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水流の操作

■水流の操作


 続けて、人の持つ衝動の一つである慈愛の衝動、すなわち『水』属性の基本について本章で学びましょう。


 最終的には宙から強大な水流を喚び出すことが水属性習得の目標となりますが、まずは、器に入った水を操作することが最初のステップになります。


 小さな器を準備してください。それを、水で満たします。


 それから、魔力で水を操作します。まずは、物体の移動と同じやり方で水を揺らして見ましょう。これはたぶん簡単にできると思います。


 つづけて、水属性魔力による水面の操作に挑戦してみましょう。


 このためには、魔力にあなたの慈愛衝動を乗せる必要があります。魔力を呼び出すイメージに、慈しみのイメージを重ね合わせましょう。もし上手くイメージができないのであれば、本などで恋愛や看護のイメージを学ぶといいかもしれません。


 そうやって生み出した魔力を水に当てると、水面の中央が盛り上がるかくぼむかするはずです。本来ニュートラルな慈愛衝動というものがあり、それに対してより優しいイメージを作れた人は盛り上がり、控えめなイメージを持った人は中央がくぼみます。イメージがニュートラルからどのくらいずれているか、中央の上下を見ながら何度も確かめてみましょう。最終的に魔力を当てても水が揺れず、盛り上がりもないイメージが作れたら、それがニュートラルの慈愛イメージです。そのイメージを忘れないように心に刻みましょう。


 ここまですべてができたら、水流の操作は完了です。


 それでは学習メモにお進みください。


●学習メモ(水属性の理解、世界を満たすことへの憧憬)


 慈しみのイメージ。


 そう言われて真っ先に思い出すのは、もちろん彼女のこと。


 いつか彼女を癒す魔法を身につけて、それから。


 そんなことを考えても、洗面器に張った水は、ピクリとも動かなかった。

 もちろん、基本の魔力による『物体の移動』を使えば波立てることはできるけれど、それはたださざめきとなって消えていく。たぶん、そんなことじゃない。


 ただ癒したいと思うこととは違うのかな。


 ――その結果、結局僕は、どうなりたいんだろう。


 病気が治った彼女はきっと僕を尊敬の目で見つめてくれて。

 僕を受け入れたいと申し出てくれるかもしれないんだ。


 ……だから、だめなのかな。

 だったら、僕が彼女を受け入れる、ってのは、どうだろう。

 たとえ病気でも彼女の心を満たす。


 水面がほのかに上下したように見えた。


 そうか、受け入れさせるってことじゃなくて、満たしてあげる、か。

 僕はこの魔力で癒したり壊したりばかりじゃなく……そう、きっと、何もかもを満たすことができるはずなんだ。


 彼女を? 親友を? 他の友達も? この街を?


 僕のすべてでそれを満たして、それで僕を満たす。

 とてもとても大きなものが胸にしみこんできて、満たしていく感覚。


 僕自身がそれを満たす感覚。


 この国を? この世界を?


 世界のすべてを受け入れ満たす。


 その考えにたどり着いたとき、水面は大きく盛り上がり、世界中の光を反射していた。


 そのときの僕はとてつもなく大きな存在で、なのに、すべてを受け入れたとても薄くか細い存在で。


 光が僕を通り抜け、七つの色に分かれて世界を染める。


 これが、世界だ。


 慈しみ? そんなんじゃない。ただそうあるべきものをそうあらしめている、それを優しく見守ること。

 それを慈しみと名づけるなら、別に否定はしないけど。


 僕は、世界を満たせる。

 


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