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横浜西口

 気がつけば俺たちは、三年になっていた。俺は大学には興味がなかったが、カナエは受けるつもりだと言っていたよ。ケイコは陸上部をまだ続けていて、そこそこの成績を残し、そこそこに有名な大学側からも声をかけられていたんだが、そっちは断るつもりだそうだ。ヨシオは親との約束で、大学に行かないならバンドは辞めなくてはならないと言っていた。ケンジはよく分からないな。受けてもいいが、そんな暇があるのか? そんなことを言っていた。

 それで俺は、幼い頃に父親とした約束を思い出した。俺たちの隣町には、国立の大学がある。俺は当時流行っていたシールが欲しくて、国大に受かったら箱ごと買って貰う約束をしたんだ。

 後で知ったことなんだが、国大では教育学部が有名らしい。しかも、音楽科なんていうのがある。目的は音楽教師の養成だろうが、それでも楽しそうだ。記念受験には最適だろ? 俺の提案は、みんなに受け入れらたよ。

 一度ライヴを見たいって言われたんだけど、どうする? 西口ではまだやってるの? 最近あまり見かけないって友達が言ってたけど。

 ナオミからの連絡はいつも兄貴伝いだ。兄貴宛ての電話で、会話をする。面倒だが仕方がないよな。

 最近はあまり出来ないんだよ。警察がうるさくってさ。とりあえず相談して、日にちだけでも決まったら伝えといてよ。どんな感じなんだ? その人?

 さぁね。私はよく分からないよ。いい奴だけど、実際に演奏している姿は見たことないから。有名らしいけど、その世界ではって話よ。本人も力になれるかは分からないってさ。けれど興味はあるみたいだよ。横浜西口って言ったら、あそこはユニークだ。なんて言っていたから。

 俺は聞き屋に直接、いつならできるかを聞きに行った。チャンスかどうかは分からないが、先へと繋がる可能性はあるんだ。

 夜中ならいつでも構わないぜ。その誰かさんが来られるならな。流石に夜中じゃいつものような騒ぎにはならないだろうからな。それじゃあ来週だな。俺はそう言い、立ち去った。来週のいつだよ! なんて声が聞こえたが、無視しておいたよ。

 翌週の金曜日、夜中に始まった俺たちのライヴは、良くも悪くも普通だった。ナオミが誘ってくれた誰かは、来るとは言っていたようが、俺たちに声をかけては行かなかったから、実際どうだったのか、そのときは分からなかったよ。まぁ、どうでもよかったんだよな。ライヴが出来るだけで、幸せだった。


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