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04

 ええと……何処(どこ)まで語りましたか?

ともかく私の仕事は貴人(きじん)にお土産(みやげ)を届けたり、

各地のイベントの手伝いや交渉の手配をするのです。

あれ? 最終的に『何でも屋』と思えてきましたよ、

まあ深く考えるのは止めましょう。


 目下の悩みは移動手段の確保です。

因みに桃太郎さんと金太郎さんの移動は

お供のキジとタカが二人を乗せます。

ヒーローは登場の仕方もカッコイイですね~


 ところで私だけ蜘蛛(くも)の糸って(ひど)くないですか?

さっそくキジとタカに交渉してみます。


「私も一緒に乗せてくれませんか?」


「3人は定員オーバーですよ」


「ワシは(あるじ)と認めた者しか乗せませんぞ!」


 現実的な目線で(さと)すキジと、

タカなのにワシと呼ぶ鳥にツボりますが……


「うぷぷ、そこをなんとか!」


「アンタ、ワシを見て笑うのは失礼じゃぞ?」


 うく、笑いを(こら)えていたのにバレました。

どうやら交渉は決裂したようです。


 それでも簡単には諦めませんよ、

次は人事の月詠(ツクヨミ)様にお伺いを立ててみます。


「私の移動に動物を与えてくれませんか?」


「天界の動物はプライドが高く、人や品物を乗せたがらない」


「では、觔斗雲(きんとうん)を安く借りれませんか?」


「料金は変更不可(へんこうふか)、あれは中国の借り物だから高いのだ」


 チーン、はい終了です。

ガックリ項垂(うなだ)れているとクスクス笑う声が――


「うふふ、お気の毒です。ホスセリさま」


 絶世(ぜっせい)の美少女、かぐや姫ですよ。

彼女はツクヨミ様の部下ですから

こうして話すことも有ります。


「天女は羽衣(はごろも)で飛べるからいいですよね……

はっ! 私もそれを装着すればイケるのでは!?」


「ほほ、羽衣は天女しか扱えませんのよ」


 くう、それもダメか。


飛天(ひてん)に飛び方を教われば宜しいのでは?

嗚呼(ああ)、もう習われておりましたわね。うふふ」


 うわあ、キツイ嫌味がきましたよ~ 

そう、かぐや姫は高飛車(たかびしゃ)な性格をしています。

 それは昔話でも有名ですよね、

なにせ求婚者に無茶振(むちゃぶ)りをするのですから―


「今まで通り、蜘蛛の糸で我慢(がまん)してくれ」


 ツクヨミ様が肩をポンと叩いてまとめます。

悔しいので帰りに森へ立ち寄り、

鳥たちに(えさ)()きながら頼みました。


「誰かぁ~私を乗せてくれませんか~!」


 現金なもので餌を食べてから逃げていく鳥たち。

人生は思い通りにはいかない――

身をもって体験している所存(しょぞん)でございます。


 コホン、天女の話が出たので

彼女たちの仕事も紹介しておきましょう。

 基本《お迎え課》に所属(しょぞく)しています。

これは善行(ぜんこう)な魂を迎えに行く仕事で、

天女たちが楽曲を奏でながら地上へ降りるのです。


 その際、警護に飛天(ひてん)が付きます。

飛天と云うのは飛べる男性のことで

彼らは常に帯刀(たいとう)していますが、

得意技は"()り"なのですよ。

 高い上空からの落とし蹴り……

どう考えても無事では済みません。


 その他にも息を吹いて豊穣を(うなが)したりしますね。

これは天女だけの仕事、飛天は警護のみとなっております。


 皆さん羽衣伝説はごろもでんせつはご存知ですか?

説所(しょせつ)ありますが、一番有名なのは

男が水浴(みずあ)びをしていた天女の羽衣を取り、

嫁にするという話が一般的でしょう。


 この事件があってから警備が強化されて

天女には必ず飛天が付くようになりました。

 皆さん羽衣を取ってはいけませんよ、

飛天が落とし蹴りしてきますからね~


 同じく天女であるかぐや姫は

あの苛烈(かれつ)な性格を改心させる為に

地上へ落とされた訳ですが、

逆に殿方たちを混乱させたと

ツクヨミ様が慌てて迎えに行きましたよ。


 いやぁ~加虐性かぎゃくせいのある美人って怖いですね!

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