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ホーミー

 確かになぁ。どうでもいいって言やぁどうでもいいか。

 長髪男はそう言いながら、タバコの火を指で揉み消した。

 そういえばケンジの奴、タバコ辞めたんだってな。喉によくないからとか言いやがって、それでもロックかって言うんだよ。

 ケンジがタバコを辞めていたことに、俺は気がついていなかった。そもそも、タバコを吸い出したのも最近だったしな。それに、ケンジにタバコは似合わなかった。

 俺たちは別に、ロックとかなんだとかって、そんなことには興味がない。バンドなんてさ、楽しんだ者勝ちだろ? ジャンルなんて糞食らえだよ。自分がいいと思えばなんでもありだ。演歌もシャンションも、ホーミーだっていいんだよ。

 なんだよ、それ。

 ホーミーっていうのは正確に言えば歌唱法の一つなんだけどな。なんて、俺はいちいちそんな説明はしなかったよ。言ってもきっと、長髪男には興味がないだろうからな。それに、俺もいまいちよく分かってはいなかった。全てはヨシオから聞いたことの受け売りだからな。

 さてと、午後の授業は昼寝にでもならねぇかな。長髪男はそんなことを言いながら、大きく伸びをして屋上を出て行った。

 俺はもう少しのんびりしようかと思っていたんだ。けれど長髪男が、俺に向かって叫んだんだ。

 早くしろよ! 授業始まっちまうだろ!

 別にいいじゃんか! 俺がそう言うと、そう言うわけにはいかねぇんだよ! いいから来いよ! そうまで言われてしまえば、引き返すしかないよな。授業に戻るのは、億劫だよ。

 ここは基本立ち入り禁止なんだ。長髪男はそう言った。だったらなんでお前はここに入れるんだよ。そう言おうとしたが、長髪男は案外とおしゃべりなんだな。自分から話してくれたよ。


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