19話 神種
最近ホント忙しくて一日が24時間じゃ足りない(;^ω^)
投稿遅くなってすんません。
「 ”神種”とはその名の通り神の種、つまり神の一種じゃ。種類としてはわしの様に実態があるものから精霊の様に存在が希薄なもの、別次元でひっそりと暮らすもの、果ては概念となり自我の存在しない者など種類は多岐に渡る。わしがお主の親でもないのに思念送受できたのは同族であるといったところが大きい。」
「まじかよ・・・俺って神様の一種だったのか・・・・」
あまりのことに衝撃が走る。
だとしたら俺よっぽどエロ神だったんだろうな。スキル的に。
「んぅ・・・ところがそうハッキリと神種とも言えないんじゃ・・・・。今じっくりと見て分かったのじゃが、なんというか・・・すごく神種としての存在力というか神威が極端に薄い。しかも・・・ホレ」
ニュー爺は難しそうな顔をすると、その難しそうな顔のまま俺の胸をひと押しした。
瞬間、俺の胸の中心に魔方陣のようなものが浮かび上がり、丁度俺の心臓の右五センチくらいのところが金色に光った、大きさはリンゴほどの大きさだろうか。
「お主の体の中に異なる存在力を放つ神種が入り込んでおる。こやつのせいでお主の性質の探知が妨害され、わしでも深く知ることができん。」
「はっ?別の存在!?こいつ生きてんのか?!ってことは俺は今誰かもわからん奴と体をシェアしてる状態だってのかよ!?」
「そういうことになるのぅ。しかもお主の中にいるコイツ・・・お主と違って神威が桁違いじゃ。数万の時を生きるわしでも。こんなものを見るのは久方ぶりじゃ。ここ数百年は気配すらも感じたこともなかったわ。」
あまりのことに頭がついていかない。俺は実は神の一種(かもしれない)でさらに俺の体の中に別の存在がいる?!ますます俺はいったい何者なんだ・・・・。
「まじかよ・・・俺てっきり自分の正体はどっかのエロ商人とかかと思ってたのに・・・。ところで、俺の中にいる奴は神種の中でも意識はある系の奴なのか?」
「はっきりしたことはわからんが、存在力の大きさによる推察で話すと・・・恐らく自我はあるタイプの奴じゃろうな。ここまで格が高い奴じゃと自我はない方が珍しいからのう。まぁ・・・今は眠っておるようじゃが。」
「なるほどな・・・じゃあ、ニュー爺がさっき言ってた”目的”ってなんなんだ?」
「神種が存在する理由じゃよ。神種というのは基本必要だからそこに存在しておるんじゃ。その存在している理由のことをわしらは”目的”と呼んでおる。それぞれ神種はこの世に及ぼさなければいけない影響があるんじゃ。」
「じゃあ、俺にもその”目的”ってやつがあるのか・・・・。」
「まぁ記憶喪失で思い出せんのなら仕方があるまい。急ぐこともないのじゃからお主の中のソイツが目覚めたときにでも聞いてみるのがよかろう。」
「そういえば、俺の成長が異様に速かったり魔石を吸収したりしても魔物化しなかったのってひょっとして俺が神種だからか?」
「成長にかんしては分からんが・・・魔石にかんしてはそういうことじゃろうな。神が汚染されて魔物化なんてするわけないじゃろうて」
ニュー爺がおかしそうに笑う。
「そうじゃ!今お主魔石持っておるか?」
「?ああ・・・・・これでいいか?」
俺はポケットからメタルガーゴイルからとった魔石を取り出してニュー爺に渡す。
「少しコツがいるが・・・こんなこともできるぞ」
そう言ったとたん、ニュー爺の持っている魔石が金色の光を帯び、美しく輝きだす。
数秒光が続いたのち、ニュー爺が魔石を見せてくる。
先ほどまで濁って瘴気を微かに出していた魔石が透明感を帯びたものになり、宝石のように美しくなっている。
「魔石の中の瘴気を完全に取り除いた。おそらくこれで普通の人間が取り込んでも問題ないじゃろう。」
「おお!すごいなニュー爺!どうやってやったんだ?」
「神としての存在力・・・神威を込めたんじゃよ。まぁお主はその様子じゃと今まで神威をまともに扱ったことがなさそうじゃから習得には時間がかかるかもしれんが・・・・」
