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第15話 チームゼラニオン!

 

「ふっふっふ、全世界の親愛なる僕共(しもべども)よ、(わらわ)ぢゃ!」


「ん? 誰かわからないぢゃと? (たわ)け! 全知全能! 完全無欠! 容姿端麗! 超絶! 美・少・女! 」


「ここ大事ぢゃからな、2回言うのぢゃ超絶! びしょーじょ!」


 ビシッと人差し指を向ける


「テストに出るからな、要チェックぢゃ!!!」


「うぁーはっは! うぁーはっは!! うぁーはっは!!! ゲホッゲホッ」


「かわいいわぁ!」


「毎回、毎回…アホだな」


「なんぢゃと!」


「よし! (つか)みは上々、気分は上昇、あと1つは…えーと」


「ランスの罰は情状酌量じょうじょうしゃくりょうだ! 忘れるな!」


「………」


「よし! (つか)みは上々、気分は上昇、ランスは今もノーパンティーぢゃ!!」


「まあ!」


「な、お、おい言うな!!」


 このアホなやり取りをしているのが、この国で超有名なチーム『ゼラ二オン』のメンバーである。



 話は少しさかのぼる


「何かがスキルに干渉してきたのぢゃ…何だったのぢゃ?…ん? 感じるのぢゃ…王都か」


「桜ちゃん。もしかして…帰って来……」


「何かは分からんのぢゃ、王都にいくのぢゃ」


「「はい!」」


 現在の場所から王都までの直線距離は100キロもない。


 彼女たちならば走って3時間もかからないだろう。現在の時刻は深夜2時。朝には到着予定だ。


 到着は6時。  


 ランスロットを(いじ)って遊んでいたので、少し時間がかかってしまったのだ。


「まずは感じたものを探すのぢゃ……王宮か?」


 アスモデウスが背中をツンツンとしてくる


「桜ちゃん、あの人たち」


 パトリックを先頭に何人もの兵士たちが馬で駆けていく


「どこに行くのぢゃ?」


「パトリック様の雰囲気…かわりましたね」


「騎士! ああ私も一緒に行きたい!」


「ランス、おまえも行けば良い、ホレホレ」


「ランスちゃん行っていいですよ、私と桜ちゃんだけで十分ですから」


 桜とアスモデウスがぐいぐいと押してくる


「わがままを言って済まなかった。だから仲間外れにしなでくれ」


 *


「桜ちゃん何か食べますか?」


「うむ。そうぢゃな……ぱふぇでもしゃれこむか」 


「何、ぱふぇだと? 仕方がない私も付き合おう」


「うん! うまい」


「おいしいですね。」


「こ、これがぱふぇか…おいしいぞ!」


「なんぢゃ、おまえは(しょく)した事がなかったのか?」


「あ、あるに決まっているではないか! 騎士たる者、ナウい物には敏感でなくてはな!」


「さすが騎士! 分かっておるのぉ。

 ところで……ぱふぇを食べる礼儀作法があると聞いたのぢゃが……騎士ならば当然知っておるのぢゃろうなぁ?」


「と、当然だ! だが私の知っている礼儀作法と違いがあってはなるまい。い、一応聞いておこう!」


「ふむ。まぁ知っておるのぢゃろうが。

 ぱふぇを食する時は『左足とお尻を浮かせたまま食べる』と聞いたのじゃ。


 まあ、これは上級騎士の礼儀作法だと聞いておる。(わらわ)みたいな愚か者では到底できぬのぢゃ。


 ぢゃが騎士の中の騎士、ランスロットなら朝飯前! できて当然ぢゃろうて」


「ふ、何を言うのかと思えば……まさに私の知っている礼儀作法ではないか! 良く見ていろ。私が正式な礼儀作法を教えてやろう!」


「さすがはランス! 早速お願いするのぢゃ」


 ランスロットは教わった通り左足を上げてお尻を浮かす。空気椅子の片足版だ。


「ふっ余裕だな!」 プルプル


「ではランス。ここで張り込みをするついでに『礼儀作法』をしかと勉強させてもらおう。

 ちなみに礼儀作法を崩すと、騎士は自分に罰を与えると聞く、騎士とは誠に立派なのぢゃ」


