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お兄ちゃんって呼ばないで  作者: メイリ
2/8

「柴田さん、おはようございます!」


「あら、琴音ちゃんおはよう。」


柴田さんは私の職場の仲の良い人だ。

年齢は違うが何故か話しが合う。

そして彼女こそが奇特にも私に自身の息子を勧める面白い人なのである。


「ねえ、琴音ちゃん。いきなりで悪いんだけど今日予定空いてる?」


「今日ですか?別に家に帰って本読むぐらいしか用事はないので大丈夫ですよ〜。」


基本彼氏もいない私の予定はいつでも空いている。

…………自分で言ってて悲しいけど。



「なら、今日うちの息子に会わない?」


「それはまた突然ですね。ところで前にお見合いもどきの話しを聞いてた時から不思議に思っていたんですが、息子さんは私なんかに会って良いって言っているんですか?」


「あら、それなら大丈夫よ。だってむしろあの子の方から……って何でもないわ。で、会っても大丈夫?別に嫌なら断ってくれて良いのよ。」


「何言っているんですか?柴田さんの為なら頑張っちゃいますよ。」


息子さんがどうというより、柴田さんを喜ばせたいのだ。

私はかなり柴田さんに懐いている。

最初から私の面倒を見てくれている柴田さんの為なら何だってするさ。

それに柴田さんの息子さんなら悪い人なわけないよ。


「もう、琴音ちゃんったら。じゃあ、1度だけで良いから会ってみて。美味しい山菜料理のお店予約してたから。琴音ちゃん食べたいって言っていたでしょう?」


おお!

さすが柴田さん、私の好みをよくご存知で。


「ありがとうございます!じゃあ、仕事が終わったら待っていれば良いですかね?」


「ええ、息子を紹介するわ。」


あっという間に今日の予定が決まった。

そうと決まれば母にメールしておこう。

『会社の人とご飯食べてから帰るね。』と、これで良し。


見合いもどきだけど別にそれはメールしなくてもいいね。

なんか面倒なことになりそうだし。



ヨシ、今日のお仕事終わり!

さてと柴田さんは……あ、いた。


「柴田さん!ごめんなさい、待たせちゃいましたか?」


「ううん、大丈夫よ。私も今終わったところだから。今息子に連絡入れたからそろそろ来るはずよ。」


柴田さんが辺りをキョロキョロ見回している。

すると息子さんを発見したのか大きく手を振り始めた。

それに気づいた息子さんと思われる人が小走りでこちらへやって来た。


近づいて来たのは……ふむ、これはアレだね。

戦隊モノで言うところのグリーン的な感じ?

うーん、伝わらないかな〜、クールっぽいけど慣れると笑顔が素敵!みたいな?

とりあえずイケメンだ。


おいおい、柴田さんこんなかっちょいい息子に私なんて紹介したらいかんよ。

しかもこのグリーン、最初から笑顔だ。

おいおい、そこはまず最初は無愛想な感じから入るんじゃないの?

と私が勝手なイメージを楽しんでいたら話しかけられた。



「すいません、突然お時間頂いて。僕は柴田 彰人と言います。いつも母がお世話になっているようで……」


いやいや、お世話になっているのは私だよ。

いつも助けられているさ。


「もう、彰人ったら私のことは無視なのかしら?せっかく紹介してあげたのに〜。」


「いや、別に母さんを無視したわけではないよ。でも、自己紹介大事だろう?」


「もう、しょうがないわね〜。いきなりでビックリしたでしょう?ごめんね、琴音ちゃん。今この子が言った通り、この子が息子の彰人よ。で、紹介しなくても分かるだろうけど……こほん、こちらが草薙 琴音ちゃん。私の大事な仕事仲間よ。」


「は、初めまして!草薙 琴音です。」


私の言葉に彰人さんは困ったような表情を浮かべて『始めてまして……か』とつぶやいている。

え?始めてましてだよね?

こんなグリーン的なイケメン1度会ったら忘れんよ。


「ほら、彰人。せっかくなんだからきちんと琴音ちゃんを楽しませてあげてね。じゃあ、私は帰るから。ちゃんと家まで送るのよ〜〜。」


「え!柴田さん帰るんですか?」


「あら、言ってなかったかしら?ごめんね〜、おばちゃん忘れっぽくて〜。じゃあよろしくね〜。」


そう言うと柴田さんはあっという間にいなくなってしまった。

…………えーっと、ど、どうすればイイの?

レッドだけではなく、グリーン的なイケメンの隣を歩かなければいけない日が来るとは想像もしていなかった。

私はちらっとグリーン……じゃなかった、彰人さんを見てみた。

するとちょうど彰人さんもこちらを見ていた。


「「あ、あの」」


お約束のアレだ。

言葉がカブった。

2人でタイミングを見計らっている。

30秒ほど経った時、彰人さんが話し出してくれた。


「あの、琴音さん。っていうか琴音さんと呼んでもいいですか?」


「あ、はい、大丈夫ですよ。」


「ああ、良かった。僕のことは彰人って呼んで下さい。柴田だと母もいますから。」


なるほど、確かに柴田さんだとわけがわからなくなるね。


「じゃあ、お店に行きますか?今日行くお店は本当に山菜料理が美味しいんですよ。」


おお〜!山菜料理!!

いざ出陣じゃあ〜〜。



結果から言うと料理は絶品だった。

食べるものみな美味しかった。

そして相容れないと思っていた彰人さんだったが好きなゲームが一緒ということが判明し盛り上がった。

しかし、見合いもどきとしてはいかがなもんなんだろう?

前例がないから比べようがないんだけど。


「今日はありがとうございました。ご馳走になってしまって。」


「いえいえ、とんでもない。こちらこそ付き合ってもらえてありがとうですよ。」


そう言う彰人さんはキラッキラの笑顔だった。

くっ、イケメン、眩しいよ!


「あの、琴音さん。もし良かったらまた会ってくれませんか?今日お話ししてみてとても面白かったので。」


面白かったって……。

私はイロモノか?

まあ、私もゲームの話しが出来る人が出来て嬉しいけどさ。


「えーっと、私で良ければ良いですよ。」


私の返事に彰人さんはガッツポーズをしている。

何だよ〜、そんなにゲーム好きなのか?


その場で連絡先を交換した私達は、近くまた会う約束をした。




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