10話 少女との邂逅
風邪をひきました。
明日投稿できないかもです。
あれから一か月経った。
何ということでしょう!いまだに森の中です!
いや、あのね頑張ってみたんだよ。うん。
けど、どんだけ頑張って森の中探索してもさ、人里が見つからない。
この間試しに1日かけて1つの方向に突っ走ってみたけど結局何も見つからなかった。
別に方向音痴って訳じゃないから!
この森が広すぎるだけだから!
かなり人恋しくなってきてはいるけれど、食料には不自由してない。
ここら辺は魔物だけじゃなく、野生の動物なんかもたくさん生息してるようだ。
食べるのには苦労していない。
さらに、レベルが上がったおかげで標準スキル「鑑定」の精度が上がって食べられる野草が分かってきた。
レベルが低かった時に野草の鑑定をしても「雑草」としか出てこなかったのに、今じゃその野草の名前や毒性なんかも教えてくれるようになった。
そういったわけでただいま食用の野草を摘んでいる。
なかなかこれが楽しい。
今まで何気なく目にしていた雑草が食べられるモノだとわかった時の感動がすごい。
おかげで存外栄養に偏りのない食生活を送っているのである。
「ウォオオオオオオン」
ザスッ
襲い掛かってきたグレイウルフを片手で撃破する。
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グレイウルフを討伐しました。
経験値16を獲得しました。
「自称勇者」により経験値にボーナスが付与されます。
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この一か月でかなりレベルが上がった。
格上とばかり戦ってきたせいで、めちゃくちゃレベルの上りが早かった。
あと「自称勇者」もあるからだろう。
今やグレイウルフを片手で撃破できる。
それと、一か月もこの森で生活しているので、元着ていた服を着るのはもうやめた。
今はヒグマの皮を加工したものを服としてきている。
意外とこれが着心地がいい。
元着ていた服は人と出会った時のために「浄化」をかけて大事に保管してある。
閑話休題
今の俺のステータスがこちら。
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個体名:「??????」
種族:「人間」
状態:記憶喪失
Lv185(ランクA-相当)
スキルコスト:65/100
スキル:「天落としLv7」「激震Lv6」「ぬるぬるLvMAX」「リザレクトLv5」
「火焔球Lv3」「白狼炎LvMAX」「浄化Lv2」「身体強化Lv2」
「疾走LvMAX」「粘着糸LvMAX」
称号:「自称勇者」「正義漢」「狡猾」
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毎日毎日グレイウルフとフィアススパイダーとかその他もろもろ併せて魔物50体くらい倒してたらこんなステータスになってしまった。
うん、ずいぶん化け物になってしまったと思う。
レベルに関しては130レベル(Bランク相当)くらいまでは本当にすぐに上がった。
おそらく1週間くらいで上がったような気がする。
炎狼を3体召喚して魔力の尽きるまで魔物狩らせまくったらすぐ上がった。
炎狼あれCどころじゃない強さだった。
C+は確実にある。
大変なのはそれからだった。
この森における格上的存在が一気に減ったせいで、急にレベルが上がりにくくなった。
たまに、フィアススパイダーとかグレイウルフとかの上位互換っぽい奴が出てくるんだけど、そいつらくらいしか苦戦しなくなった。
2週間で50レベルくらい上がって相当ランクがA-の域に入ってからはほとんどレベルアップしていない。
先ほどのグレイウルフみたいにランクC程度の奴でさえ倒してもゴミみたいな経験値しか入らなくなってしまった。
アイツら毎日毎日あほみたいに大量に狩りまくってるのに数が減ってる気がしない。
一体どんだけ繁殖していたんだ…。
まあ、これ以上レベルアップしたところで、レベルアップする目的である「この森で安全に生活できるくらいまで強くなる」は達成されてしまったわけだが。
それでは、折角なので新しく獲得したスキルの解説をしていこう。
「浄化Lv2」
・川の上流のほうにいた巨大なヒキガエルみたいなやつ討伐したら手に入ったスキル。
・対象の物体・物質を浄化することができる。
・カエルは他に「胃酸逆流」とか「胃袋拡大」とかいうスキルも持ってたけど、獲得していない。スキルコストがもったいなすぎる。一応水晶は拠点の近くの洞窟に保管してある。