「当然だ! 騎士とは自分に厳しく他人に優しく! わが騎士道見せてやろう!」


 こやつ…やはりアホぢゃ


 20分後~プルプルプルプル


 1時間後~プルプルブルブル


「そ、そろそろ張り込みは止めて、探した方が早いのではないか?」


「ん? キツいのか?」


「そんな事はこれっぽっちもないが、見てみろ、アスモが暇そうだ!」


「いえいえ、いつもの事なので大丈夫です」


「な!」


 4時間後~ガクブル、ガクガク、ガクブル、ガガガガ


「ランス、顔色がかな~り悪いが大丈夫か?」


「べ、べ、べいきだじょ、こりぇくらい。えぐっ 私、えぐ、ぐす、えぐ、ずみまぜんでじだ~うぞをづいでまじだ。

 えぐ、ひっぐ、ばちゅうげますかだぁ~ゆるじで

(済みませんでした。ウソをついていました。罰を受けますので許して下さい)」


 バタ! 


 ランスロットは倒れてしまった。息はしている、(しかばね)ではないようだ。


「ドゥワーハッハッ! 見てみろアスモ! 傑作(けっさく)ぢゃ! アーハッハッ、ヒーヒー苦しい。ププッ」


「桜ちゃん。ランスちゃんで遊んではダメですよ! もう……ランスちゃんも見えを張らずに、素直になればかわいいのに…」


 アスモデウスはランスロットに向かって何かを(つぶや)


「あ、やめるのぢゃアスモ! まだ足をツンツンしておらんのぢゃ」


「桜ちゃん……め!」


「わ、わかったのぢゃ……ちっ」


「さ・く・ら・ちゃん?」


「な、何でもないのぢゃ! は、早くランスを見てやるのぢゃ」


「もう! 誰に似たんだか…」


 *


「手間をとらせた、すまないアスモ」


「ランスちゃんも、もう少し素直になったら良いのに……」


「罰は与えるのぢゃ」


「くっ。騎士に二言はない! どの様な罰でも受けてやろう!」


「1カ月間、ミニメイド・ノーパンティーぢゃ」


 ランスは崩れ落ちる


「な、なんだと?」


 そのやり取りを遠くから見ていた店長とスタッフ


「あそこのお客様たち、パフェ1杯でどれだけ居るつもりなのかしら?」


「出たら塩をまいておけ!」


「OK! ボス」


 陽二とカリンが店に来たのは、桜たちが出た少し後の事である。


 *


「映画館の外で丸タイ確認! 尾行を開始します。」


「丸タイに気付かれるな? オーバー」


「了解!」


「丸タイ遊戯場(ゆうぎじょう)に入った。後を追うべきか? オーバー」


「よし、潜入して様子を探るのぢゃ オーバー」


「了解! 潜入開始する」


 ゲームセンターに潜入するランスロット


「ほほうパンチングマッシーンか、どれどれ? な! 蹴っただと!?」


 なかなか機転の利くやつではないか。


 確かに遊戯(ゆうぎ)の説明には『パンチしてね』と書いてあるが、足を使うのは駄目とは書いていない。


 実際、戦いになった場合ああいった機転と言うのは大きな武器になるものだ。


 その後もコソコソと陽二の様子をうかがうランスロット。


 だが、ちょっとだけイライラしていた。


 ランスの周囲はカップルばかりでイチャイチャしているのだ。


 さすがにうらやましいとは思わないが、ちょっとだけ、本当にちょっとだけうらやましかった。


 だから少し魔が差した。パンチングマシンの前に立つと魔力を入れ「フー」と息をはく


「(バカップル)爆発しろ!!」


 ランスロットのスラッとした美しい脚が、扇を開いたようにパッと宙に舞う。


 その直後、バーの先端に付いていたミットが()ぜた! ()ぜたミットの破片はそこら中に突き刺さり、残ったバーはものすごい勢いで倒れた。


 ドッバーン!!


 点数を表示する様に上下する重りが一気に300のラインを超え、機体から突き出て天井に突き刺さった。


 周囲にいたバカップルどもはランスを褒めたたえる様に騒ぎ始める


「「「すごい、すごい!」」」」


 ランスロットは調子にのった! 