練習に時間がかかるとしてもかなりいいことを聞いた。
瘴気を取り除いたりできるのか・・・使い方次第ではいろいろなことができそうだ。
「それじゃあ、先にやらないといけないことをやっちゃいますか。」
俺は赤色に輝き、脈打っているニュー爺のコアに手を触れる。
《身体強化・腕》
スキルを使って両腕のみを一時的に強化する。
森の中で使って見て分かったのだが体の部位のみを強化することもできるようだ。
魔力の消費も少ないし、体全てを強化するよりも燃費がいい。
俺はにゅじいのコアに触れた手に力を籠めた。
コアが水晶を砕いたような音を出して粉々になる。
瞬間、まるで大地震の様にこの心象世界が激しく揺れ始めた。
「どうやら崩壊が始まったようじゃ、この心象世界も残り数分ほどで維持できずに消滅するじゃろう。この肉体ともお別れじゃな」
ニュー爺が少し寂しそうな声色で呟く。
「そうじゃ、お礼と迷惑料としてお主にこれをやろう」
ニュー爺が手を宙にかざすと虹色に光る美しい宝石のような球が現れた。
大きさは直径数センチほどだろうか。
「これは?」
「これはわしの固有スキル《世界樹権限》で生み出した”進化の種”じゃ。一個作るのにとんでもない量の存在力を使うのじゃが、わしの本体の中の制御可能な力を全て使って作った。このままじゃと本体中の存在力は自然放出されてしまうから勿体ないしのう」
ニュー爺がおかしそうに笑う。
「それで、具体的にはどういったものなんだ?」
「それはその名の通り生物を進化させるものじゃ。使った対象の生物としての格を2段階上昇させる。具体的に言うとそこら辺の木をエルフにすることができるような代物じゃ」
「自分自身には使えないのか?」
「残念ながら神種に使っても効果はない。生物としての格がもう上がりようがないからのう」
なるほどな・・・。自分自身には使えないのは残念極まりないが、かなり強力な代物だ。
ただの木があれだけの魔力を内包した半精霊化するんだもんな。
「大事に使ってほしい。それと使い方はよく考えた方がよいぞ。例えば適当な人間に使ってその人間が力に溺れるなんてことは簡単に起こるからのう。人間に使うなとは言わんが、その人間についてよく見極めることだ。」
ニュー爺がいつになく本気な様子で話しかけてくる。
「分かった。ありがとうニュー爺。使い方についてはよく考えるよ。」
「さて、そろそろこの心象世界も限界じゃ。お主を脱出させる。」
ニュー爺が呪文を唱えると俺の足元に魔法人が出現する。
「それと・・・申し訳ないのじゃが、エルフたちをよろしく頼みたい。わしの存在力が薄まればあの子たちの存在が露見していくじゃろう・・・。そうなるとあの子たちを狙うものたちがやってこないとも限らん。お主の力で守ってやってくれ。」
「んんむぅ・・・正直俺よりもあのエルフの女の子のほうが強いからなぁ・・・守ってくれって言われても・・・」
俺は困ったように頭をポリポリと掻く。
「違う違う、社会的にじゃよ。わしの力が弱まって次元の移動ができなくなれば、おのずと人間たちと関わらなければならなくなってくるじゃろう。物珍しさに奴隷にしようとしてくる奴らもいるかもわからん。そういったことから守ってやってはくれないか?」
「まぁそういったことなら・・・俺も記憶喪失でこの世界の右も左もわからないけどそういうこと分かりそうで信頼できる奴がいるからそいつに頼んでみるよ。」
「そうか、ありがたい。”進化の種”はその分のお礼も兼てということでよろしく頼む。」
ニュー爺が俺に一礼すると同時に足元の魔方陣が明るく輝きだし、俺を飲み込んでいく。
こうして俺はニュー爺の心象世界から脱出したのだった。
ついに現実世界に帰還!!
果たして主人公は進化の種をどう使うのか?
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これからも頑張っていきます!!