表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/26

12話 森からの脱出

誤字・文章の矛盾などは感想欄で教えていただけると嬉しいです('◇')ゞ

俺は興奮していた。

 まさかこれから人間の村の村へ行けるいうだけでここまで嬉しくなるとは相当俺は人間に飢えていたのだろう。

 

 アリアに会った時もそうだ。

 一か月ぶりにまともに話せる相手に会えたというのはなかなか嬉しかった。


 「ステータス閲覧」はステータスに関することしか話してくれないし、炎狼はこちらの意思はくみ取ってくれるが、やはり会話することなどできない。

 おまけに魔力が尽きれば消えてしまう。

 やはり人間のようにはいかない。


 俺は「身体強化」と「疾走」を併用しながら森の中をかける。

 アリアも「身体強化」と「疾走」の両方が使えるようで、道案内役としてアリアが前を走り、俺がそれを追いかけるような形で森の中を進んでいる。


 今の俺たちの速度はグレイウルフの全力疾走を軽く凌駕するスピードである。

 まあ、身体強化の特性上、ちょいちょい休憩を挟まなければならないが、それでも馬にまたがって進むよりもよほど早い速度で進んでいる。


 本当を言えば、「疾走」のスキルレベルと単純なレベルの差があるので、俺は今のスピードの5倍は早い速度で走ることができる。

 しかし、案内役を置いて一人で突っ走っても何の意味もないのでアリアに合わせている形だ。


 「アリア、あとどれくらいで村にたどり着くんだ?」

 「そうですね、このペースでいけばおそらく1時間半程度で村まで付くでしょう。」


 なんてこった・・・そんなに近くに人が住んでる場所あったのかよ。


「ずいぶん驚いているようですが、この速度でしたらあなたの住むあの場所から7時間もかからずに、アレス王国に着くことができますよ?逆に一か月もあの森で探索を続けておきながら、どこにもたどり着くことができないだなんておかしいと思います」


 バッサリと言われてしまった。


 はい、そうですよ。

 認めますよ、さすがにここまでくると認めますよ。

 俺は方向音痴です。


 じつは、ここに住んで一か月なのにまったく土地勘が身についていなくて、拠点のすぐ近くで迷ったことがある。

 他にもいろいろと方向音痴を認めてから思い当たることがあるが、これは記憶の片隅に封印しよう。うん、過度な自己否定は精神衛生上よくないからね。


 言い訳とかじゃないよ?いやホントだって。


 アリアが若干白い目で見てくるが、無視する。


 「そういえば、普通の人間が魔石(水晶)を使ってスキルを獲得すると、魔物化してしまうって言っていたがあれは本当か?」

 「本当です。実際私自身それによって身を滅ぼしてきた人を何人も見てきましたから。」

 

 アリアが少し悲しそうな顔をして言う。

 誰か知り合いでも魔物化したのだろうか。


 「じゃあもう一つ質問。魔物から奪い取ったモノでなければ今アリアが使っている疾走とか身体強化とかの出どころはいったい何なんだ?」

 俺は、普通の人間が魔物からスキルを奪えないと知ってからずっと疑問に思っていたことをぶつける。


 「基本的には成長とともに獲得するのが主ですね。いわゆる才能と呼ばれるものです。他には装備品に魔石を埋め込んでその力をスキルとして獲得する方法もあります。実際私も元から疾走は使えるわけではなく、ブーツに埋め込んだ魔石の力を使っているのです。」

 「なるほどな、そういうことならグレイウルフたちが持っているスキルがほとんど同じものだったということにも納得がいく。もしやたらめったら倒した魔物からスキルが奪えていたのなら、もっと多種多様なスキルを持っていたはずだからな。」


 その理論でいうと、俺の才能ってやつは「天落とし」「激震」「リザレクト」「ぬるぬる」の四つってことになるな。

 いやそれ等ももしかしたら過去の俺が奪ったものなのかもしれない。


 そう考えてみると如何に俺の体がおかしいのかということについて今更ながら考えさせられる。

 一体どういうことなのだろう。

 過去の俺に関係があるのだろうか。


 「あと他にスキルを獲得する方法としては、剣術を修めることでその剣技がスキルに認定されたり、無詠唱で発動できるまでになった魔法がスキル認定されることもありますね。」

