悪臭の包囲網Ⅰ
お婆さんはお爺さんを担いで、若い介護士とともに三階への階段を昇りました。
三階にたどり着くと、そこはいかにも介護施設という風景が広がっています。
それぞれの入所者の部屋は清潔に掃除され、塵一つありません。
三階中央にある談話室は机も椅子もピカピカです。
が
「皆さん、ここからは注意してください」
若い介護士は防毒マスクをどこからか取り出して装着しました。
「若いの、何故それをつけた?」
「今に分かります」
若い介護士は誰もいないこと以外は至って普通に見える施設内を歩き、十七畳の和室にお婆さん(とボコられて気絶しているお爺さん)を案内します。
和室に佇んでいたのは白髪まじりの長髪を持つふっくらとしたお婆さんでした。なぜか作務衣を着ています。
「あらあら、お客様ですか?」
彼女は穏やかな声で若い介護士と二人の珍客に問いかけます。見かけだけなら上品なお婆さんです。
「はい。お二方、この人が三階を死守するボスババアです。戦闘会場はこの部屋のみで、原則として一対一。この部屋から出た場合は失格となります。バトル制限として換気その他空気の入れ替えは一切不可。よろしいですか?」
「うむ。しかし、ちいと作戦タイムの時間をくれぬか」
お婆さんは気絶しているお爺さんを担いで、部屋の外に出ました。再び金属バットでどついて、お爺さんを起こします。そして、お爺さんの耳元で何やらごにょごにょと密談をしました。
お婆さんの話を聞き終わったお爺さんは
「よかろうて」
と頷きます。餌付け成功。
「若い介護士よ、作戦タイム終了じゃ。いざ尋常に勝負と行こうぞ」
二人が室内に戻ると、若い介護士は
「で、どちらがバトルに参加されますか?」
と尋ねます。お婆さんは返事をせずにお爺さんをボスババアの前に蹴り飛ばしました。
「うちのジジイが勝負する。なに、一家の主人兼人柱じゃ。立派に戦ってくれよう」
大事なことなので二回言いますが、大黒柱ではなく人柱です。あんまりです。世の中の男性はもっと怒っていいぞ!
「では、三階のバトル開始! お婆さんは室外へ」
若い介護士の指示に従い、お婆さんは退室しました。
こうして、三階の戦いの火ぶたが切られます。
お爺さんは懐から大根を取り出して、構えました。対して、作務衣を着たお婆さんは丸腰です。どちらが悪者か分かったものではありません。
「ロリの貧乳を揉みしだくために、ババア! 貴様に天誅を加えてくれるわ!」
というものすごく身勝手かつ最低な台詞を吐いて、お爺さんは考えなしに突撃を開始しました。しかし、お爺さんはこの数秒後に地獄を見るハメになるのでした。
こんばんは、星見です。
これが掲載されている頃には多分私は寝ていると思われます。そして、今週末は旅行に行ってきます! 四年ぶりです。おのれ会社め。俺様を旅行から遠ざけるとは……万死に値するぞ! 刎頸に値するぞ! と言いたいところですが言えません。ヘタレですね。
さて、第三戦目。元ネタはバ〇コンガ(の亜種)。もうプレイしてて終始笑ってました。ガンランサーですから(たまにヘビィボウガン)。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……