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君が奏でた音楽  作者: 鶯
3/8

革命のエチュード

部屋に入るとすぐ、私は思わずスーツケースを倒してしまった


驚きすぎて


「凄い…何これ」


「ショパン(をイメージした)部屋ー凄くね?」


後ろから入って来た剣人がスーツケースを投げ飛ばして言った


中世ヨーロッパ風の家具にショパンの肖像画、ピアノまで置いてある


日本にはこんなホテル絶対ないよ


金持ちヤバす


「ちなみに聞くけどさ、ここ日本円だとどのくらいなの」


「あー…10万くらいじゃね?分かんないけど」


「じゅ、じゅうまんえん?」


これうまい棒1万本買えるよ?それをたった1日でぱぁに…


もったいないもったいない


「あ、ピアノあるじゃん!」


すげー!とはしゃいでピアノに駆け寄る剣人


え、今気づいたの?遅くない?


「勝手に弾いていいの?」


「いいじゃんいいじゃん、弾いちゃダメなら置いてないって!」


「それはそうだけど…」


私の心配など御構い無しに弾き始める


音が次々と流れる…凄く綺麗


「…ってこれショパンじゃないやん」


思いっきりベートーヴェンやん


ここショパン部屋じゃないの⁉︎


ここはショパン弾けや!


「えー…だって何かショパンの曲って何かインスピレーションっての?湧かないんだよなぁ


…でもまぁここショパン部屋なんだもんな、ショパン弾くかぁ」


ちょっと不服そうだけど、私のリクエストに応えて『革命のエチュード』を弾いてくれた



この曲はショパンが演奏旅行でポーランドを離れていた時、ロシア帝国からの独立を目指した革命が失敗し、故郷のワルシャワが陥落したとの報を受けて作曲されたといわれている


とても難しくて、当時どんな曲でも初見で弾きこなす、ピアノの魔術師とも言われていたフランツ・リストでさえも初見で弾けなくて失踪したとか


いい曲だなぁ…



曲が終わると、剣人はカッコつけてお辞儀


笑いながら拍手をすると、インターホンが鳴った


え、インターホンあるの、この部屋


「はーい!」


私は通じるはずもない日本語で返事をしてドアを開ける


すると


「え…?」


黒いスーツを着た人が1人立っていた


ま、まさかやっぱり弾いちゃいけなかった系?


それで追い出されて…みたいなのある…?


すると黒スーツさん、満面の笑みで私の手をガシッと掴み、ブンブン振り始めた


「◇☆○×♪△!」


な、なんて?


「剣人ー⁈なんて言ってんのこの人⁉︎」


にやにやしながら剣人は答えてくれた



「ピアニストが足りなくて、レストランで演奏してほしいらしいよ


俺“達”に」



…は?






革命のエチュードって大変ですよね、小学6年生の頃弾きました、発表会でバッチリ失敗しましたけどね!



リストさん、初見で弾けなくてパリから数週間失踪して、その後ショパンの前で完璧に弾いて驚かせたそうです


それで、ショパンはこの曲をリストに捧げたとか


ピアノの詩人、恐るべし

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