第31話 絶望からの救い手
「前回のゼラニオン!」
桜ちゃんの計画で別行動する事になった私たち。
翔騎士に変体したランスさんの背中に乗り込み、洞窟を目指しました。
桜ちゃんが心配ですが、とても強いらしく
ランスさんは『大丈夫だ』と言っていました。
ランスさんの背中はやわらかくて乗り心地は最高でした。
ただ、お姉ちゃんがランスさんの匂いを、しきりに嗅いでいたのはショックでした。
でもそのあと、後から抱きしめられてちょっと恥ずかしかったです
無事、入口に到着した私たち。
ブラジャーの話は省くとして、お姉ちゃんは小さい胸が好きみたいです。
大きいだけの肉塊に人権などありません!
山に挟まれた入り口を降りていくと湖がありました。
湖は大きくて奥にも続いている様子でしたが、目の前に目的地の山があって奥は見えませんでした。
ランスさんが、剣でお姉ちゃんを投げ飛ばした後、ものすごい速さで叫びながら、植物の上を跳んで行ってしまいました。
シアとナーナもその後を追って植物の上を渡りました。
*
投げ飛ばされた陽二は、数回のバウンドを繰り返して大木の根元に激突して倒れていた。
そこに投げ飛ばしたランスロットが駆けつける。
陽二を発見したランスロットは、ひととおり体を確認すると安堵した。
さすがは乙女戦闘服、すり傷程度で済んだようだ。
流れる様な動きで膝枕すると、陽二が意識を取り戻すまで寝顔を堪能する事にした。
ナーナはピョンピョンとお盆型の植物を渡っていく
パトリシアもその後を追っていくが、運動神経のよくないパトリシアが渡りきるのに30分もかかった
なんとか落ちずに渡りきったパトリシア、ナーナの道案内で山に入る
湖の入口側から見た小高い山は、木や草蔓が山全体を覆い尽くすほど生い茂っていたので、山の中は確認できなかった。
3メートル程の生い茂る草木を通り抜けると、急に視界が開け、天井を見上げると思わず声がでた
「うわぁ! すごい!」
山かと思っていた場所は、木や草蔓に囲まれたドームになっていたのだ。
その中は土の大地が広がっており、中心部に縦横10メートル程の大木があった。
大木というよりも巨体な四角い建物と言うべきか
奥まで伸びていて奥行きは相当ありそうだ
大木の上には、ドームの天井から何十もの蔓がぶらさがっていて、拳大のたくさんの実が淡く光りドーム内を照らしていた。
大木の真ん中より少し上部に1メートルの穴が開いていた。
ナーナがそこを指差している。あそこが入り口らしい
「山の中腹じゃなかったの?」
ある意味、山の中腹だけど……そのまま視線を落としていくと
「あ、お姉ちゃん達がいる」
ランスロットが正座をして顔を地面につけており、それを陽二が怒鳴っている様に見える
パトリシアとナーナはかけ足で陽二の元に急ぐ、その途中、穴を見上げて『どうやって登るんだろう?』と思った
*
「おい! 何てことをしやがる、殺す気か!」
腕組みをして鋭い目つきでランスロットを見おろすネコ耳っ娘。すごんでいるが、声色はかわいいアニメ声だし、鋭い目つきも泣き黒子のせいで色っぽく見えるだけで、全然怖くない。
ランスロットは地面に頭をこすりつけ一応、反省している様に見える。が、ジェスチャーだ!
陽二の寝顔を堪能しまくった揚げ句、誰もいない事をいいことに、ほっぺにチューまでかましていたのだ。
――グッジョブ! 私!
