新メンバー
「ここが、ウワサのギルド…【リトル・ウイング】かぁ」
普通の店にしては大きすぎる門を前に呟く少年がいた。その少年は何となく興奮している様子なのだが隣にいる男は苦笑いをしていた
「おいおい、今からそんな風だと中に入ったらどうするんだよ?」
「あ、すいません」
少年は恥ずかしそうに頬を染めながら頭を掻く。男は少年のその行動をまた苦笑いする形で見ていた
「さ、入るぞ」
「はい!」
男が施し少年が元気良く返事をしたのを見て、男は満足そうに頷くと扉に手をかけるが
「むっ!?」
突如として男が何かを察したのか難しい顔をすると同時に急いでその場から離れてしまった
「どうしたんですか?」
少年は分からず、首を傾げながら質問をしたのだが
「早く、そこからどくんだ!!」
「へ?…ぐっはーーーーー!?」
男が大きな声で警告をしたが、時既に遅く勢いよすぎるぐらいに門が開かれ少年は哀れ思いっきり扉に吹き飛ばされてしまった
「大丈夫かーーー!?」
男が慌てて吹き飛ばされた少年の元へと向かうと顔面を強かに打ちつけたのか鼻血が出ていた
「ふぁ、ふぁんひょか…」
上手く言葉にできていなかったが、翻訳が出来たのか男はホッと胸をなでおろした
「い、いったい、にゃにが…」
舌でもかんだのか未だに上手く呂律が回っていない少年を心配しつつも男は少年と共に門のほうを見てみるとそこにはガタイがいい男二人が取っ組み合いをしていた
「てめえ、コノヤロウ!もう一変言って見やがれ!!」
「何度でも言ってやるよ!お前のかあちゃん、でべそ!!」
「「・・・」」
胸倉をお互い掴みつつガンのたれあいをしているのに言っていることはそこいらの子供すら既に言わないくらいの低い言葉であった
「はぁ…またか」
そんな後継に唖然としていた少年だったが、隣から溜め息を吐きながらも聞き捨てならない言葉が少年の耳に入った
「あの…またって?」
「ああ、あいつらは何でか知らんが相性が悪いらしくてな、しょっちゅう喧嘩しているんだが…最近の喧嘩はあんな下らない言葉ですらやりだす次第だ」
少年はそれを聞いて絶句してしまった。このリトル・ウイングというギルドは他者からは憧れの目で見られるくらい優秀でカッコイイギルドなのに、蓋(門)を開いてみたらなんということだろうか
「あ、アハハ…」
流石の少年も、どう反応していいのか分からず曖昧に笑うしか無かったようだ
「しょうがねえな…」
男がそんなことを呟くと立ち上がり喧嘩をしている二人のところへと歩いていった
「やめねえか、馬鹿野郎!!!」
「「「っ!!!」」」
男の一喝で喧嘩していた二人はもちろん、少年すら縮み上がってしまう怒気のこもった言葉であった
「あ、兄さんお帰りなさい!」
「旅はどうやったんですか?」
すると、怒鳴られた二人があら不思議と言った感じに急に男にへこへこしだした
「んなことよも、今日は新メンバーが入るって言っていたのに早速やらかしやがって!!」
「「すいませんでした!!」」
「謝ってすむなら、治安は悪くならねえんだよ、馬鹿野郎が!!!」
ドスのこもった声に二人はおろか少年まで震え上がった
ちなみに男の特徴は頬に大きな傷を持ち、黒いサングラスに黒いスーツといったいわゆる(キ▼ー▼)←こんな感じなのである
少年は最初この男がほんまもんと思っていたのだが話を聞いてみたら憧れていたギルドのメンバーだと言う
されど、流石に見た目も相まって騙されて売られるのでは?と警戒していたのだが、ギルドカードを見せてもらったら本物であった
そして、話しているうちにその道の人じゃないと分かり、かつ気さくな人だということでギルドに入りたいと相談してみたところなんと話を通して貰い、今回遂にギルド入りが決定したのであった
しかし…少年が持っていた気さくで見た目とは違うと思っていた人はやはりその道の人だったのでは?と現在目のまで起きていることを目の辺りに疑いだしてしまったのであった
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「すまないな、あの馬鹿共が」
「い、いいいいいいえいえいえいえいえいえいえいえ。だ、大丈夫です!!!」
「本当か?そんなにどもっているが」
貴方が怖いんですとは口が裂けてもいえない少年はとりあえず誤魔化しギルドの中へと入っていくと
『若おかえりなさい!!』
ギルドの大半の者達が入り口に立ち、目の前の男に対して頭を下げていた
「やめろテメエ等!!初日からそれをやっていると、本当にこの子が持たないぞ!!悪ノリも体外にしとけや!!」
そんな一言から笑いが漏れ出した
少年はというと、目の前の光景(ヤクザの帰り風景)を目の辺りにした瞬間から固まってしまっていた
「とりあえず、今のは冗談だからあまり気にするなよ?」
「は、はいぃぃぃぃぃっ!!」
哀れ、信じられない様子を目の辺りにした男はそのままトボトボと奥へと進んでいった
「まっ、あの見た目じゃ仕方ないわな」
まるで最初から黒いスーツなど着てなかったみたく、一人の男が話しかけてきた
「ええっと…」
「まぁ、気にすんなって。あいつってあの見た目の割りに面倒見がいいだろ?んで、結構新人つれてくるんだが、まぁ根性がないやつが多くてな。そんで、あいつが連れてくる奴の場合に限ってこんなおふざけをやってるだけさ」
「はぁ…」
少年は何かふに落ちなかったが、深くは突っ込まずそのまま奥へと案内された
案内された場所に着くと、そこには眼鏡をかけた一人の知的に見える男性がいた
「君が今回のギルドの加入希望者ですね?」
「は、はい!よろしくお願いします!」
眼鏡をかけた男のなんとも言えないような威圧感を前に若干引きながらも元気に挨拶した少年を男は頷きながら再び口を開いた
「私はこのギルドのマスターです」
「はい!」
「私から言うことはタダ一つ…」
何を言われるのだろうとドキドキしている少年だったが
「私の話はきちんと聞いてくださいね?」
「へ?」
「それでは」
何か拍子抜けしそうなことを言われたのだが、唖然としている間にギルドマスターはそのまま更に置くの部屋へと入っていってしまった
「簡単に言えば、ある程度やらかしてもウチのギルドマスターは守ってくれるんだが、注意を受けてなおやりすぎると怒るから気をつけろってことだ」
ヤクザ男の説明に曖昧に返事をした少年だった
そして、男に再びメインのホールに連れて行かれるとそこには現在このギルドにいるメンバーが集まっていた
『ようこそ、ギルド【リトル・ウイング】へ!』
こうして、ギルド【リトル・ウイング】に一人のメンバーが追加されたのであった
ちなみに、この小説は主人公はいません
初めに出たこの少年が主人公って訳ではなくあくまで出ただけ
今後はギルドにいる人たち一人ひとりにスポットを当てて話を作る予定です