 なんだ意外と良いやつらではないか『バカップル爆発しろ』と思って悪かったな


「ふっ私は騎士。このくらい余裕のよっちゃんだ!」


「おお! スゲー! すごーい」


 などと歓声が飛ぶ。ついでにランスロットの鼻も伸びすぎて、どこかに飛んで行きそうだった。

 そこに一人のイケメン男性が現れる。


 男性は何か紙を持っていて、ランスロットの顔をチラチラと見ながら近付いてくる。


 サインか? そ、それとも私に()れたとか…?


「あの、すみません」


「ん? な、何だ? サインなら書いてやっても良いがつ、付き合うとなるとまずはお互いの「弁償……」事をよく知ってから……ん?」


「何やらかしてんだ、弁償しろ!」


 ランスロットの手に請求書と書かれた紙が渡される


「き、金貨2枚だと……」


 ランスロットはゼラニオンのメンバーである。


 チームゼラニオンは

 生活の全てを謎の組織(スノーム)が面倒をみているので給金はでない。


 お金が必要な場合(お店などの支払い)は、アスモデウスが管理している活動費から出される。


 なのでランスロットはお金を持たされていない。


 だがランスロットも乙女。きれいな小物やかわいい物など普通の女子と同じ様に大好きだ。


 そのためにも少しはお金を持っていたいし、手に入れたい物もあるので魔物の素材をコツコツと売ってはへそくりを貯めていた。


 何年かかっただろうか、その金額は金貨2枚とちょっとにまで増えていた。日本円で約200万円。


 へそくりで弁償したランスロットは何も言わず外に出て、目立たない地ベタに体育座りをしたまま、ゲームセンターの出入口に目を向けていた。


 ――3年もガマンしたのに私は何をやっているんだ……


 *


「丸タイ、ただ今薬屋で物色中。何も買う気配がなし、ケチ野郎、オーバー」


「了解! ケチ野郎 オーバー」


「丸タイ、武器屋、道具屋、宿屋、全くお金を落としませんオーバー」


「ケチ男爵芋野郎 オーバー」


「芋男爵 オーバー」


「桜ちゃん、ランスちゃん。今度は何をして遊んでいるのですか?」


 桜と通信相手のランスロットが遊んでいる様にしか見えないアスモデウス


「遊んでおらんのぢゃ!」


「私も真面目に尾行している!」


「私がやりましょうか?」


 とアスモデウスが提案するが


「ダメぢゃ! 」「断る!」


 この遊びをやめる気はない2人


「そうですか…邪魔はいたしません。すこし別行動をさせて頂きます」


 桜がこたえる前にアスモデウスの姿は消えていた。


「興がそがれたのぢゃ。ランス合流する、ひとごおまるまる地点Pじゃ! オーバー」


「こちら尾行班ランス、了解した! 地点Pとはどこだ? オーバー」


 しばらく待つが本部()からの連絡はない。


「オーバー! 桜、返事をしてくれ……」


 *


「遅いのぢゃ!」


「はあ、はあ、地点Pなど分かるわけないだろう! ゼエゼエ」


「ぱふぇのPに決まっておるぢゃろう」


 町中を探し回ったランスロット


「では次の作戦を発表するのぢゃ! 作戦名は『ミニミニ潜入 メイドは見た』ぢゃ」


「何を言っているのだ?」


 いまいち桜の言っている事が理解ができないランスロット


「変身ぢゃ!」


「なぜだ? 必要ないだろう!」


 変身するとゼライェローの乙女戦闘服。すなわちミニスカートのメイド服になるのだ。


「この作戦には必要なのぢゃ、(わらわ)では荷が重い。しかし騎士のランスであれば余裕ぢゃろう」


「そ、そうか。そうだな、私に任せろ」


「待て! 良いことを思い付いた。(わらわ)は本部に戻りランスの仕事ぶりをモニターして勉強しよう」


「なる程……それは良い心懸(こころが)けだな! ならば、しっかり見ていろ!」


 桜はランスロットに向かって魔法を使う


隠密戦隊ゼラニオン(ヒーロータイム)!」


 この魔法のおかげで、ランスロットの姿は本人(・・)()が許可しないと認識する事はできない。


(桜の使うヒーロータイムとは対象者、接触者の行動や言動諸々を数台のカメラで撮しているかの様な現象を起こす。映像をモニターに送り記録もする。主にゼラニオンの撮影に使われる。他にも不思議な現象を引きおこせる)


「ランリー、出撃せよ!」


「私に任せておけ!」


「そう言えば忘れておったのぢゃ! ゼライェロー!」


「何だ?」 


「脱げ!」


 パフェの罰が施行された。


「!?」


 このやり取りもしっかり撮影されていたのだっだ。


 *


 私の名前はランスロット。

 誇り高き騎士を目指す者だ。見た目を言っている訳ではない。心だ!


