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大活劇

 で、どんな大活劇だったんだ? 俺は三文芝居に付き合うことにした。見ている側はイラっとするが、演じている側は案外と楽しいものなんだよな。

 俺のクラスの副担任、奴がこの物語の主人公だ。屋上の管理をしているのは、奴だったんだよ。誰かが悪さをしていないか、見回っている。お前と彼女のように、この階段でイチャつく奴らも取り締まっている。生徒達からは影で巡査と呼ばれ、恐れられているんだ。

 その話は初耳だったが、確かに奴は、学校中を歩き回っている。なんの授業を担当しているのか、俺は当時知らなかった。まさかだよな。あんな図体をして、繊細なんだ。俺は意外と、好きな先生の一人だよ。

 あの日俺は、ここでこうして座っていたんだ。隣はお前じゃなく、可愛い先輩が座っていた。さっきのお前のようにイチャついていたんだよ。俺はまぁ夢中でさ、奴の足音に全く気がつかなかった。おっ、お前らぁー! なんて叫びでようやく奴が目の前に立っていることに気がついたんだ。声の方向にパッと顔を向けた俺は、奴の表情を見て固まってしまった。可愛い先輩は、奴を見て叫んだよ。きゃー! へんたーい! ってな。奴は顔を真っ赤にさせ、よだれを垂らしていた。しかもその視線が、可愛い先輩の下半身に向けられていたんだ。俺は先輩のスカートを捲し上げてパンツの上からお尻やらあちこちを触っていたんだ。はだけたシャツの間にはもう一方の手を突っ込んでいたよ。

 羨ましいとういうより、恥ずかしいよな。俺だって興味はいっぱいだが、学校でなんてごめんだよ。二人きりで時間を楽しみたい。

 奴はきっと、彼女なんていないだろうって思うよ。あの見た目で変態だ。俺ならごめんだな。

 変態かどうかは別として、彼女がいるようには見えない。見た目がどうとかじゃなく、不器用な男なんだよ。奴の良さを理解できるほどのいい女はそうはいないってことだ。もったいないよな。

 可愛い先輩は、奴に向かっていつでも持ち歩いているポーチを投げつけた。突然のことに奴は大慌てだよ。いや、あ、ご、ごめんない。そう言いながら、慌てて階段を降りていったんだ。

 俺はずっと、奴のことを体育教師だと思っていたんだ。身体が大きく筋肉質で、ラグビー選手のようだったからな。ジャージ姿しか見たことがなかった。おまけといったらなんだが、髪の毛は薄く、ヒゲは濃い。まさかあれで音楽教師だとは誰も思わないだろ? しかも専門はクラシックで、バイオリンが得意だ。合唱部の顧問でもあるそうだよ。

 俺は立ち上がり、先輩のポーチを拾い上げた。少し散らばった中身が、そこの踊り場まで転がっていた。それらの全てを、俺は一人で拾い上げたんだ。先輩はずっとそこに座って、俺を眺めていたよ。俺が渡した全てを、乱雑にポーチの中に入れようとしていた。可愛い先輩への恋が冷めた瞬間だった。


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