 「なるほどな、でもそのたぐいのものはなんというかスキルっていうよりも、できることが表示されているような感じだな。」

 「まあ、そうなんですけどね」


 アリアが首を縦に振って肯定する。


 っとそんなやり取りをしている内に俺たちは村に着いたのであった。


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 

 ダリグ村


 彼女たちの村の名前らしい。

 俺とアリアが村に入ると、メイド服を着た二十代後半ぐらいの女性がすっ飛んできた。


 「大丈夫でしたか?アリアお嬢様。お怪我等はされておられませんか?アレスの奴らに邪見に扱われたりなどはされませんでしたか?ああ!こんなところに切り傷が!ただいま処置して差し上げます。」

 メイド服の女性はそういうと、スキルを使い始めた。

 女性の手のひらが淡い緑色の光を帯び、それをアリアの傷にあてることによって見る見るうちに傷がふさがっていく。

 

 これは、あれだな「リザレクト」だな。

 しかし、見ただけでも分かる、相当レベルが高い。

 俺も「リザレクト」のレベルはかなり上げているが、ここまでじゃない。

 この人が使ってるのは下手したらレベルがマックス行ってるかもしれない。


 傷の処置が終わってもメイド服の女性は心配そうな顔をしながらアリアの体をペタペタと触っている。

 ただのお節介なメイドにしては、スキルが有能すぎる。

 なぜこんな人がこんな村に居るのだろうか。

 ちなみに俺はガン無視である。


「カティ、私は大丈夫よ。それよりガーゴイルの軍勢は?」

「はい、つい先ほど出した斥候の情報によれば、30キロメートル地点を突破いたしました。おそらく今夜、奴らはこの村へ攻め込むつもりでしょう。」

「ずいぶんと予定より遅いわね。よくここまで耐えてくれたわ。」

「はい、わが村の精鋭たちの努力のたまものです。逆方向からの奇襲や、毒矢、罠などを使い、懸命に時間稼ぎをいたしました。」


 急に態度が変わり、真面目モードになったメイドさんに若干の驚きを感じつつ、頭の中で情報を整理する。


 ガーゴイルは俺も戦ったことがある。

 たしかCランクモンスターのはずだ。

 そいつの上位種のメタルガーゴイルというやつもおそらくランクB程度だろう。


 並の人間にはそんな奴らが百体もやってくるのだから恐怖以外の何物でもないだろうが、俺にとっては違う。

 もはや、ランクC程度の奴らはいくら集まったところで脅威でも何でもない。


 とはいっても、百体はさすがに一人で抑えきれる自信がない。

 俺がたとえ無傷でも、後方の村に通過を許してしまえばその時点でお終いだからだ。


 だから、この村の人間たちにもある程度は自衛の力がなくちゃいけない。


 「おいアリア、この村で武器を持って戦える人間はどのくらいいるんだ?」

 「そうですね、うちの村の戦力としては魔法使いが10人と戦士が30人というところです。戦士たちそれぞれの戦力は基本ランクD、力のあるものでランクCといったところでしょう。メタルガーゴイルによって強化されたガーゴイルたちはランクC+です。相手どれる人数は限られています。」

 アリアが悔しそうな顔で現状報告をする。


 「そいつら全員に魔石を持たせることは可能か?」

 「可能ですが…。確かに魔石を持たせてスキルを疑似的にでも獲得することができれば、戦力は跳ね上がるでしょうが、魔石は基本高価なものでして今更購入したり倒して獲得するのは難しいかと・・・。」


 アリアが俯いて答える。


 「そうか、ならちょっと待ってろ。俺があの森の中で獲得しまくった魔石がある」

 俺はニヤッと笑うと、今来た道に向かって走り出した。

  今回は道を覚えるためにアリアと一緒に走らなくてもいいので、全力で走る。

  なんとものの十五分で拠点へとついてしまった。

  本当にどんだけ近くにあったんだ。

  俺は頭が痛くなるのを抑えて魔石保管用の洞窟へ向かった。

 

主人公が魔物化しないのには主人公の正体が関係しています。

評価、感想よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