全く反省していない。
「お姉ちゃん達、なにをやっているの?」
「ナーナ、ナーナ?」
パトリシアとナーナに気づいた陽二は、ランスロットの腕を掴み立ち上がらせる
「まあ、ちょっと小言をね。もう終わったよ」
さすがの陽二も、人前でランスロットに土下座をさせるのはどうかと思ったのだ
「で? ナーナ、洞窟はどこだ?」
ナーナは上を指差すと、蔓を伝ってスルスルと登って行く
「あそこに穴があるんだな……てか、コレって洞窟じゃないだろう…」
精霊からすれば、穴は全て洞窟になるのだろう
「ランス、シアを頼めるか?」
「ああ、任せておけ」
そう言うと、ランスロットはパトリシアをお姫様だっこして
「はっ!」
と穴までジャンプした。
「マジか!」
試しに、陽二も垂直跳びの要領でジャンプしてみる、軽くフワッと跳び上がり3メートルはジャンプできた
「すげーな、ゼラニオン!」
そのまま蔓を掴むと、腕の力だけでスルスルと入口へ
ランスロットとパトリシアが待っていたが、ナーナは先に進んだのだろう姿がない。
「ナーナ!」
奥からナーナの呼ぶ声がする。中は真っ暗なので光を使う。
洞窟の壁は鉄っぽい金属で膜がしてあるみたいだ。
パトリシアと手をつなぐと奥に歩き出す。ランスロットが腕にしがみついてきたので振り払おうかと思ったが、やわらかい感触に負けて堪能することにした。
緩やかな下り坂を奥まで進むとナーナがいた。
そこは6畳くらいの部屋になっていた。奥に通路が続いていてまだ部屋がありそうだ
ナーナの隣には磨りガラスみたいに曇った四角い箱が置いてある
ナーナが作った治癒結界というらしい。中は曇っているが人らしき姿がぼんやりと見える
「陽二、とりあえず外に運んでから様子を見よう」
ランスロットは軽々と治癒結界ごと持ち上げながら言う
「そうだな、とりあえず出ようか、てかそのまま持てるんだな」
パトリシアは陽二が抱えて飛びおりた。
乙女戦闘服は本当にすごい。パトリシアは軽いし、着地の衝撃もほとんどなかった。30センチの台からただおりた、そんな感じだ。
ナーナが結界を解くと、四角い箱は光の粒子になって消えていった。
中にいたのは女の人。ボサボサの黒髪で紋章の入った全身鎧を着ている。
「見た感じケガをしているように見えないけど……あ…」
全身鎧じゃない。鎧に見えた部分は足だ! それも腐ってる。それも片足は骨。
右足は太股の途中から腐っていて、ぱっと見、鉄のように見えた。服のような物をどけると、左足の膝から下は完全に肉が落ちて骨になっていた
コレはひどい
「ランス、この足。魔法で治せるのか?」
「左足は厳しいな。右足は……こっちも厳しいな、多分毒だろう。時間がたちすぎている。
魔法も万能ではない。それに治療するなら魔法よりも薬の方が優れている。まずは王都に連れて帰ってからだな……
完全回復薬でもあれば、すぐにでも何とかなるかもしれないが……手に入らないだろう」
「俺、持ってるけど? なぜ手に入らないんだ?」
「作れる者がいないのだ! ん? 持ってる?」
陽二は収納スペースから、自作の完全回復薬を取り出す。
「ほら、コレ」
「私は見たことがないのでな……作ったのか? 本当にか?」
「ウソ言ってどうするんだよ、頑張ったらできた!」
「お姉ちゃん、お願い! その薬を使ってください! 助けて!」
突然パトリシアが、ものすごい勢いで言ってきた。
どうしたんだ? 今まで静かだなぁと思っていたが、結界がなくなって中の人を見ると固まっていた
「知り合いなのか?」
「お母さん……」
「は?」
「シアのお母さんなの!」
「なんだって?」
マナリシア=クルシュナイン
5年前の出来事で死亡した、と思われていた王妃様だ
なんでトパンの村からこんな離れた場所にいるんだ?
「お姉ちゃん、早く助けて!」
パトリシアを見ると必死に火の恵みを使っていた
陽二が今回作ったのは液体タイプ。
使い方が分からないので、壊死した部分に半分を振りかける。
すると、どんどん生気を取り戻す様に黒っぽい色から、本来の肌の色であろう色に戻っていく
「よかった。薬もちゃんとできていたみたいだ。よし反対側も……」
骨の部分に残り半分を振りかける
・
・
・
・
・
駄目だ反応がない!? なぜだ? この薬じゃ駄目なのか?
「お姉ちゃん!」
もう1本あるけど……飲ませればいいのか?
