表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君が奏でた音楽  作者: 鶯
4/8

ピアノとバイオリン

そんなこんなで連れて来られたレストラン、の近くの楽屋


途中で凄く豪華なドレスと化粧を施され、準備万端な私たちであります


ただ問題が1つ


「私ピアノ弾けないよ?」


「じゃあバイオリンで…」


「もっと無理」


アホなのかこいつら


剣人さん、あなたがそんなんだから私が苦労するんですよ


私が言った言葉をそのまま相手に伝えてくれないんですよね〜


コイツは唯一の通訳係だからもうどーにもならない


というわけで渡されたバイオリンと楽譜


おかしいだろ


「えーっと、ここをこうすればこの音が出て…」


「剣人ってバイオリン弾けるんだ」


「まぁある程度はね〜でもヴィオラの方が好き」


「違いが分からん」


「ヴィオラはバイオリンよりも…」


「あー大丈夫大丈夫説明しなくていいから」


と、軽く教えてもらったところ、何とか弾き方は覚えた


意外と簡単じゃね?


楽譜見ながらちょっと弾いてみた、あ、この曲知ってる


確かモーツァルトのピアノとバイオリンのためのソナタ21番、だっけ


好きな曲だったから知ってる


「弾けそうかも…」


「マジか!じゃあちょっと合わせよ」


「了解」


何故かあったグランドピアノを弾き始める剣人


それに重ねるように弾いていく、でもまだ1回目とあって若干ズレがある


でもまぁ聞かせられない程ではない


「○☆♪°×〆*○!」


弾き終わると、ドアが開いて金髪の人が拍手しながら入ってきた


「あ、バリエールさん」


「…もしかして」


「えっと、このホテルのオーナーで、父さんの親友のステファン・バリエールさん」


オーナー…親友…うわぁ


「★▲◎☁︎★●?」


「#♪△△*○」


それから2人はよく分からない言葉でちょっと喋ってた





『やぁ、久しぶりだねケント、また上達したんじゃないか?』


『マジで⁉︎ありがとー!』


『ところで彼女は?』


『俺のガールフレンドの杏奈』


『そうかそうか!凄くバイオリンが上手だね』


『そうなんだよー、初めて弾いたんだって、凄くね⁉︎』


『初めてでこれとは…紛れも無い天才だ』


『そーそー、多分ピアノも弾ける』


『この後のショーに期待だな』


『俺も天才だから!』


『分かってるって』





「杏奈、そろそろ時間だってさ」


「ん?ああ、分かった」


気づいたらお喋りが終わってた、長かったなぁ…


バリエールさんに連れられて私達はレストランに向かう



「うわぁ…凄っ…広っ…人多っ…」


「そう?国際コンクールの方がヤバイ」


「まず国際コンクールがどんなものか知らない」


「へぇー」


へぇー、じゃないよ



「じゃあ行こっか」


「え、もう⁉︎」


「だってもう皆んな待ってる」


「心の準備が…」


「大丈夫だって!弾いてれば気にならない!」


「ちょ、ちょっと!」


とりあえず私は高速で手に“人”を3回書いて飲み込んだ、効果は多分無し


そんなことやってる間に私はすでにレストランの中心のピアノの前にいた


隣で剣人が綺麗にお辞儀、私も慌ててお辞儀


凄い拍手


緊張する…


ぽろん、と剣人がピアノを弾き始めた


遂に始まってしまった


私が入るタイミングまで、まだ時間はある


安心させるように剣人が目線を合わせてくれる


そうだ、私はただの演奏者、観客を楽しませる人…誰も私の事、名前さえも知らないんだから


大丈夫、失敗したって誰も責めない


そう考えると緊張が全て飛んで行った



弓で弦をなぞる


バイオリンの美しい音色がピアノと混ざり合う


息を呑む、自分の音さえも聞こえない


目をつぶって音を感じる


音楽を奏でるって、こんなに気持ちいい事だったんだ



気がつくと曲は終わっていて、レストランは拍手で溢れていた


後ろから剣人が私の肩に手を乗せて「やったな!」と小声で嬉しそうに言った


こうして、私の最初で最後の舞台は終わった



…と思っていた


ピアノとバイオリンのためのソナタ21番


この話書くために某動画サイトで聞いたんですが、凄い良い曲でした!


高級レストランのBGMに使われそうな曲だなー、と思って選んだのですが、観客の皆さん、食べる事も忘れるくらい真剣に聞いてたのですね


恐るべし


生で聞いたことのない私は、ただただ夢見るだけなのでした



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