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第7話 職業と玉とスマホ

 

 部屋に案内してくれた兵士にお礼をして、念のため誰もいないか確認してから一息つく。


「では早速、(ギフト)!」


 玉を起動させ貸与(たいよ)の項目を選ぶ


 ●どの職業にしますか?

(鍛冶(かじ)師/錬金(れんきん)調合術師/魔法術師/愚者(ぐしゃ)/王国騎士)


 選べる職業は5つあった。愚者が入っていたのにはちょっと笑ってしまった。多分俺のだろう。王国騎士はおそらくパトリック



 1つずつ試してみよう、まずは鍛冶師


 ●鍛冶師貸与(たいよ)中‥‥‥‥‥‥‥‥完了。


 ☆強化付与を獲得しました


 ビッと言う音と共に声が聞こえた気がした。

 同様に他の職業も貸与(たいよ)していく


 ☆錬金調合術を獲得しました

 ☆呼称発動を獲得しました

 ☆軽量化を獲得しました

 ☆自由を獲得しました


 鍛冶師:強化付与

 錬金調合術師:錬金調合術

 魔法術師:呼称発動

 王国騎士:軽量化

 愚者:自由


 のスキルが手に入った。


 職業を変えると異世界人がスキル欄に移動していた。


 他の職業はスキル欄に移動せずに消えてしまう。だが、覚えたスキルは消えなかったのでスキルが簡単に手に入った事になる。


「よし実験だ! 使ってみよう……が使い方が分からない」


 ステータス画面を開きどうすればいいのか考えてみる


「うーん」


 は! もしや? 


 ボタンを押す気持ちで、ステータス画面の錬金調合術に気持ちをこめてみるが…何も起こらない。何か素材が必要なのかもしれない。


「あ!」


 スマホがあるじゃないか、手もとにないのですっかり忘れていた。(ギフト)で収納スペースから取り出す。


 むむ、ここは電波が来ていない。片手で上にやり画面を見ながら部屋中を歩き回る


「いて」


 テーブルに体が当たってしまい玉が転がる。


「危ない!」


 思わず両手で抱え込む、その瞬間(ひらめ)いた。そう、あの方を


 ベッドに座り左手に玉を右手にスマホ


「アイハバたま~アイハバすまほ~ 錬金調合術!」


 ゴッ


「痛!」


 玉にぶつけたスマホはスルッと(すべ)って飛んで液晶が割れてしまった。玉の方は欠けてしまいヒビが入ってしまった。


「ぐぐうぁあ あー! 何をやってるんだ俺は」


 床にへたり込む。もう死にたい……俺は駄目なやつだぁ!


 *


 10分程、自分に対して汚い言葉を()びせ続けた結果、ようやく気持ちが落ち着いてきた。


 ステータスを開くと職業が愚者だった。スキルの自由も軽率に変わっていた。


 ーこれは愚者のせいだ!


 そう確信した陽二はすぐさまヒビ割れた玉を起動する


 ブブーンシュン ブブン、ブンブン、ブブーンシュン


 壊れた……もう号泣である


 それから起動と強制終了を続けていると


 ピカーン


 ●起動*認

 ●ステー*****み中‥完了

 ●ステータス読み込さ中‥‥‥**

 ●デーやはース読み込さ中‥‥‥‥エリー


 文字化(もじば)けしているが何とか起動できた。


 良かった。本当に良かった、ありがとうママン!


 試行錯誤を繰り返し、なんとか錬金調合術師に変更することができた。


 目の前にヒビ割れた玉と画面の割れたスマホがある。


 画面などもはやどうでもよい。錬金調合術師の俺には関係ないからだ!


 2つを手にすると頭の中にあるビジョンとそれを可能にする言葉が浮かんでいる。視界の隅には注意を(うなが)す言葉が映っているのだが、陽二は気付いていなかった。


「ふっふっふ はーっはっはっ! 俺は勝った! もらったな!」


 はっ いかん! また調子にのってしまった


「大人になれ陽二。落ち着け、行くぞ!!」


 気合を入れスマホと玉を持つ手に力を込めて


超錬金調合(スーパーアルケミ)!」


 と叫ぶ


 両手の間に光の玉が現れスマホと玉が吸い込まれた。

 光の中で2つが混じりあい融合していく、それを頭の中で考えた2つの物質になる様に意識を集中する。


 意識が朦朧(もうろう)とするが全力を尽くして考えをイメージする。


「ゲホッ」


 吐血してしまった。相当無理な超錬金調合なのだろう。体中が痛い、しかし!