陽二はもう1本取り出し、飲ませようとしたらランスロットに止められた。
「まて陽二、おそらく薬は不完全なのだ。本物なら部位欠損どころか、死すらひっくり返す代物と聞く」
「それでも……やってみなければ分からないだろう?」
「不完全な物を飲ませてみろ、何が起こるか分からない。下手すれば死ぬぞ!」
「じゃあどうすればいいんだ!」
「できるか分からないが、レベル5の奇跡を使ってみる。少しでも状態が良くなれば、その薬の期待値もあがるだろう?」
ランスロットは地面に2メートル程の丸い魔方陣を描き、中心にマナリシアを寝かせる
「陽二、王都でパトリシアたちに使った回復魔法を覚えているか?」
「ああ、たしか水と火の神様にお願いした覚えがあるな……」
「2人は私の奇跡に重ねる気持ちで魔法を使ってくれ、ナーナも頼むぞ」
「わかった」
「わかりました」
「ナーナ!」
ランスロットはマナリシアの上で両手をあわせて握ると、神に祈る様なポーズを取る
「我、ランスロットの名により願い出る。水神の奇跡を顕現されたし、わが名はランスロット、水神の奇跡を再現せし者なり
水神の奇跡!」
「水と火の祝福」
「火の恵」
「ナーナナー」
ランスロットの魔法に陽二、パトリシア、ナーナの魔法が融合され、一人では発動不可能だった魔法が発動可能な魔法になった!
眩しい程の光が、マナリシアを包み込む……
が、成功かの様に思えた瞬間、光が消失していく
ランスロットが呟く
「な、なぜだ?」
その時、ランスロットと陽二の変身も解ける。
ランスロットの『水神の奇跡』は、桜の魔法が底上げして、初めて何とかなるレベルだったのだ
「変身が解けた? ランスロットこれはどうゆう事だ?」
「桜に何かあったのかもしれない。陽二、私は桜の所に行く。おまえたちはここで待っていろ」
と、口早に告げると、仲間の腕輪を操作する。
ランスロットの顔色が変わったと思ったら、あっという間に走りだして行った
「え? ちょっと……」
「お母さん……」
桜がピンチみたいだ
陽二は仲間の腕輪で桜に呼びかけるが応答はない。
「どうしよう……」
ひとまずシアのお母さんが先だ
状態を確かめてみても先程と何ら変わりはない
正直、完全回復薬を飲ませていいのか分からないし、桜とランスロットも心配だし…
試してみたが、アスモさんにも連絡がつかない
「シア、どうしようか?」
その時、天井を突き破って白いローブを着た人が落ちてきた
「あーーーあーーー落ちるーー」
白ローブは空中で回転すると、かろやかに着地した
「びっくりした! 落とし穴?」
落ちてきた白ローブを着た人物。
フードが外れて顔が見えた。やや長いボサボサの黒髪に黒い瞳
天井は木と蔓でドームになっていた。恐らくドームの上に着地して落ちてきたのだろう
「おまえは何者だ!」
男に問いかける陽二。
男はナーナ、パトリシア、陽二を見まわすと
「人に名前を尋ねるときは、まず自分が名のれ!」
「ああ、そうだな……」
何かデジャブってるな……
「俺の名は『僕は超絶美少女サラリーちゃんのファン! 時の魔術師・豊! このサインが目に入らぬか! ワーハッハッハ! ワーハッハッハ!』……」
時の魔術師・豊は、陽二が名前を言うのを邪魔して『さあ! さあ!』って感じでローブの裏側に書いてあるサインを見せ付けてくる
「あーすごいすごい。いいなー欲しいなー、うらやましいなー(棒)。で俺が陽二、こっちがパトリシアにナーナだ」
ん? サラリー? 桜の事か?
サラリーとはゼラレッドのときに桜が使う名前。
ちなみに
ランスロット:ランリー
アスモデウス:アスリー
俺はどうなるんだろう?
陽二:ヨウリー? ヨンリー? ヨスリー?
その前にこいつの名前……豊って言ってなかったか?
「なあ、豊君。キミは異世界人、いや日本人なのか?」
「え? うーんどうだったかなぁ? よく覚えてないんだよね……それよりもさぁ、手に持ってる薬って何? あ、いいや鑑定!」
⚫完全万能薬
あらゆる状態異常中を元に戻す。
記憶障害 薄毛 水虫に特大効果
+回復薬(特上)の効果
ついでに桜と同じ腕輪を陽二とパトリシアが身に付けているのに気付いた豊
「鑑定!」
⚫ゼラニオン変身セット
子供向けオモチャ
そして、魔方陣の上で横になっている女性に気付くと
「身体検査!(身体鑑定)」
つい、昔の癖で体が勝手に反応した豊
⚫マナリシア=クルシュナイン 女性
状態:毒壊脳症 衰弱 意識障害 左足骨化 etc.
