表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/107

日曜のフェス

 本当に終わりなんだな。学生じゃあなくなるって、おかしな気分だよ。お前たちはさ、気楽でいいよな。

 いつものように、屋上で奴がそう言った。

 お前だって、自分で望んで働くんだろ? どんな形でもさ、楽しんだもん勝ちなんだよ。お前ならさ、きっとどんな状況でも楽しめるだろ?

 はっ、学生を続ける奴に言われてもな。

 俺たち五人は、きちんと国大入学を決めていた。まぁ、ケンジがいるし、カナエもいる。受からない方が不思議なくらいだ。

 来週だったよな、卒業式? お前たちはどうするんだ? 予定がないならさ、みんなのパーティに参加しろよ。

 卒業式後にみんなで集まって食事をするって、なんだか恥ずかしいよな。俺はそう思っていたが、ケンジはすでに参加をすると言っていたな。俺はまだ、悩んでいたよ。ユウキと二人でって方がいいんだよな。それが本音でもある。

 そういえばさ、日曜のフェスにあの人が出るんだろ? 初参戦でいきなりトリって、凄いよな。

 奴はあの日、俺たちの楽屋に顔を出したんだ。聞き屋にそうしろと言われたらしい。そう言った聞き屋本人は来なかったんだけどな。

 お前たちもさ、いつかあの舞台に立つんだよな。羨ましい限りだよ。

 まぁ、その予定はしているよ。いつになるかは分からないけれどな。

 俺も、立てるかな?

 奴がそんな言葉を言うとは予想外だ。俺は奴の顔をじっと見つめた。

 なんだよ! 俺だって一応はバンドマンなんだぜ。悪いのかよ!

 そういう意味じゃないんだけどな。俺が驚いた理由は別にあるんだ。奴が軽音楽部だからって馬鹿にするはずはない。音楽を楽しむ気持ちは、平等だからな。俺が驚いたのは、奴の言葉に真剣さが帯びていたからだ。本気で立ちたいならきっと立てるさ。言葉にはしなかったが、そんな思いで奴を見つめていたんだ。

 次のライヴとかはどうするんだ? まさかあれで終わりじゃないだろ?

 ありがたいことに俺たちは、レコードデビューまで決まっているんだが、奴にはまだ言っていない。次のライヴは残念ながら決まっていないしな。

 卒業したらもう、こうしてお前と会えなくなるのか。寂しいよな。

 なにを言ってやがるんだよ。いつでも会えるじゃんかよ。お前たち、付き合ってるんだろ?

 奴はケイコと付き合っている。なんでかは知らないが、二人はそういう仲になっていたんだ。まぁ、ケイコの方が奴を好きになったようなんだけどな。女の気持ちっていうのは、ときに宇宙の理解をも超えるんだ。守ってあげたくなるのよと、カナエが言っていた。そういうもんなのかも知れないが、俺はやっぱり、守られるよりも守りたい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