天秤座、楽しくねーよぉ…
いつも通り、俺だ。
誰が何と言おうと俺だ。
俺、獅子座。
因みにこれはさっき思いついた。
え、どういう意味か解らない?
……ヒント、回文。
いや、もうこれ答えだな。
「ちょいちょい、獅子座君、一人で唸ってどったの?」
「……何でもない」
レイウス・ケイル。
実を言うと、俺はコイツの事が苦手、とまではいかないにしろ、得意じゃない。
何か……得意じゃない。
「つーか、何て所で待ってんだよ」
今俺達が居るのはだだっ広い草原。
東京ドーム数個分のだだっ広い……ん?東京ドームのくだり?はて、何の事だか。二話前?俺にはさっぱりだな。
とりあえず、鬱陶しい位広い草原。
「いやぁ、俺、家とか無いんだわ」
「はぁ!?マジで!?」
「マジもマジ、超マジ」
「お前家ねーの!?何で!?」
「んー……何となく」
はー……コイツ、俺より適当だろ。
流石に俺でも家くらいあるぞ。
……俺"でも"ってどういう事だ!?
「お前、生活とかどーしてんの…?」
「そりゃ、銭湯とか行ったり、たまに泊めてもらったり……」
……今思えば、何で俺の手紙届いたんだ?
住所不特定者に何故手紙が届いたんだ!?
最近の郵便業者はすげぇな。
「獅子座君、先に言っとくけど最近変わった事なんかないからね?」
「話を種から奪っていきやがった!」
話に花を咲かせる前に、種の時点で奪うとは…。
コイツといい、シルゴートといい、何なんだよボケ。
あー、腹立つ。
なんかさ、もう……帰って良い?
「何でねぇんだよ…!!」
「え、何でって言われても……あっ、俺の放浪記聞きたい?」
「超興味無い」
「だしょ?」
『だしょ』って何?
え、言い間違え?噛んだだけ?『でしょ』を噛んだだけなの?
それとも俺の知らない所で、新たな言葉が生まれてんの?若者言葉って奴っか?
俺の方がこのおっさんより若いんだけど!?
と、一人で不安になっていると、この中年はこんな事を言い出した。
「そういう獅子座君は何もないの?」
……何このクソ親父。
あ、すいません、さっきから口悪いですね。
ふぅ……何なのこの、えーと……おじさん。
それはジャクラの時に訊かれたっての。何回訊くんだよ。
とは言っても、その事をレイウスは知らないのだが。
「最近はカインの修行で忙しい」
ジャクラの時と同じ受け答え。
おいおい、読者様が飽きちゃうって。
ここで、俺は思い出したかのようにその場に胡坐をかいて座る。
今まで立って話をしていたのだ。
俺につられてレイウスも座る。
「へぇ、カインと言えば第三の手から鬼傀を破壊する―――――」
「違うわーーーッ!!!何でお前等は『カイン』という単語でそれしか思い浮かばないんだよッ!!」
「ごめんごめん、このネタもう使われてた?結構知名度低いと思ったんだけど……」
「ああ、ジャクラが知ってた」
「……あの城の書物庫にはマンガもあんのね」
それも俺が言ったって…。
正確には俺は『書庫』って言ったんだっけ?
いや、どうでも良いって。
「まぁ冗談は置いといて」
「冗談で言ってたのかよ」
コイツの顔面思いっきり殴り飛ばしたい…。
あ、試しにやってみるか。
「カインって言うと―――――ぶほぉっ!!」
たーまやー、かーぎやー。
あー、スッキリした。
それにしてもスゲェ吹っ飛んだな。
「何すんの!?」
「いや、あんまりストレス溜めるのは体に悪いと思って」
「人でストレス発散するなよ!」
最後に「そんなキャラじゃ、読者に引かれて人気落ちちゃうぜ?全く」と付け加えた。
余計なお世話だっての。
……嘘です、ごめんなさい、人気落ちるのは勘弁願いたいです。
「俺は別に良いんだけどね。で、話を戻しけど、カインって言うと、あの片目の青年だよな?」
「正確には片目隠してるだけだが……その通りだ」
「『炎の子』ねぇ…。力を制御できるようにしてやってんの?」
「そうしてやりたいのは山々なんだが、残念ながら俺にはそんな知識が無くてね」
「成る程。ならあの蟹座の爺さんに訊いたらどうだい?」
「確かにアイツなら知ってそうだな」
奴は歩く広辞苑みたいな奴だからな。
訊いたら大抵の事は100点満点どころか、120点の答えが返ってくる。
そういえばかなり今更だが、レイウスは13星座のメンバーの事をあまり本名で呼ばず、称号で呼んでいる。
本名を呼ぶとしても、ジェット(蠍座)くらいだ。
「じゃあ次はクラビスの爺さんの所だな」
「え、もう行くの?」
「だって話す事他にねーだろ?」
「いや、俺の放浪記を語ってあげるって」
「いらん」
「ざっと30分位だけど」
「短っ!」
アニメレベルの長さかよ。
ペラッペラだな。
「おいおい、亀の甲より年の功って言ってな?年上の話は聞くべきなんだよ」
「クラビスはお前の二倍以上生きてるから」
「あーらら、あれには勝てねーや」
「だろうな。そういう意味では俺にも勝てねーよ。さて、俺はもう行くわ。精々その辺で野たれ死なないように気を付けろよ」
「りょーかい。んじゃ、バイビー」
俺は『イ』の時点ではもう光化して移動していた。
んー……アイツ、何かキャラが掴めない。
そういう奴も、作者に嫌われるから出番少なくなんだよなぁ。
さて、クラビス・オールメス。
13星座の中で最も老齢で、最も博識な魔術師。
彼に会うには、少し心を落ち着かせないといけない。
何故なら、アイツに隙を見せると、考えや思いを読まれてしまうから。
なーんて、危険な人物っぽい煽りを入れたが、本当は普通の爺さんなんだけども。
~大地を照らす13星座の名前解説~
今回は順番通りでジャクラさん。
ジャクラは『jug(瓶)』から来ています。
ちょっと捩られてますけど。
それでソウルダー、というのは『soul(魂)』から来ています。
名前は言いませんが、名前を考えた当初、魂が主題のアニメにハマっていたのです。
だからソウルが入ったのです。
英語で書くと
Jacra.Soulder