「うわぁ、この人やばいねぇ、死人と一緒じゃん」
パトリシアの前で何て事を言うんだ! この野郎
「おい! 適当なこと言うんじゃねーよ、俺が死なせやしないよ」
陽二が完全回復薬をマナリシアに飲ませようとすると
「止めた方がいいよ、その薬じゃ効果はない」
陽二の動きがピタっと止まり、あせりの表情を浮かべる
パトリシアも先程の言葉を聞いていたらしく、絶望のあまり蹲り、声にならない声で泣いているのが分かる
ナーナはパトリシアに寄り添っている
「おまえに分かるのか? デタラメを……」
豊がスラスラと答える
「その女性の状態は毒と細菌による……で時間がたちすぎているんだよ。左足は毒の影響でないのと同じ。細かい所は体全体であるんだけど……既に脳が毒で壊れてるよ?
その薬でも無理だね。完全回復薬があれば、話は違うんだけどね
あ、ちなみに昔とった杵柄で身体検査したから間違いないよ」
「え? 脳が壊れてる? それじゃあ駄目だと言うのか……」
既に手遅れだったのか、パトリシアの心境を考えると諦めきれない
「助ける方法は? ないのか?」
陽二はすがる思いで豊に掴みかかろうとしたが、かわされた
「もう、何だよ気持ち悪いなぁ君。自分の格好、分かってる?」
「何を言って……」
変身が解けた陽二の姿は、パンティ1枚しか身に付けていない変態だった……
桜の野郎!
*
収納スペースから服を取り出す。
一応ワイシャツにズボンとそこそこの身だしなみだ
陽二が服を着ている間に、パトリシアとなにか話をしていたらしく泣きやんでいた。
うまいこと何かを言ったのだろう
「で? 豊君よ、助ける方法ってあるのか?」
「あるよ! 変態君」
「好きであんな格好してた訳じゃないんだよ、全てさく…サラリーのせいだ」
「あ、やっぱり? サラリーちゃんの恋人?」
「違えよ。俺たちは仲間なんだよ」
ゼラニオンの事は黙っておいて『冒険者のパーティー』という事にした。
ここには『人族の救助依頼で来た』と説明する
「そっかぁ。サラリーちゃんはすごかったけど……君はショボいねぇ」
「ほっとけや! 言われなくても分かっとるわ!」
*
「で? 見返りは完全万能薬で本当に良いのか?」
「OK牧場!」
「ふるっ! まあ、最近テレビとかでも聞くけど……」
「そりゃ完全万能薬なんて初めて見たし、効果がすごいんだよ?」
「そこ、詳しく!」
「毒、麻痺などの定番は全てカバー!
は耐性でどうとでもなるんだけど……薄毛! これすごくない? 魔法じゃ絶対に手の届かない神の領域! 僕でも……あ、可能だ。でもポイント使うし……やっぱりすごいよ、面白いし!」
「いきなり頓挫するかもと肝を冷やしたけど、薄毛って状態異常なのか? 病気じゃないの? まあ、そんなのどっちでもいいか。薬やるから、いっちょ頼むよ」
豊はマナリシアの隣に行くと魔法を
「任せておいて……あれ? 久しく使っていなかったから治癒魔法……忘れた!」
唱えなかった
「おい!」
「まあまあ慌てないで。ちょっと待ってねぇ……少ないポイントで使えるのは……2か、それくらいならいっか」
豊は何かをブツフツと呟いている。
と、突然場所をかえて魔方陣を描き始めた
「魔方陣を書かなくてもできるんだけどさぁ、ポインティーがもったいないんだよねぇ」
魔方陣を描き終えた豊は、その上にマナリシアを寝かせると
「巻戻! ちょっと時間がかかるからね~」
そう言うと、魔方陣を黒い膜が覆い中が見えなくなる。
外側に長針だけの時計が付いていて、コチッコチと音がする
「だいたい20時間ってとこかな? この時計が1周すれば完了でーす」
陽二は時計をマジマジと見る
「結構時間がかかるんだな。でも、助かるならどれだけでも待つよ」
パトリシアは時計の前で正座してジーと見ている。
終わるまで動く気はなさそうだ。
ナーナも物珍しそうに黒い膜を見ている
「何があるか分からないから、さわったらだめだよ?」
一応、注意しておく
「大丈夫だよ。この時の魔術師! 抜かりはないよ」
「サンキューな豊君。はい」
完全万能薬を投げわたすと豊はバシッと受け取る
「礼はいらない!」
などと抜かしながら、豊は完全万能薬を懐にしまったのだった。
*
「ところで、豊君って何者よ?」
豊にもらった果物を食べながら聞いてみる。
『じゃあ、もう行くねー』と行きそうになったので
「まあ、茶でも飲んでいってくれ」
とコップに水を入れて渡したら
「水って……」
と、豊が出した果物ジュースに果物を逆にごちそうになっている
パトリシアとナーナにも差入れしたら、ゴキュ! ゴキュ! とすごい勢いで飲んだ。
それを見た豊。樽をパトリシアの隣に置いていた
「あまり覚えていないんだよね…頭に靄がかかっているというか……」
「そっか……記憶障害? なら、薬が効くんじゃないの?」
「うわぁ、僕を実験台にするつもり? 結構いい性格してるねぇ」
「いや、そんなつもりで言ったわけじゃないんだけど……効くんだろ?」
「分かってるって! もったいないから使わな~い」
と言いながら、地面をゴロゴロと転がっている豊
「そう言えば、シアの母さんに使った魔法って何魔法?」
服が土だらけだ。子供か!
