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第11話 魔法とカリンとパトリシア

2018/1/28

魔法師の設定を少し変更しました。

 

 カリンと一緒に王宮のグラウンドまで戻って来た


「カリンはどのくらい魔法が使えるの?」


「私は水属性魔法のレベル2まで使えるわ」


「見習いなのに? それともそれが普通なの?」


「ふふん! 私は特別(エリート)なのよ! 甘く見ない事ね!」


 カリンの話だと普通の魔法師見習(まほうつかい)魔法(スキル)を覚えるまで魔法は使えない。


 だが、生まれながらや偶然に魔法(スキル)を覚えた人などは魔法を使える。


 前者は『見習』が外れるレベル10になったとき属性か魔法スキルを覚える事ができる。


 ただし覚える確率は低く、魔法師を諦めて転職する人も多い。


 カリンは生まれつき水魔法(スキル)と水属性を持っていた希な存在。

 レベル10になれば2つ目の属性か魔法を覚えるチャンスがある。


 ちなみに属性とはスキルではなく『その魔法に適した性質』。

 威力向上、魔力節約などの効果が発揮され、その属性の魔法を得る確率が高くなる。


 魔法は『スキル』で各属性の魔法が使えるようになり、『水魔法』や『火魔法』とステータスのスキル欄に表示される。


 魔法を得るとレベル1の魔法の中から

 攻撃ニードルシールド療法ヒールの詠唱と呪文を覚える。


 魔法は使用頻度(ひんど)で詠唱の短縮・威力の向上・MPアップ、そして次のレベルの魔法修得につながる。


(正確には熟練度。ステータスで見る事ができないため知られていない)


