日本の神々 《神話編》

０６

　待ちに待った休日、

さっそく独身寮で身支度(みじたく)を整えますよ。

　ここは綺麗な日本家屋で家賃も安いし

朝と夕食付きなので本当に助かります。

　それでは趣味と実益を兼（か）ねた

天界デパート支店巡（してんめぐ）りを致しましょうか。

　特にデパ地下にある『雲のスフレ』は絶品なんですよ～

あと最新のお菓子やパンなどもチェックしなくては！

　フンフン、皆さんもデパ地下お好きですよね。

鼻歌まじりに襖（ふすま）を開けて踏み出すと、

忙（せわ）しなく廊下を走る音が……なんだか嫌な予感がします。

「ホスセリさま、また喧嘩です！」

　嗚呼、この一言で理解する自分が悲しい。

部屋の小物入れから封筒を取り出し

一路、高天原（たかまがはら）まで愛馬に乗ります。

　実は全ての動物に嫌われてる訳じゃありません。

可愛い白馬（はくば）は私の大事な友ですよ、

これが天馬（てんま）になれば最高なんですけどねぇ～

　しかし折角のお休みがなくなりそう……

はあ～すぐに出掛（でか）ければ良かったです。

　度々喧嘩する神は私の親戚で、

あの天照大御神（アマテラスオオミカミ）様と須佐之男命（スサノオノミコト）様ですよ。

アマテラス様は曾祖母(そうそぼ)にあたる神様で、

天岩戸（あまのいわと）は有名な神話となっています。

　太陽神のアマテラス様は、

弟スサノオ様の乱暴狼藉（らんぼうろうぜき）にブチ切れて

天岩戸に隠れてしまうお話です。

　一方、スサノオ様も八岐大蛇（ヤマタノオロチ）を倒した英雄。

とても派手な経歴を持つ姉弟ですから

二人が争うと高天ヶ原が大騒ぎとなります。

　高天ヶ原とはアマテラス様が管理している島で、

天上区（てんじょうく）とは離れた場所で暮らしております。

　弟のスサノオ様は『根の国』に住んでいましたが、

現在は天界に戻り立派なお屋敷を持っていますよ。

　根の国はネズミだらけでしたから

私としては引っ越して貰(もら)い助かりました。

色々説明している間に目的地へ到着、

さてさて使いの者を派遣（はけん）しますか……

「済みません、天宇受売命（アメノウズメノミコト）様を呼んで下さい」

　保険として踊り子を確保しておきます。

彼女は天岩戸前で踊った女神、

云わばアマテラス様のお気に入りですからね――