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さて、次は我々神の仕事を少し教えますね。
言わずと知れた伊邪那岐様がトップで
いわゆる首相のようなものです。
日本の組織図で照らし合わせると
大国主様は環境公害などの総務省、
天照大御神様は太陽神ですから国土交通省。
月詠様が厚生労働省で天女派遣を行い、
須佐之男命様は力が強いので防衛省。
我が父、邇邇芸命は内閣府で官房長官、
兄の火照命も同じく内閣府で
母は農林水産省と言ったところでしょう。
別国にて黄泉の国は伊邪那美様、蓬莱
竜宮城では弟の火遠理命が統括していますし、
他の省は主に神世七代の方々が担当者となり、
私ホスセリは外務省に勤めています。
外務省と申しましても黄泉の国で魂を引き取ったり、
蓬莱との国交に尽力するだけで割と地味な仕事をしていますよ。
ただ地獄で減刑された
魂を取りに行く時が一番辛いですね。
国交手段が限られているので
蜘蛛の糸を使って降りますが、
実は反対側では魂が登ってくるのです。
「あっ、白い黒子がいる!!」
毎回大騒ぎですよ、
止めて~此方を見ないでください!
私だってカッコよく登場したいのですが、
なにせ顔を晒すのが苦手なので
黒子のような頭巾を被っています。
もちろん黒は不吉ですから白に変えていますがね……
本当は觔斗雲で颯爽と降りたい!
でも料金がバカ高くて気軽に借りることが出来ません。
黄泉の国では伊邪那美様への挨拶が重要で
下界に降りる際は流行りのお菓子を持ちます。
例えばパンケーキやマカロンなど……この間
バスクチーズケーキを渡したら物凄く喜ばれましたよ。
伊邪那美様は皆さんご存知ですよね、
伊邪那岐様と共に日本国を創った神様です。
お二人は仲の良い夫婦でした。
しかし、火の神を生んだ事で大火傷した
伊邪那美様がお亡くなりになったのです。
それを悲しんだ伊邪那岐様は妻を追って黄泉の国へ。
ですが以前とは違う姿を見て絶縁します。
失意の中戻った伊邪那岐様は穢れを払い、
その時に天照、月詠、須佐之男の
三貴神と呼ばれる方々を生み出すのです。
一方、伊邪那美様は黄泉の主催神となり、
黄泉津大神、道教大神とも呼ばれるように。
地獄では鬼の方が刑罰を行い生前の罪を裁くのですが
大した罪の無い魂は我々に託されます。
そうそう、黄泉の国と蓬莱のお供には
桃太郎さんと金太郎さんが付きます。
彼らは今も昔もヒーローで何処へ行っても人気者なんですよ。
そして私は白い黒子……影の薄さが際立っています。
しかも蓬莱には弟の浦島太郎がいますしね、
三人揃うなんて某携帯会社のCMですか!?
ははは、まあ冗談はこれくらいにして
彼らは美丈夫で優しい方々です。
弟のホオリとも仲良しなので
いつものようにハムやお肉、カップラーメン等を届けます。
何と言っても竜宮ですから
どうしても魚介中心となるそうで、
私が差し入れすると心から喜んでくれます。
母に似て、とっても可愛い弟なんですよ~