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バランスボール

作者: HAL model

marvelのアントマン観てたら

小さくなって大活躍!

だいかつやく⋯⋯ できるのかなぁ⋯⋯

バランスボール


バムバムバムバム

ギュッギュッギュギュ


大学も夏休みだし、休みの間に弾んで痩せるぞ。


バムバムバム数を数えて124回目

ズルっと転がってコケた。


⋯⋯


⋯⋯ いったぁ⋯⋯



いたたた 頭打ったわ⋯⋯


後ろ向きにひっくり返って

倒れ込んだ



目を開けると

大きなバランスボールが見えた。



え?


ええええ?







ボールのてっぺんが見えない。



ビルみたいな大きなバランスボール⋯⋯



違う ボールだけじゃない

遥か彼方に天井が見えた。


⋯⋯ 私 縮んでる。


身長 15センチだ。



え、⋯⋯ なにこれ どう言う事⋯⋯



バランスボールから落ちて

小さくなっちゃった。



ま、まずいですよコレは。


おーーい

おーーい



部屋をシェアしてる友達は

洗面所から出てきたところだった



おおーい!



友達と目が合った。


友達は私を見て 爆笑してる。


いや 驚くところでしょう

笑うとこ??



「スマホじゃん」


たしかにスマホサイズだった。



「小さくなれたんだ?」



知らないって、私だって今急に縮んだんだって。

バランスボールから落ちたら小さくなってた事を説明すると

「へぇ 不思議。」

とだけ言った。


リアクション薄!


「一気に体重落ちたね 」


いや そういうダイエットなの?バランスボールって。

確かに体重落ちたけどさ。


友達が床からテーブルの上に乗せてくれた。


私のスマホが 置いてある。


ホームボタンを押すと 起動した。

身長15センチになっても指紋認証するんだ、

ちょっと感動。




「動くリカちゃん人形」


私を見て 友達がゲラゲラ笑ってる。


もーー笑うとこじゃないよー

こっちは焦ってるのに。


と、とりあえずgoogleで 調べよう


音声認識が出来るの最高。


「バランスボール 小人化」


Amazonの商品ページがずらっと出てきた。


続いてダイエットのページ。


そりゃ 無いよねーー

バランスボールでミクロ化って。


着てる服まで縮むってどんな魔法なんだろう。


「ボールで小さくなったなら ボールで大きくもなれるんじゃないの?」


確かに原因は食べ物でも 薬でも無くて

バランスボールだとしか思えない。




友達が私を掴んで バランスボールに乗せた。

ボールは転がらないように友達が押さえてる。

ふにゃふにゃしてトランポリンにでも乗ってるみたい。

安定しないから座って 跳ねようとしてみたけど

体重が軽すぎて沈まない。



くるくる向きを変えてみたり

立ったっり座ったり

色々やってみた。



なんの変化もない。

これ以上縮んだら 困るなぁ。



「縮んだ時は 後ろに転んだんだよね?」


うん、バムバムバムと弾んでて

そのまま後ろにズルっと行ったんだった。



「じゃあ 前に飛んでみようよ 落っこちるみたいに」


え、こんな高さから飛んだら死んじゃうよ。



「私、キャッチするからさ」


大丈夫かな


「大丈夫 大丈夫!」


軽いんだよなぁ ホントにキャッチしてよ?