「もしかしてだけど……魔法を覚えるまで『魔法師見習』を何度も繰り返せばいいんじゃないの?」


 覚えなかったら1度転職して、もう一度レベル1からやり直せば? と思ったのだ。


「残念ながらそう簡単にはいかないわ。1度その職業で上げたレベルは下がる事はないのよ」


「やり直しはできないって事なのか」


 そうだ、ついでに魔法師(まほうつかい)の事を聞いておこう


 簡単に教えてもらった


 ●魔法師まほうつかい


 属性魔法を使える初級の職業。HPが低い代わりにMPが多く回復が早い。

 魔物を倒さなくても魔法の勉強と練習によってレベルを9まで上げる事ができる。

 さまざまな場所で収入を得る事ができる安定した職業。

 上級職は魔術師。


 複属性の魔法を扱える人は少なく、ほとんどの人は1つの属性魔法しか使えない。


「ありがとうカリン。それじゃあ、魔法を見せてもらってもいい?」


「いいわよ、まずはLV.1の魔法ね」


 ●水針の攻撃(アクアニードル)(水の攻撃):水の針で攻撃。大きさは大人の指ほど。


 ●水壁(アクアシールド)(水の壁):カリンの周囲に水の(まく)が現れる。形は自在に操れ物理攻撃には弱い。


 ●水の癒法(アクアヒール):小さいけがなどの回復


「次はLV.2の魔法ね」


 ●水塊の攻撃(アクアボール):|こぶし大の塊がドリルの様に回転しながら飛んでいく。


 ●水塊の大攻撃(アクアカノン):大きなアクアボールが小さなアクアボールをまき散らしながら飛んでいく。とても危ない


「ちょっとまって! 魔力が…はあ、はあ、」


 結構な量の魔力を使うみたいだ


「カリンって魔力(MP)どれ位あるの?」


「私は120よ」


 俺のMPは2006。やっぱりぶっ飛んでたようだ。


「あまり無理しないでね。少し休もうか」


 だいたい(・・・・)予想通りだった。


 実は映画の世界を体験中に魔法の練習をしていたのだ。実物を見せてもらったのは違いを確かめるため。


 並んでベンチに座り空を見ると少し日も落ち始めていた。


 こっちの世界でも見慣れた太陽と月がある。


 ここは地球で間違いないんだよな?…いつか調べなければダメな日が来るのかもしれない。


 *


「だいぶ魔力を消費したみたいだね。ごめんね無理をさせたみたいで」


「夕食は期待してるわ、デザートも当然ね!」


「好きなだけ食べてもいいよ。とても参考になったし。

 あとは調合とかを教わりたかったけど、店の人は調合も鍛冶もしないって言ってたしね」


「陽二は何になるつもりなのかしら? パトリック様に勇者を譲ったって聞いたけど…そもそも職業って譲れるのかしら?」


「まあ終わった事は良いじゃない。どうせ戦えないヘタレだし、王子なら立派な勇者になるよ」


「ふふ、そうね、ねぇ陽二。もしかしたらだけど……王宮の書館に調合とかの本が置いてあるかも」


「図書館があるの? そうか、本って手があったか。グッジョブカリン。王様に聞いてみよう」


「置いてあるか、わからないわよ?」


「可能性はあるよ。それに調合とかだけじゃなくいろいろと調べられるし」


 その時だった


「見つけた! おまえのせいで…おまえのせいだ! 死ね異世界人!」


「********** 火塊の攻撃(ファイボール)ダブル!」


「きゃあ!」


「カリン! うわ!」


 陽二とカリンの足元に燃えさかる火の塊が着弾して破裂。


 その衝撃で2人は吹っ飛ばされる。陽二はすぐさま体の姿勢を立て直しカリンに駆け寄る。


「カリン!」


 カリンは気絶してグッタリしている。魔力を消耗していたのでなおさらだ。

 そして足に当たってしまったのか、ひどいやけど(・・・)をおっている。


「くそ、(ギフト)! 火の療法(ファイヒール)!」


 効果がない! くそ、あせって集中できない! 


 火の塊が飛んできた方向を見ると……見覚えのある顔が


「おまえ……なんて事をするんだ! パトリシア!」


 パトリシアは鬼のような顔で陽二を(にら)み付けている


「おまえのせいで! おまえのせいだ! ********」


 や、やばいぞ、また撃ってくる気だ。狙われているのは俺か? カリンが心配だが…このままでは巻きこまれてしまう


「ちっ、おい! クソガキこっちだ」


 陽二はカリンから遠ざかる様にダッシュをする


火塊の大攻撃(ファイカノン)!」


 巨大な火の塊が、小さな火の塊をまき散らしながら迫ってくる。


 こんな場所で何て魔法を使いやがるんだ! 頭が体が唇が咄嗟(とっさ)に叫んだ


「押しつぶせ! 水壁(アクアシールド)!」


 カリンが見せた水壁(アクアシールド)の3倍はある大きさの水の塊が出現して、パトリシアの火塊の大攻撃(ファイカノン)を飲み込んだ。


 地面には大きな水たまりができて大量の水が一気に蒸発。周囲は瞬く間に水蒸気に包まれる。


 咄嗟(とっさ)の出来事だったけど魔法を使える確信はあった。大きさは想定外だったけど…


 ゼライェローが剣にまとわせた魔法を思い浮かべながら叫ぶ


「まとえ水壁(アクアシールド)!」


 直径2メートル・厚さ10㎝、球体形の水壁(アクアシールド)で体を包み

 立ちのぼる湯気(ゆげ)の中を最短距離でパトリシアに突っ込んだ


 パトリシアは何度も魔法を唱えるが


水壁(シールド)!」と魔法を唱え中から水壁(アクアシールド)を補強する。


 ジュッ ジュワッジュワッ


 と音が鳴りパトリシアの魔法を水壁(アクアシールド)が飲み込む。


 魔力の差なのか負ける気が全くしない、視界のMPが100単位で減っている


 そしてパトリシアに近づいた陽二は腕を捕まえ中に引きずり込んだ


「おい、おまえ何してんだよ!」


 パトリシアは握られた手を振り払おうと暴れながら(さけ)


「おまえのせいだ! お兄様がシアを置いて出て行った! おまえが勇者を押し付けたから……押し付けたから出て行ったんだ!!」


 パトリシアはさらに暴れ大粒の涙をまき散らす


「おまえら異世界人はお母様をシアから奪った! 今度はお兄様まで奪う気か! 返せ! お母様とお兄様を返せ!!」 


 キッと陽二の目に力強く視線を向ける。


 陽二は一瞬、時が止まった様に感じた。


「おまえら異世界人はみんな出て行けぇー!」


 (さけ)び終わったパトリシアは、そのまま大声で泣き出してしまった。


 陽二は頭をハンマーで殴られたような感じだった。


 この世界に来てから自分に都合の良い事ばかり考えて、この世界の人の事なんてこれっぽっちも考えた事なんてなかった。


 実際、余裕がなかったと言うのもあった。おとぎ話の中に居るような……この世界の人たちをゲームのキャラクターでも見ているかの様な…そんな気持ちがなかったと言えばウソになる。


 パトリシアは異世界人に母親を奪われたと


 パトリックを奪われたと叫ぶ。


 陽二がパトリックに勇者を渡したのは間違いない事実。


 王様の思惑がどうであれ

 パトリシアから見たら陽二がパトリックに押し付けたのだ。

 理由は分からないが母親も異世界人に奪われている。


 1度ならず2度までも肉親がパトリシアの前から去って行く。


 パトリックはレベル上げに行っただけだが、パトリシアから見た景色は違うのだろう。もう帰ってこないと思っているのだ。


 パトリシアの言葉で浮ついた気持ちが消えて、現実だと再確認した。


 おとぎ話の中ではないと…陽二は暴れるパトリシアを抱きしめて言った。


「パトリシア、リックに勇者を押し付けてごめん。俺、自分の事しか考えてなかったよ。リックは今朝、勇者のレベル上げに行ったんだ。パトリシアを置いて出て行った訳じゃない!」