「身体強化Lv2」
・グレイウルフの上位互換のフェンリルが持ってたスキル。
・一定時間身体能力が飛躍的にアップする。
・フェンリルは他に「稲妻」とかいうスキルも持っていた。マジで欲しい。
フェンリル自体に1度しか出会えていないので、なかなかレアなスキルのようだ。
「疾走LvMAX」
・グレイウルフが持ってたスキル。
・走るのが速くなる。身体強化と組み合わせたら凄かった。
・水晶が大量に手に入るので、LvMAXにできた。
っとこんなところだろう。
もちろん戦っていく中で「噛みつく」とかの入っていた水晶も手に入ったが、とてもいらなかったので、拠点の近くの洞窟の中に放り込んである。
洞窟は川の近くには二つあり、片方は住居として、もう片方は水晶入れとして使っている。
住居ではない洞窟のほうには、ちょっと前は水晶だけじゃなく食料とかの備蓄も入れてみたんだが、フィアススパイダーどもに食い散らかされてしまった。
今は食料はすべて自分の住居に入れてある。
そんなことを考えながら野草を探していると、足元に小ぶりの茶色いキノコが生えているのを見つけた。
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・ハピットマッシュルーム
毒性:なし
・魔力濃度の高いところにおいてまれに発生する。
・香辛料や香りづけのために使用され、高級食材として取引されている。
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おおっこれはいいものを見つけた。
こいつは香辛料として使えるキノコだがそのまま食べてもめちゃくちゃ美味く、もちろん香りづけとしても最高の食材だ。
この森での生活で一か月、俺の好物となりつつある。
ホクホク顔で足元のキノコを摘み取り、粘着性を落とした粘着糸で編んだ袋に入れる。
まだここら辺にないかと意気揚々と探していると、
ドガッ
「がはっ」
近くで何かがたたきつけられるような音と、人間のような声が聞こえた。
先ほどの苦しげな声を聴く限り、もしかしたら誰かが襲われているのかもしれない。
考えるよりも足が先に動いていた。
瞬時に「疾走」と「身体強化」を組み合わせ声のした方向へ走り出す。
走りながら、もし人間に会うんだったら熊の毛皮じゃなくてちゃんとした服着ればよかったとか少しだけ後悔したが、今更仕方がない。
声がしたところについてみると、フェンリルと十数体のグレイウルフがエメラルドグリーンの髪の高級そうな装束を着た少女を襲おうとしていた。
少女の目の前に飛び出し、フェンリルを素手で両断する。
俺が前戦ったフェンリルはランクAだったが、どうやらこいつはB+らしい。
ランクB台の魔物は身体強化した俺の敵ではない。
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フェンリルを討伐しました。
経験値360を獲得しました。
「自称勇者」により経験値にボーナスが付与されます。
「??????」のLvが185からLv186になりました。
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おおレベルが上がった。
俺は残ったグレイウルフたちを一瞥すると呟く。
「あーこいつらかーこいつ等のスキルもういらないんだけどなー」
まあそんなこと言っても、せっかくだし討伐しておくのがいいだろう。
ランクCのグレイウルフなどすぐに片付く。
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グレイウルフをすべて片付けた俺は少女に近づく。
「大丈夫か?助けに来たぜ。」
言ってしまってから少し後悔する。
明らかに彼女の体は大丈夫ではなかった。
しかし、
「大丈夫だ。ありがとう。」
彼女はそう礼を口にすると、唐突に泣き始めた。
そんなに怖かったのだろうか。
「おっおい、なんで急に泣いてんだよ。そんなに怖かったのか?」
「zzzzzz・・・・・」
俺のその問いに答えることなく急に寝てしまったようだ。
極度の恐怖の反動だろう。
ここに置いておいてもまたグレイウルフに襲われるかもしれないし、一度俺の拠点に連れて行こう。
そう決心した俺は、フェンリルの水晶を拾うと彼女をおぶったのだった。
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