「せーーーの」


私はバランスボールから ピョンとジャンプした。

友達に向かって。


空中で いきなり身体が爆発したように

元の大きさに戻った。


「わあああああああああああ!!」


友達が 私を抱きとめて

2人一緒に転んだ。

後ろがソファで良かった。


「戻った!」


「なにこれすごい」


2人抱き合ったまま笑った。



どういう仕組みか

ボールで弾んで 後ろに倒れると15センチに縮んで

前に倒れると元に戻ることがわかった。



この大きくしたり小さくしたりが

なんの為の機能なのかもわからないけど

とりあえず 後ろに倒れて頭を打たなきゃ縮まない事もわかった。


それから 私はバランスボールを使うのをやめたけど

友達は 「戻る方法がわかってるんだから大丈夫」と

普通に使っていた。

確かに普通に使ってる分には

なんの変哲も無いボールなんだけど。


時々友達は 油断したのか、

思いっきり滑って縮んでいた。



縮むたびに 友達は「この能力を何に使おうか」

そう言って2人で考えたけど

縮んで食費が減るくらいしか思いつかない。


縮めばスプーン一杯くらいの量でも

食べきれないけど、かといってスプーン一杯だけの食事を用意することもできないし。


チーズケーキが何よりも好きな友達は

チーズケーキを用意してから

ボールで縮んで 巨大チーズケーキにダイブしてた。


それでも 1/3 くらい食べた所でギブアップした。

自分の身体より大きなチーズケーキだもの

無理だよね。

でも「大満足」といってパンパンになったお腹をさすってたっけ。


そう

結局 小さくなっても チカラが強くなるわけでも

特殊スーツがあるわけでも無いし、移動手段も無いし

着てるもの以外の着替えも無い。

映画のような便利なスーパーヒーローをやりたいわけでも無いし。


映画館とかは 友達が縮んで リュックの中に入り、私が1人の料金で入ったりしたけど

縮んだサイズだと 軽すぎて空席に座ろうとすると 椅子が跳ね上がって座れない。

そもそも 近くの席に人が居たら 友達をリュックから出せなかった。


15センチというサイズが中途半端だと

2人熱くなって語り合ったけど

それが1センチになったところで

有効な利用方法が思いつくわけでもなかった。





まあ なんか映画館のように

ズルをするような事しか出てこないよね。

1人分の料金で 電車やバスや入場料とか、

1人分タダになっても縮んだままだし 人目があるからコソコソしてなきゃならないし、2人で色々考えたけど どうしても縮んでズルをして便利になる使い方が思いつかなかった。



とりあえずズルもダメだし

外の世界もダメだ、となった。



友達は水着になって浮き輪をしたまま縮んで

そのままバスルームの浴槽で泳いだ。


「湖だよこれ!」

すごく楽しそう



友達が撮ってと言うので

浴槽周りを片付けて 動画を撮って

友達に言われるままに


「トリック撮影シリーズ」

「可愛いは正義!」

と題して それっぽいタグつけして

SNSにアップしたら ものすごい数の

「いいね」が付いた。

水着姿の小さな友達は確かに可愛かったし。


動画を見た人は

上手にミニチュアっぽいトリック撮影をしてる作品だと思ってくれてたみたい。


調子に乗って私と友達で

いろんな動画を撮った。



チーズケーキにダイブしてる友達


リビングを体操服着て全力疾走する「女子2m走」


ヘッドホンの中に頭を突っ込む友達


コップの縁に乗ってる友達


超巨大なソファの真ん中に座ってポテトチップを食べてる友達は すごくシュールで 本当に人形が動いてるみたいだった。



友達は見た目も可愛いし 現役の大学生で

半年でフォロワー数20人万超え

すっかり時の人になった。


しばらくして

企業から広告の依頼が来るようになって

今やミニチュアになった友達が使う商品は

翌日ネットで どんどん在庫切れになっていく。


私と友達には すごい広告収入が入るようになった。

ネットで動く金額って桁が違うんだ⋯⋯


機材も色々揃えたし

とにかく友達が可愛く映る企画や撮り方を研究した


「こんなの長く続かないよ」


そういって友達はケラケラと笑っていた。

うん、私もそう思う。


でもすごいな

私1人だったら 最初に縮んで戻れた時点で

絶対に終わってた。



今じゃ海外のメディアにも紹介されて

不思議な動画をつくるアーティスト扱いだ。

そりゃ不思議だよね CGじゃないって宣言してるのに15センチの友達が動いて喋って 時にはダンスまでしてるんだから。

もう友達は変装しないと外を歩けないよ。


思いがけず 超お金持ちになったけど

友達の言うように

こんなの何年も続かないだろうし。



で本当に

それはある日突然終わった。


バランスボールが壊れたの。


「あれ?」


本当、あれ?って感じ


何度やっても 滑って転んでも

友達は縮まなかった。


ボールから転げ落ちて

床に寝そべって天井見て

呆然としてる友達と目が合った。


「壊れたみたい」


「⋯⋯ だね」


目を合わせたまま

吹き出して2人で笑った。


夢の時間が終わったんだ。

それをハッキリと自覚した。






その日友達は

チーズケーキを買ってきた。



「一緒に ケーキにダイブして食べよう」



そっか、もう出来ないんだ

私もケーキにダイブしておくんだった。



2人でケーキを食べながら笑った。






おしまい

自分に起こった 何かしらの変化や

目の前の出来事を チャンスに変えられるのか

スルーして見過ごしてしまうのか そんな事を考えて描きました。 背伸びせず 今の等身大で 出来得る事でチャンスに変えて行く、そんな物語です。

読んで頂き ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] ポテトチップスのサイズは?PR商品のサイズは? そうか!それを握りしめて一緒にダイブするんだ! これは楽しい!!! 自分ならお金になると知った瞬間、どうやって独占してやろうか考えてしまうな。…
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