表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
47/107

喫茶店

 俺はその日、バイトを遅刻した。もちろん連絡は入れといたよ。お陰で注意はされたが、怒られはしなかった。

 俺は駅前で、彼女のことを三十分は待っていたはずだ。部活動をしていない彼女がそんなに遅れる理由が分からなかった。

 遅いじゃんかよ。俺はそう言った。

 仕方ないでしょ? こんな所で待ち合わせする方が悪いのよ。彼女はそう言うが、俺には理解できない言葉だった。

 じゃあどこならよかったんだよ!

 せめて横浜駅までは行きたかったわよ。

 なんだよ、それ? 分かるように説明できないのか?

 俺と彼女はそんな話をしながら歩き、電車に乗って横浜駅に向かった。

 タケシ君って、馬鹿なの? それとも天然? なんてことを言われたが、俺には馬鹿と天然の違いが分からなかった。俺は俺だよ。なんて言おうとしたが、それこそ馬鹿っぽいなと思って踏みとどまった。

 私たちもね、そういう風に疑われてるの! 彼女は顔を真っ赤にしながら俯いて、小声でそう言った。

 なんだよそれって、感じたよ。俺にはどうでもいいことだった。彼女との仲を疑われても、俺は困らない。なんせ俺たちは友達だろ? 恥ずかしいことなんてないよ。勝手に思わせとけばいい。そんな感じの言葉を、彼女に伝えた。

 タケシ君って、大物かも知れないわね。彼女は目を見開きそう言った。

 だと思うだろ? なんて俺が言うと、突然冷めた目つきになり、ため息をこぼす。

 私にはね、好きな人がいるのよ。彼女がそう言ったのは、横浜駅の地下にある喫茶店に入ってからだった。上手い紅茶を飲ませてくれる店なんだ。しかも、高校生の客は少ない。通りからも店の奥までは見通せない。身を隠すにはもってこいの店だ。洒落た店を知っているのねって、よく言われるよ。

 誰だよ、それ? 言っとくけどな、俺だって好きな人はいるんだぞ!

 なんでそこで対抗心燃やすのよ! 今は私の話が先でしょ?

 どっちが先かなんて、関係ないよなって思ったけれど、その言葉は飲み込んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