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第3話 開拓地マツサ

短いです

 


「おい、着いたぞ」


 いつの間にか眠っていたらしく、オッサンのモーニングコールでお目覚めだ。そう言えばオッサンの名前はバリソンだったっけ。

 もともと人の名前を覚えるのが苦手な方なので、今までオッサン扱いだった。


「バリソンさん、お疲れさまでした。そしてありがとうございました。ついでに、ごめんなさい」


 深々と頭を下げる


「感謝の気持ちは分かるが、なぜ謝るのか分からんな」


 バリソンは背伸びをしながらこちらを見る。旦那、肩でも()みましょうか?


「じゃあ衛兵にあいさつするか」


 入り口まで移動して馬車を降りる。


 町の側面には石垣で作った頑丈な柵が張り巡らしてある、おそらく町を一周しているのだろう。 

 入り口には、横開き式の柵が設置してあるけど……防衛には役に立たないだろう…蹴り一撃で壊れそうなほどボロい


 この入口は朝の4時から夜11時まで開いているらしい。


「やあ、バリソンさんお帰りなさい。特に問題はありませんでしたか?」


 20前後らしき兄ちゃんが話しかけてきた


「おう、ライアン。問題なしだ。今日の当番はおまえなのか?」


「はい、夜はまだ危険みたいなので昼間ばかりですけどね、ところで横の方はどなたですか? 見たことのない顔ですね。」


「ああ、こいつの名前は陽二、平原で寝てるのを見つけてな、危ないから連れて来てやった。多分、異世界人だ」


 ちなみに朝起きたとき、自分に対して(通訳)を唱えているので何を言っているのか理解できる。人に使うよりも自分にかけておけば安心だし都合がいい


「初めまして、中山 陽二と言います。」


 なるべく笑顔で答える。営業スマイルだ


「本当ですか? 初めて見ましたよ。僕たちと変わらないのですね。ライアンです。よろしくお願いします。一応、この町の衛兵なので困ったことがあったら頼りにしてください」


 なんて良いやつだ


「と言うことは、領主様に連絡しないといけませんね。少しお待ちください。」


 ライアンは横の建物に入っていき伝令役を走らせた


 *


 30分程、3人で駄弁(だべ)っていると偉そうな人がやって来た。


「こんにちは、バリソンさん。ライアン君、ご苦労さまです。そちらの若者が異世界人の方ですかね?」


 60歳位だろうか、ハゲ散らかした初老の男性がニコニコしなが歩いてくる。


「よう、ヨーシン」


「ヨーシンさん、お疲れさまです。こちらの方です」


「初めまして、陽二です」


「初めまして、副領主のヨーシンです。早速ですが、こちらにご足労願いますか?」


 先程ライアンが入っていった建物に案内される


「はい。よろしくお願いします」


「じゃあ、そこの椅子に腰掛けて下さいね、すぐ終わりますからね」


「はい」


 ヨーシンとテーブルごしに座る、審査が始まるらしい


 鑑定中________________


 中山 陽二 男17歳

 勇者 Lv.0


 スキル

 異世界人


 ___________________




「なんと!…あ、いえ、では少しばかり事情を聞きましょうかね」


 陽二は、ここまでの経緯や元世界の事などを説明する。ヨーシンは、ものすごく真剣にいろいろと聞いてくる。少しばかり興奮しているらしい。


「では、これからの事を説明しますね。まず陽二君は王都に行ってもらいます。そこで王様との謁見があると思われます。その後、準備が整うまで各部門の室長に協力してもらい、元の世界に送り返すことになると思います。」


 今までにも何人かの来訪者があったらしく、一応マニュアルがあるらしい。


 まず王に謁見、そこでこの世界に残るか戻るのかを選択できるらしい。

 そして各部門に元世界の情報や技術を知っている範囲で話せば良いらしい。その情報料が元の世界に帰るための代金になるのだ。


 慈善事業じゃないのだ、そりゃそうだ。


 準備が整うまで約3カ月。その間は王都の中であれば、ある程度は自由に行動できるみたいだ。

 正直なところ元の世界に未練もクソもないので、この世界で生きていくのも良いかもしれない。


 ちなみに今の俺は17歳らしい。ヨーシンさんが教えてくれた。なぜ若返っているのか? 理由は分からないが、残る理由の1つになっている。人生やり直し、夢みたいな話じゃないか


「今から王都に連絡を入れます。本日はこのまま領主の館にご案内しますので、王都に行く手はずが整うまでおくつろぎください。」


「ご丁寧にありがとうございます。では遠慮なく。

 バリソンさんありがとうございました。」


「おう、達者でな。俺も謝礼をもらえるから気にするな」


「では、さようなら」


「おう、じゃあな」


 深々と一礼すると、バリソンは笑いながら立ち去った。


 領主にあいさつして、ヨーシンに少し街を案内してもらったりした。


 町の建物は石造りが多く古い建物が多かった。何でも昔の町を再利用しているらしく、開拓にはまだ時間がかかるらしい


 食事屋と宿泊所が多くて、物を売っている店がない。その代わりにあちらこちらで道端に物を置いて商売している人が目に付く

 町に歩いている人は男性ばかりで、女性が居ない


「女の人って居ないんですね」


 ヨーシンに聞いてみると


 この町は開拓地のため余り治安は良くないらしい、なので女の人はほとんどいない。

 武具や食料なども王都から支給されているので、お店も少ないらしい。


「王都に行けばお店もたくさんあって、女の人もたくさんいますよ?」


 別にそう言う意味で聞いた訳ではないのですが……


 あと、明日の朝に連絡が来て。明日中に王都へ向けて出発するらしい。


 *


 翌朝


「陽二様。もうすぐ準備が整いますので、こちらの方にてお待ちください」


 あ、女の人いたわ


 屋敷のメイドさんが部屋に呼びに来てくれて、病院の待合室みたいな場所まで案内される。

 呼ばれるまでここで待つらしい。

 数分後、ヨーシンが入り口と逆の部屋から出てきた。


「陽二君、準備が整いましたので入ってください」


 中に入ると直径3メートル程の魔方陣が書かれていた。もしかして転移?


「私も一緒に行きますから心配しなくて大丈夫ですよ、さあ陽二君。この転移門の中に入ってくれるかな」


 陽二は言われるがまま魔方陣の中に移動する


「では行きますよ。」


 ヨーシンの合図と共に魔方陣の外にいた人がスロットマシンみたいなモノを操作してレバーを引いた。


 その瞬間、魔方陣からまばゆい光があふれ、目も開けていられない世界の中で魔方陣へと吸い込まれて行った。


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