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お兄ちゃんって呼ばないで  作者: メイリ
6/8

家の中に入ったら玄関に大きな置物があった。

こんなのあったっけ?

私が不思議に思ってしげしげと見つめていたらその置物がちょっと動いた。



よく見れば……あ、竜也だ。

玄関の隅で体育座りしているイケメン……しかも涙目、いろいろアウトでしょう。

本当に関わりたくなかったのでそのままスルーしようとしたのだがそうは問屋がおろさなかった。



「琴音〜〜。あいつ誰?何で俺のこと無視するの?」


あ〜〜あ、また出してはいけない汁を出してるよ……。

基本レッドが人前で出しちゃいけないモノを出していることを許せない私は、乱暴にそれを拭いてやる。

ゴシゴシ!

ちょっと乱暴かと思うぐらいがちょうどいい。


だいたい何で私が竜也に浮気を問い詰められているような状況になっているんだ?

別に悪いことはしていないぞ。

そんなにグリーンに懐くのが気にくわんか?

レッドが主役とでも言いたいか?


「……別に私が誰と仲良くしていてもお兄ちゃんには関係ないよ。それにお兄ちゃんだってピンク……じゃなくてカワイイ後輩さんが懐いてくれていたじゃん。」


「は〜〜あ?誰がカワイイの?カワイイのは琴音でしょ。俺が一緒にいてほしいのは琴音なんだよ。」



竜也は私の服の裾をつかみながらそんなことを言った。

何でそんなに必死な表情するの?

それじゃあまるで私のことを……好きみたいだよ?

誤解されるようなことすんな!この馬鹿レッド!


私と竜也が玄関で騒いでいるとちょうど父が帰宅した。

いろいろな汁を出しながら私の服をつかんでいた竜也を見た途端、竜也を一本背負いした。



「こ〜〜の〜〜馬鹿息子がーーーー!!俺の娘に何しやがる!」


わーお、お父様カッチョいいです。

さすがレッドの実父、技のキレがヤバいっす。

竜也も運動神経は良いが、父の圧倒的なスピードからの背負い投げには成す術もなかったようだ。


「何するんだ!俺は琴音に話しがあるんだよ!親父はどいてろよ。」


「どくわけないだろう?……娘よ、俺がこの馬鹿息子を食い止めている間に早く行け!」


私は父の好意を無駄にせず勢いよくその場をあとにした。

たとえ後ろから「琴音〜〜」という情けない声が聞こえたとしてもだ。



部屋に戻った私は部屋着に着替えてくつろぎモードに突入した。

なんかさっきの騒ぎでドッと疲れが出てきたからDVDでも見て癒されよう。

私はお気に入りのDVDを取り出しセットした。


画面に映っているのはもちろん戦隊モノだ。

ちょっと前のものだが未だにお気に入りで何回も見ている。

特にこの戦隊のレッドがめっちゃカッコ良いのだ。

他にもグリーンも素敵だし、追加戦士も好みだった。



はあ〜〜、やっぱりレッドやグリーンは画面で愛でるに限る。

現実のイケメンの扱いなんて、こんな普通が服を着て歩いているような私には無理だ。

たまたま家族になったから関わっているけど本来は交差することのない人生だもん。


そんなことを考えながらボーッとDVD鑑賞を楽しんでいたが、どうやら思っていたよりも疲れていたらしくそのまま眠ってしまった。



目を覚ました時にはすっかり暗くなっていた。

今何時だろうと思い時間を確認するともう日付が変わっている。

よく寝たな〜〜と伸びをしてから近くにあった携帯を見ると、何やら光っている。

誰かな〜〜と思って確認すると…………私はひとまず携帯を元あった場所に戻した。


だって!ほぼ竜也からの連絡だったんだもん。

何で同じ家にいるのにこんなに連絡してきているの?

本当に意味わかんない。


とりあえず内容を確認しようと思い、もう一度携帯を手にとってみた。

恐る恐る確認してみると短いメールが何件もきている。


『琴音〜〜部屋から出て来て〜〜』

『琴音〜〜美味しいケーキがあるよ〜〜』

『琴音〜〜』


最後の方は何故か名前だけ打たれている。

一体何がしたいんだ?

部屋に直接やって来ないのはやはり父が体を張って守ってくれているのだろう。


竜也のメールばかりだと思って見ていたら、一件違うものが紛れていた。

彰人さんだ。


『琴音さん、今日はとても楽しかったです。今日琴音さんと一緒に過ごしてやっぱり貴女はとても素敵な人だと感じました。また今度会えるのを楽しみにしています。 彰人 』



おいおい、メールもイケメンか?

何だよこのメール……なんかこそばゆいぞ。

グリーンは私をどうしたいんだ?


とりあえず遅い時間にメールの返信もどうなんだろう?と5秒ほど考えたが、送らずにいるとそのまま忘れそうだからちょっと送ってみた。


『返事が遅くなってごめんなさい、寝ちゃってました。こちらこそ今日?昨日はありがとうございました。また美味しいご飯食べに行けると良いですね。 琴音 』


はい、送信っと。

メールを返信して、あとは竜也をどうしようと考えていたら1分もしないうちに携帯が光った。

見ると彰人さんからのメールだった。


『寝てたんですね。何かあったのかと思ってましたが安心しました。きっと疲れが出てしまったんですね。では、返信ありがとうございました。おやすみなさい。』


あら〜〜、心配させちゃってましたか。

今度会った時に謝ろう。

なんか竜也の事はとりあえず置いておいて、もう寝よう。

基本面倒くさがりの私は問題を後回しにする癖がある。

でも、今回はしょうがないと思うんだ。


やっぱり私にはイケメンの考えることはわかんないよ。

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