 私の事はどうでも良い事だった。


 私は任務中で、ある男の身辺調査をしている。ゆるんだ体で頼りがいがない。顔は…まあまあ好みのタイプかもしれない…


 ん? 少女がやって来て魔法を放った。男の力を見るチャンスがいきなり来るとは…


 しばらく観察する。男は必死に少女たちを助け様とがんばっている。


 回復魔法は使えないのか?


 見たところ詠唱はしていない。と言うことはイメージができていないのだ。


 基礎がなっていないな、仕方があるまい


 私は男の後ろに近づき回復を手伝ってやった。


 最後の魔法はなかなか良かった。手を貸さなくても良かったのかもしれない。


 男は少女に向かって話しをしている……その話に耳をかたむける


 なかなか骨のある男ではないか! 悪くない


 男は王に会いに行くと言うので私もあとに続く。


 王と男の会話を盗み聞く


 会話から名前は『陽二』と判明した。


 どうやら食事に出かけるらしい。

 しかし王妃か……そんなこともあったな。

 あの当時チームゼラニオンはこの地にいなかった。私たちで森に行ければ、あの様な惨事も起こらなかったかもしれない…


 陽二が出て行ったあと王に姿が見える様に許可して、事情聴取と口止めをする。

 ※ゼラニオンの存在は王様も知っている。


 元勇者 山中 陽二か…


 魔道具を使い勇者をパトリック殿に渡した…? そんな物があったのか…


 ぱふぇの店での会話や少女たちに接する態度を見て、私はこの男がなかなか見所のあるやつだと思い始めていた。


 陽二が風呂に入るらしい。


 私は恥ずかしいが調査のためついていくことにした。

 決して見たいからではない。


 お~! ふえ~! こんな風になっているのか……さ、触ってみても良いだろうか?


 私はバレないように優しくさわさわする。や、柔らかいぞ! こ、これは……


 なぜか、ぽーとしてきた。


 私がさわさわしているとムクムクっと大きくなってきた。


 か、固くなってきた… 


 バレたと思った私は陽二から距離をとる。


「おっかしーなぁ、何かムラムラするなぁ……よし!」


 陽二は壁に行き何かを見ている。


 何をしているのだ? 


 私は様子を見るため近づいてみる


「お~うひょ~! メイドさんたちがいる! これは(とどこお)るな!」


 陽二は妙な事を口走り、何やらごそごそ。何をやっているのだ? は!? 大きくなっている……な、何かピクピク動いているぞ? 


 私は無性に触ってみたくなった。触ろうと手を伸ばした瞬間、ビクッとなり頂点からの魔法攻撃が私の顔に直撃した。


 しまった。バレてたのか!


 だが、なぜか私は動けなかった。


 くっ、まともに攻撃を受けてしまう! 


 思わず目を閉じ覚悟を決めた。


 ペチョ


 その時、体中に雷が落ちた様な初めて感じる衝撃が走った。


 はう、くっ! どの様な魔法だったのだ?


 私が目を開けると、陽二はすっきりした顔で風呂場から出て行った。


 情けをかけられたのか? 屈辱だ! それとも私の存在に気付いていなかったのか? 今のは何だったのだ? ならば……気付かれる前に脱出を試みなければ……


 腰が……えっうそ……


 腰が抜けて動けなかった。


 それよりも屈辱的だったのは、陽二の攻撃によって私は……おもらしていのだ! 私のスカートの中はビチョビチョで腰は抜けて動けない


「悔しい!」


 陽二は私の存在に気付いていないのにもかかわらず、この私を無力化したのだ! 


 なんと恐ろしい男だ! 私は陽二が歌を口ずさみながら出て行くのを見送る事しかできなかった。


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