっと)うして下さいね。


 最後に白い黒子を見てもリアクションはひかえめに……

長々とお付き合い頂き、本当に有難(ありがと)うございました。


 それでは皆さん、良き人生を!

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