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お兄ちゃんって呼ばないで  作者: メイリ
4/8

来るまでは億劫だと思っていたバーベキュー大会だけど、始まってみればそう悪くもない。

青空の下、気の合う仲間とご飯を食べるのも良いもんだ。

……なんて思っていたんだけどね。

さっきまでは。



バーベキューの準備も終わり少し周りを見る余裕が出来たのが不味かったんだと思う。

ちょっと離れたところに今日会いたくなかった人物を発見したのだ。

え?誰って?

そんなん竜也しかいないでしょ。


しかもあいつは私よりも早く私に気づいていたに違いない。

だって見つけた時、バッチリ目が合ったもん。

こっちを見てなきゃ合わないでしょ、普通。

さらに私と目が合った途端顔が満面の笑みに変わり、たぶんそれをたまたま直視してしまった人達が遠巻きながら騒いでいるのがわかった。


うん、なんかごめんね竜也の会社の人達……。

いきなりレッドがキラキラスマイルをお見舞いしたらそうなっちゃうよね。


とりあえず見なかったことにして肉を焼くことに集中した。


「お肉〜、お肉〜、ジュウジュウ焼っきましょ〜。」


「っぷ。琴音さん何歌っているんですか?面白すぎでしょう。」


「え〜〜。これぐらい普通ですよ。ね?柴田さん?」


彰人さんから笑われた私は柴田さんに同意を求めた。


「そうね〜、琴音ちゃんには普通の事よね〜。良く仕事中も変な歌口ずさみながら仕事しているもんね〜。」


変な歌は余計ですよ柴田さん。

でも、つい出ちゃうんだよね。

さすがに空気は読んでやっているよ。


「面白すぎる。あ〜あ、僕も琴音さんと一緒に働けたら良かったのに。」


このグリーンは何を言っているんでしょう?

聞いたところによると某有名企業でバリバリ働いているとのこと。

……そうか!忙し過ぎてちょっと現実逃避したくなっちゃったんだね。


なんだかんだで柴田さんや彰人さん達と楽しく過ごせていた。

彰人さんは良く気がきく人のようで、私の飲み物が空になればすぐに新しい飲み物を見繕ってくれるし、皿が空になれば肉と野菜を山盛りにしてくれた。

モグモグ……一体どれだけ私のことを食いしん坊と思っているんだ?

まあ、食べられるけどさ〜……モグモグ。


「くっくく、琴音さん頬がリスのように膨らんでますよ。そんなに詰め込んだら喉に詰まってしまいますよ。あーー、ほらほら落ち着いて。この水飲んで下さい。」


つい詰め込み過ぎた。

グリーンの的確な対処で大事には至らなかったよ。

ありがとう!グリーン!


「ゴクゴク……ぷっは〜、た、助かりました。あ、ありがとうございますグリ……彰人さん!」


危ない、危ない、気をぬくとグリーンって言っちゃいそうになるよ。


「もう、琴音ちゃんったら。でも、すっかり彰人と仲良しになってくれて嬉しいわ。いつでも私のことをお母様と呼んでくれて良いのよ〜。」


「か、母さん。まだ早いよ……これからゆっくり距離を縮めていくんだから。」


グリーンが赤くなってる。

後半のセリフは声が小さくて聞こえなかったけど、イケメンが照れている姿も良いですな。

ココロのアルバムにきっちり収めておきましょう。



ところですっかり和んでいた為忘れていたが、奴が……レッドがやらかしてくれた。



「すいません。大変申し訳ないのですが少しだけ醤油を貰えませんか?」


……おい。

醤油ってなんだ。

そんなもん絶対あんたの会社の人だって持ってきているだろう?


しかも数あるバーベキューを開催しているチームの中、ソコソコ離れている私達のところに来るなんて。

私は絶対話さんぞ。

さあ、柴田さん!いつもの軽妙なトークで奴を撃破して下さい!


「あらあら、イケメンさんね〜。お醤油が足りないの?だったらそこのを使ってもらって良いわよ。」


「ありがとうございます。」


柴田さ〜〜ん、そんな奴にあげなくたっていいですよ!

近寄って来るなって言ってたのに〜〜。

私の願いとは逆に奴は私の近くに寄ってきて小さい声で話しかけてきやがった。



「こ〜と〜ね〜。なんでそんなに楽しそうに他の男と話してんの?俺がどんな思いで遠くからず〜〜っと見てたと思うの?」


ボソボソとそんなことを私の耳元で言う。

そんなところで話すな!めっちゃくすぐったいわ!

私がもうそろそろ泣かせてやろうかと思い始めた頃、救世主が現れた。



「草薙センパ〜〜イ!そんなところで何しているんですか?」


おお〜〜!

救世主はイマドキの若者って感じの女の子だった。

しかもなかなかのカワイ子ちゃん。

こ、コレは!

レッドとピンク!


竜也の隣にきた女の子はまさしく戦隊モノのヒロイン、ピンクそのもの!

うわ〜〜、イイ!

私の竜也への怒りもぶっ飛ぶくらいの衝撃だ。


しかしせっかく迎えに来てくれたピンクにレッドは明らかに不機嫌になっている。

だけどピンクはそんなことではへこたれない。

レッドの腕を掴んで、笑顔でいる。


「草薙センパイみんな待ってますよ。醤油だったら見つかったみたいです。でも、一体誰が醤油をあんな所に隠したんでしょうね?」


…………醤油を隠したのってお前だな?

私は視線で奴に話しかけた。

私の視線を受けて明らかに挙動不審になっている。


そしてレッドとピンクは揃って自分の基地に戻っていった。

レッドはピンクに引きずられていたような気もするが……うん、ナイスピンク!


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