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天界は常春の陽気でつい忘れてしまいますが、
そろそろ神々が一堂に会する時期が差し迫って参りました。
――あの有名な出雲会議です!
暦で神無月に神様方が出雲へ集結します。
主催は大国主命様、
最初は家族だけの会合で
そこに他の神々も集まったのが始まりです。
オオクニヌシ様は縁結びの神様ですから
主に誰と誰を結ばせるか話し合う他、
翌年の作物や大まかな収穫を協議します。
神様随一の色男として名を轟かせていますが、
実はかなり苦労なさっているお方なのです。
何しろ兄たちから二度も殺害され、
その度にお母さまの刺国若比売が
多神に祈り生き返らせると云う
なんとも恐ろしいご家族なのです。
きっかけは重症を負った因幡の白兎を助け、
その御礼として八上比売を紹介されて結婚したことです。
兄たちは彼女に会いたくて地上へ来た訳ですから
八上比売と結ばれた弟を恨み、執拗に虐め殺します。
困った母神は身内である須佐之男命様を頼り、
『根の国』での修行が始まるのです。
そこで強くなっていくのですが、更に
スサノオ様の娘、須勢理毘売命と恋に落ち
宝とお姫様を担いで地上へ戻ります。
強靭な神となったオオクニヌシ様は
少彦名命と大物主の力を借りて開墾、
医療等を整え出雲の国作りをするのです。
艱難辛苦を乗り越えた立派な神様ですよ!
ただね~女性関係がダラシないのですよ。
モテ男は沢山の女性と婚姻を結ぶので
正妻の須勢理毘売は大層ご立腹となり、
新しい妻とその子供たちを虐めまくります。
八上比売は最初の妻でしたが
猟奇的な彼女を恐れて実家に帰りました。
西洋の神ゼウスとヘラのような関係ですね、
殺意が湧いた兄神たちの気持ちも分かるような―
いえいえ、尊敬する神様ですよ!
ただちょっと羨まし……ゴホン。
ええと、私は独身で常に恋人を募集しております。
父や兄ほど美丈夫ではなく
母と弟ほど美形では有りませんが、
そこそこイケてると思うのです。
幼少の頃、兄から軟弱者と言われたのは
つまり『嫋やかな美少年』の意味ですよね!
話がどんどんズレてしまい、失礼しました。
もちろん出雲会議のお手伝いもしますよ、
案内状にお酒や食事の発注など色々大変なのです。
やはり全体的に裏方の仕事ですね~
改めて書くと地味で皆様は退屈かもしれません。
明日はお休みですし、
華やかにショッピングの実況でもしましょうかね。