表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/107

イジメ

 俺たちはとにかくライヴをしたいと感じ始めていた。たまにユリちゃんやナオミの友達をケイコの家の地下室での練習の誘ってはいたが、より多くの人前で演奏したかった。音楽っていうのはさ、内じゃなく、外に発するもんなんだよ。

 ユリちゃんも彼女も、俺たちの音楽を楽しんでくれたよ。文化祭にも出ればよかったのにと、彼女が言った。

 その翌日から、彼女はクラスで孤立した。可愛そうだが、俺にはなにもできない。ただ一緒になってシカトをするなんて真似はしなかった。俺はそれまで通りに付き合いを続けた。けれど、女子のいじめって最悪だよな。無視をするだけじゃなく、陰口や陰湿な態度によって追い詰めていくんだが、俺が助けようとすればするほどいじめは助長していくんだ。俺はあえて普通に接することにしたんだが、それでよかったのかどうかは分からない。

 まさかだが、ナオミがイジメの主犯だとは驚いたよ。俺はやっぱり馬鹿なんだ。気がつくのが遅すぎた。後になって考えると、確かにおかしな点はあったんだ。彼女がシカトされ始めたとき、ナオミの態度がよそよそしかったのを覚えている。クラスの女子が、教室に入って来た彼女を冷たい視線で眺めていた。おはようの声に、誰も反応しなかった。俺は朝は忙しいんだ。本を読んだり、音楽のことを考えたりしているからな。挨拶をするのは、目が合ったときだけと決めていた。

 彼女は、なにかあったのかな? なんて呟き辺りをキョロキョロしていた。いつもと違う雰囲気に、俺は顔を上げた。そして彼女に、小さく挨拶をする。よう。その程度だったが、彼女の顔が一瞬だけ明るくなったのを感じた。

 おはよう! 彼女はいつものように元気な声でナオミに挨拶をした。いつも通りだなと俺は安心したんだが、挨拶を返すナオミの声が震えていたことは、気づかなかったことにしてしまった。その表情がいつもと違っていたことにもな。

 クリスマスにお正月、一年で一番楽しい季節がやって来た。ケンジは大はしゃぎだったな。学校は冬休みだし、バイトがなければバンドだけに集中できたんだが、そうもいかないのは仕方のないことだよ。

 冬休み中に初ライヴをする予定でいたんだが、俺たちが調べたライヴハウスは、どこもいっぱいで、使用できなかった。だから俺たちは横浜駅の西口でやろうと盛り上がったんだが、そっちは機材の問題で諦めたよ。ただ、ケンジだけは聞き屋のギターに乗せて歌を歌っていた。あいつの歌声は、街中に響いていたよ。うるせぇな! なんて酔っ払いの声さえ掻き消していく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