「あれは時魔法。膜の中で時間を5年くらい戻しているんだよ。タネは秘密ね、魔術師だけに」
「タネもなにも魔法だろ?」
「おっと、それを言われたら終わりだよね、ハハ、魔法だけど魔力は必要ないんだよね」
「言っていいのかよ、そんな重大発言。秘密とかそんな感じじゃないの?」
「別に隠すことでもないよ」
「なら、もっと教えてくれよ、ほれ、ほれ」
脇腹を突っついてみる
「仕方ないな~時魔法を覚えるとポインティーがもらえるんだ。1年に1ポインティー。そのポインティーを使って人の時間を動かす事ができるんだよ。1年当たり1ポインティーでね、ちなみに自分自身だと10P」
「え? それってすごくない? でも1年で1ポイントって少ないなぁ」
「そうなんだよねぇ~、でもやり方1つで節約できるんだよ。相手の状態や行使時間、魔方陣を併用するとかね。
死んだ魔物を骨にしたかったら、まとめて指定して10日程進めるとかは0Pで簡単にできるけどね」
「自分自身と生死に関わる以外は少ないポイントでできるって事?」
「そうだね、あとは自分にとって有利なほど多く、不利なほど少なくなる」
「分ったような分らなかった様な……」
「実際は僕も詳しくは分かっていない。こうしたら何ポイント、ああしたら何ポイントってシミュレーションして、少ないのを選択するからね」
「もういい、頭がパンクしそうだ。他にはないの? カモンカモン!」
「え~人がせっかく……まあいいや。魔法じゃないけどスキルはたくさんあるよ」
そう言うと、豊はいろいろと見せてくれた。
なんて良いやつだ!
収納スペースから果物や肉、魚を大量に出す:大倉庫、一括管理
適当な果物と肉を複製する:複製
適当な鉱石、木材からキッチンスペース、器具を作成:精製、錬金、調合、鍛冶、大工、築炉など
食材を使って調理をする:料理
「うめえ!」
「お粗末様です」
パトリシアとナーナもガツガツと時計を見ながら食べている。
「何でもできるのな、すごいよ本当に。なんかくれよ」
「ん? 別にいいよ」
「いいよって……スキルって人に譲れるの?」
まあ、あの道具があるんだ。奪うとか消すとかもあるのかもね
「何がいい?」
「豊君…君は神か! と、時魔法を所望するぞな、もし」
「時魔法かぁ、さすがにいいチョイスしてくるねぇ。でもコレは無理かなぁ……あ、思い出した! 時魔法は駄目だけど、きっかけをあげるよ、確かこのおかげで目覚めたから、あと適性も付けてあげる」
豊は陽二の頭に手を置いて詠唱を始める。
速すぎて、何を言っているのか分からない
「*****開示。
へえ、魔法術士かぁすごいねぇ、でも基本スキルがないって……
異世界人? 何だろうコレ……あ、ごめんなさい
お調子者? うわぁ、全然気付かなかったよ。悔しいからコレは消そう
*****消去
他は珍しいスキルでもないねぇ、それじゃあ******貼付****貼付っと
はい完成!! 確かめてみて」
「ありがとう! ステータス!」
中山 陽二
魔法術士 LV.0
時属性
スキル
異世界人 呼称発動 時間 強力付与
軽量化
●お調子者
調子に乗れば乗るほど、相手との距離が近づき無抵抗で受け入れられる。都合のいい方向へ持って行く
●異世界人
見てんじゃねーよ