「まだだ! まだ終わらんよ! もう少し……」


 意識を集中し続ける


「お、終わった……」 


 陽二はそのまま倒れ込んでしまい、気を失ってしまった。


 翌朝


 目を覚ました陽二の手の中には、玉の機能をOSとして組み込んだスマホと傷のない玉があった。


 ーーーーーー陽二が気絶している頃ーーーーーー


「リックよ、本当に体は大丈夫なのか?」


「はい。驚きましたが……」


「で、勇者とはどんな感じなのだ?」


「HPは若干減りましたが、魔力は大幅に増えました。そして体が…何と言えば良いのか…か、軽くて強くなれる予感がします」


 パトリック=クルシュナイン

 王国騎士 LV.17


 スキル

 鉄騎乗馬 軽量化 剣術 

 ⬇


 パトリック=クルシュナイン

 勇者 LV.0


 スキル

 鉄騎乗馬 軽量化 剣術



 HP270/MP50

  ⬇

 HP150/MP100


 ●HPとMPはステータスに表示されず、意識すれば視界の隅に表示される。


「父上! お願いがあります。早速、明日から勇者を鍛えたいと思います。皆を守れる勇者になるためにも精進しますので、城を離れる許可を」


「わかった。勇者の件もワシから魔王へ報告しよう。この世界の勇者ならば問題ないだろう。リックよ、あまり過信して道を間違うなよ」


「分かっております。人族を守るために力を使います」


 翌朝、リックは勇者のレベル上げに出発した。


 *


 超錬金調合したあと気を失ってしまい、そのまま寝むってしまったみたいだ。

 辺りには血のあとが残っている。何か壮大な事をやった気がする……。


 早速スマホを見てみる。陽二がイメージしたことは


 玉の機能をスマホに取り込みタッチパネル式にすること。

 収納スペースに入れると勝手に充電できる様に願ったこと。

 だいたいで良いのでヘルプ機能をつけること。


 スマホを手に取り願ったようにできているか確認してみる。 


 電源は入るが電池が残っていないので、収納スペースに入れて充電機能を試してみる。

 そして部屋を出てメイドさんに(おけ)とタオルをもらう。着替えはない。


 (おけ)(ギフト)をためて顔を洗い、ついでに顔から全身をふく。もう一度絞って床を掃除して終わり。


 ベッドに座りスマホを確認して見ると電池は満タン。

 おおよそ15分。異世界なので勿論(もちろん)ご都合主義全開で急速充電。


 電源を入れるといきなり職業の画面になる。もう専用端末になってしまった。

 結局のところ、どうして電波が届いていたのか分からず(じま)いになってしまった。


 画面には

 『職業』の1つだけ。職業をタッチ


 鍛冶師 錬金調合術師 魔法術師 愚者 王国騎士 無職


 ワンタッチで職業を変更できる様になった。他の機能もいろいろと付けたかったのだが、ヘルプ機能を付けるのが精一杯だった。


 ちなみに無職は異世界人になる。勝手に追加された模様。


 職業が変更できるか試してみる


「よっしゃあ! 変更できる。次は説明だな」


 まずは鍛冶師を長押し。長押しで説明が読めるのだ


 ●鍛冶師:錬金、鍛冶職人を極めた者。強化付与取得。


 ●錬金調合術師:錬金、調合を極めた者。錬金調合取得。

 MP+1000。錬金調合と全魔力を代償に『超錬金調合(スーパーアルケミ)』を使える


 ●魔法術師:4属性以上を極めた者。呼称発動取得。MP+1000。

 呼称発動と全魔力を代償に『完全固有魔法(オンリーワン)』を作れる


 ●愚者:愚か者に相応しい行動や言動をしてしまう。

 発想力は高いが、実力が伴わないので実現できない事が多い。

 愚者スキルは自動で変化する。


 ●王国騎士:中級戦士、王国の守りをつかさどる


 おおよそ理解できたけど説明文を見る限り、先にスキルか職業を極めないと取得できない上位職らしい。


 得したのは間違いないが愚者は厄介だな…大事(だいじ)な場面で大きなミスをやりそうだなぁ。

 はっ! フラグを立ててしまったのか?