「………」


 腕の中で逃げ出そうと暴れていたパトリシア、だんだんとおとなしくなっていく


「王様から聞いたんだけど、リックはみんなを守れる勇者になりたいんだって。

 俺だったらそんなこと考えずに勇者の力で好き勝手にやってたと思うんだ。

 リックは本当にすごいと思うよ。押し付けたのは本当に悪いと思う。けど、勇者にはリックが相応(ふさわ)しい」


「……」


 陽二は黙ったままのパトリシアをのぞき込む


「パトリシア?」


 パトリシアの涙は止まっていた。そして目を見開き大声を上げる


「おまえに言われなくても分かってる!」


 そう言って陽二の腕の中に崩れ落ちる。


 どうやら気絶? しているみたいだ。


 陽二はパトリシアを抱っこしたままカリンの元へと走る


「カリン、大丈夫か…?」


 カリンのやけど(・・・)は相当ひどい。すぐさま魔法を唱える


火の療法(ファイヒール)


 カリンの表情は多少良くなって来ているが、やけど(・・・)の外傷には全く効果がない。


「くそ、カリン! 目を覚ましてくれ。パトリシア! 助けてくれ」


 2人ともビクともしない。人を呼んで来るべきか、しかしやけど(・・・)がひどい。細菌とか感染症とかが心配だ


水の療法(アクアヒール)!」


 だめだ効果はない……


「…あ」


 ん? 目を開けたパトリシアの唇がわずかに動く、唇に耳を寄せる


「……あ…あいて……の…こ………ことを…あ…いするくら…か…かみ…かん…んしゃし……して」


 だめだ、声が聞こえなくなった。


 パトリシアは目を閉じてしまった。力を振りしぼって何かを伝えようとしてくれたのだろう


 ああいてのことをあいするくら?…


「相手のことを愛するくら」


 かかみかんんしゃして


「神に感謝」


「相手のことを愛するくら 神に感謝」


 つまり…相手のことを愛するくらい考え神に感謝……お願いか! 


 陽二は2人を並べて寝かせる


 そして愛くるしい顔で笑う2人を思い浮かべる。当然けがなどしていない。元気いっぱいだ!


「火の神様。水の神様。どうか私のお願いをお聞きください。

 ここにいる2人のけがを、悪いところ全てを元通りにしてください。一生感謝します。ですからなにとぞお願いします。癒やしを(めぐみ)を祝福を!」


火の神(癒やし)水の神(恵み)祝福(ヒール)を!」


 後方から不思議な感覚がして魔法を後押しする。


 2人をドーム状の光が包み込み、だんだんと小さくなって消えていった。明らかに今までのヒールとは違う。


 カリンを見てみるとやけど(・・・)もきれいさっぱり消えている。

 さらに小さなすり傷もきれいに消えて、2人の顔色も良くなっている


「「う、んー、んんー」」


 何事もなかったかの様に背伸びをする2人。

 8時間くらい睡眠を取ってちょうど良い頃に起きた感じだ


「「おはよう!」」


 パトリシアまで満面の笑みだ


「おい! 俺の心配と努力を返して!」


「冗談よ。陽二……助けてくれてありがとう」


 とカリンが言えば


「シアはあのままでも平気だった。余計なお世話……でも異世界人、ちょっとだけ見直した」


 とお褒めの言葉をいただいた。


 少しでも心を開いてくれたのならうれしい


 陽二は2人を抱きしめる


「カリン無事で本当によかった。巻き込んでごめんな」


「シア、心細かったら俺に言え。リックが帰ってくるまでシアの兄ちゃんになってやる」


 バスン


 パトリシアのかわいらしいパンチが陽二の鳩尾(みぞおち)にすっぽりとおさまった。


「うごっ」


「異世界人が、お兄様の代わりになれるわけがない!」


 顔を真っ赤にして怒っている。


「ま、まあ? 付き人くらいにならしてあげるわ!」


「いがいね。よかったわね陽二」


 陽二はため息をつく


「何でもいいよ。シアが異世界人の事を嫌いなのも分からない事もないし。まあ、何でも言ってくれ」


「う、うん」


 バン! 


 う、また鳩尾(みぞおち)に……


「気安くシアって呼ぶな、この駄馬!」



 この騒ぎで人が集まり大変だったが、カリンとパトリシアの演習と言う事にすると、さほど問題にならなかった。


 

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