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「生きる意味」PARTⅡ  作者: jfk3363
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「犬死」

jfk3363が、生きる意味について書いた待望の新作

「まえがき」

よくテレビのワイドショーで取り上げる凶悪事件の被害者の事を考えると、この人は、何の為に産まれてきたのだろうかと思うことが時々ある。

これもそんな話の一つです。

第一話「犬死」

この坂道を登りきると高校に着く、また例の三人組に、いじめられて金をせびられる。

三年間ずーっとだ。

坂道を登りながら体調が悪くなる。

「これも、あと1日の辛抱だ!」

「卒業してしまえば、彼らと会うことももうないだろう。」

心の中でそう呟いた。

彼の人生これからは、希望に満ちた未来が待っているはずだった。

彼の、この高校での三年間は、夢、希望、目標なんて考える事は、まったく無かった。

「自分は、子供の頃はいったい何になりたかったのか?」

思い出せない。

小柄で、気は弱く内気、よくいるいじめられるタイプ。

ここでの、三年間の事は、親には話していない。

誰でも、此の頃の子は、親には話はしない、それは親に心配を懸けたくないと云うより、自分がみじめな、情けない人間と思われたくないからだ。

しかし、この頃は少しづつ当時の夢を思い出しつつあった。

そういえばノートにマンガを夢中になって描いていた気がする。

それでからか、なんとなく絵の専門学校選んでいた。

この頃は、将来の事や夢、目標の事など考えると、勇気や、希望が湧いてきて前向きになれるようになったような気がする。

校門を入ると、校舎の入口には、例の三人組が笑いながら待っている。

彼も、無理に笑い顔をつくり通り過ぎようとするが、彼らも最後の狩りをしようと獲物を待っていた。

彼から獲れるものすべてを獲ってやろうと。

一人が、彼の肩を叩きながら云う。

「今日六時に、ゲームセンターで、あれも忘れるなよ。」

彼は、まとまった金を要求されていた。

まだ高校生の彼には、用意できる額ではなく、彼のため両親が学費として貯めている定期を持ち出し彼らに渡すつもりだ。

家族に被害が及ばないよう、渡せるものは、すべて与えるつもりになっていた。

「なんとかしなきゃ。」

キャッシュカードと自分に用意できる現金のすべてを持ってゲームセンターへ向かった。

彼らはもう先に来ていてゲームに熱中していて、彼を見つけると。

「よう、持ってきたか。」と、すぐにきいた。

「これ」と現金三万円とキャッシュカードを渡すと。

「これは、何だ!」と一人が云った。

「キャッシュカードだ」と云うと。

オモイッキリ腹に蹴りを入れられて、

「こんなもの貰ってもしょうがねえんだよ!」

「うっ」と腹を抱えて息もできない。

「この役立たずが!」と、今度は、顔面をオモイッキリ踏みつけられた。

「ガクッ!」

ほほから、顎のあたりが砕けるような音がした。

「とりあえず、金を下ろしに行こう」と一人が云うと、

彼を、無理やり起こして、銀行のATMへ彼の顔はあっという間に腫れていて、右目は、紫色になって目は閉じた状態。人間の顔がここまで変形するかと云うほどに、まるで芋虫のように腫れ上がって目、鼻、口の区別がつかない。

なるべく人目の付かないようにそこまで行って、金を下ろさせてから、近くの雑木林まで連れて行き更にリンチを加えた。

「おい、こいつ死んでるんじゃない」

「やべえな!」

「埋めろ!

若い人に限らず暴力は、限度を超えることがよくある。

興奮している彼らには罪悪感などは無く、素早く穴を掘り埋めて、

そのままゲームセンターへ戻ったが、朝まで会話は無く一人づつ家へ帰って行った。

家へ帰るとひとりひとり「なんでこんなこ事になってしまったんだ。」と後悔、罪悪感、恐怖感に襲われていた。

数日後、彼の家族から捜索願い出て、防犯カメラの映像から彼らの事がわかり、捕まるまでそう時間はかからなかった。

彼らも内心動揺はしていたものの本音は、「どうせ俺たちは、未成年さ」彼らの合言葉だ。

ネットの普及する前若者と違ってこの頃の若者は、やたら少年法に詳しい。

「今のうちだ!」

まったくそのとうりに、彼らは刑事事件としては扱われず少年法によって裁かれ、数年後、名前も変えて別人となり、新たな人生を歩むことになる。

被害者の家族は、母親は、その後精神を病み事件から二年後自殺。

父親は持病の心臓病が悪化し、母親の死後一年余りで亡くなった。

少年たちは、裁判官に、「彼の分まで長生きをして幸せな人生を送ります」と云ったという。

彼と両親の墓は、あれから三年経ち、誰一人訪れる者もなく、お盆の中一カ所だけ忘れ去られたように汚れたまま一輪の花もなく、線香一本もなく、たった三年で無縁仏のように放置されたまま。

少年達のその後は、家庭を持ち子供にも恵まれ、彼らの云うとおり幸せな人生を過ごしているという。

それにしても、彼の人生は、いったい何だったのだろう。

よく人は何かやるべき使命を持って生まれてくると云う。

「犬死」にしかたみえない彼の人生は、いったいどういう使命を背負ってこの世に生をうけたのだろう。



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