 次はスキルの説明を読んでみる


 ●強化付与:()る無生物に効果を最大限付け与える。必ず成功する。


 ●呼称発動:存在する魔法を名前と想像力(イメージ)で発動させる。固有魔法・高度な魔法・その他は属性の熟練度に応じて可能。


 ●軽量化:装備品の軽量化


 ●軽率:愚者変化スキル、軽率な行動をしやすい


 錬金調合は代償でなくなってしまった。


「よく分からん。検証が必要だな」


 しかし愚者のスキルはマジでヤバそうだ! これ捨てられないのかなぁ? 

 軽量化はいいなぁ。剣とか(よろい)とか重たいだろうしね。

 強化付与は素材が必要だろうなぁ…

 錬金調合術はちょっともったいなかったな……


 呼称発動は魔法を名前と想像力で発動? 試してみよう


 昨日カリンが使った水の攻撃(アクアニードル)をイメージする。


 ーー水が針の様になって指先から真っすぐ飛んでいく。大きさは、太さ直径1センチ円柱、長さ10センチくらい。


 どうだ?


 人差し指を壁に向け唱える


水の攻撃(アクアニードル)!!」


 ウンともスンとも。やり方が違うのかな?


 ステータス画面を見てみる


 中山 陽二

 錬金調合術師 LV.0


 スキル

 異世界人 強化付与 呼称発動 軽量化 

 軽率


 意識すると視界の隅に数字が見えた


 HP 10 MP-


 MPが『ー』になっている…、おそらく代償で取られたからなのだろう。


 職業を変えてみるか


 中山 陽二

 魔法術師 LV.0


 スキル

 異世界人 強化付与 呼称発動 軽量化 

 軽率


 視界を確認すると……


 HP 10 MP 2000


 MPが出た! MP2000って、魔法術師ぶッ飛んでるなぁ。


 説明にMP+1000と書いてあったのを思い出す。すると()のMPは1000ってことかな? もしかしたら、錬金調合術師のMP+1000も加味(かみ)されているのもしれない。


「良くやった魔法術師さん。グッジョブ!」


 そこで錬金調合術師の説明文を思い出した。


 スマホを錬金したから代償としてMPと『錬金調合(スキル)』がなくなった。

 

 だとしたら…もう一度、錬金調合術師に変えたらスキルとMPは復活するんじゃない? かと…


 試してみるとスキルとMPは復活しなかった。


 そりゃそうだ。世の中そんなに甘くない!


 だがスマホを錬金した方が確実にためになるはずだ。

 そもそも、棚からぼた餅なのだ得はあっても損はない!


 それよりも魔法だ! 先程と同じように想像(イメージ)しながら唱える


水の攻撃(アクアニードル)!」


 指先から想像した水の針? が飛びだした。カリンと比べるとスピードは遅いがうまくできたと思う。


 次はパトリシアの回復魔法だ。


 ーー想像中ーー


 体中がポカポカして全身の傷が癒えていく感じ……違うな。暖かい女性に包まれ、傷を優しく()でられ体中から元気が出る感じ…


 よし。このイメージでやってみよう。


 想像しながら唱える。


「ヒール!」


 あー暖かい。すごく気持ちが良い。なんか眠たくなってきた‥‥‥


 はっ! と目を開ける陽二。


「何か違うなぁ、でも元気になった気がするなぁ」


 水の攻撃(アクアニードル)はMP消費10 。ヒールは25だった。


 めちゃくちゃ使えるやん!


 他の職業にも変えてステータスを確かめてみた。


 魔法術師   10/2000

 鍛治師    10/2000

 王国騎士   10/2000

 愚者     10/2000 

 錬金調合術師 10/ー

 異世界人   10/6


 錬金調合術師のMPは代償で『ー』

 他の職業はボーナスの+2000が反映してるとして納得できるけど、異世界人の『6』と言うのが良く分からない。


 『6』ってなんだべさ


 分からないのを悩んでも仕方がないので、取りあえず放置で!


 さて、次は何をするべきか……

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