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水瓶座、頼むから話を聞いてくれ

 例の如く獅子座レオのロアールだ。

 今、大きな城の前まで来てるんだが……ここからどうするべきかな。

 とりあえずここはエルバムに続く第二の都市、レンカル。

 あ、この情報は覚えなくても今後の展開に支障はないぞ。

 

「どこから入るか……」

 

 って、そう言えばこんな事考えなくて良いんじゃん。

 いつもは突然来るけど、今日はちゃんと手紙で行くって言ってあるし。

 アポ取ってるし。

 兵には話を通してくれているだろう。

 

「えっとさ、俺、ロアールなんだけど……姫様から話聞いてない?」

 

 とりあえず門番らしき奴に話しかける。

 門の両側に一人ずつ計二人。

 俺から見て左の奴に話しかけた。

 そしたら右の奴も寄って来て何かこそこそ話してる。

 因みに俺はここに何度も来ているから、向こうは俺の顔くらい知ってる筈だ。

 

「申し訳ありませんが……私たちは何も伺っておりません」

「え、マジで」

 

 前言撤回だ。

 アポ取ってるとか調子乗った事言ってたわ。

 少し彼女、ジャクラについて語っておこう。

 

 大地を照らす13星座シャイニングゾディアック水瓶座アクエリアス

 突然だが彼女は姫君である。

 何の比喩でもなく、本当に姫君。

 秘め気味な姫君……あ、こんなダジャレはいらない?

 話を戻そう。

 

 彼女は自分の権力を十二分に利用して私腹を肥やしている。

 なんて事はせず、人当たりが良く、街の人々にとても愛されている。

 いや、街の人々以外にも愛されている。

 

 しかし、しかしだよ、彼女にも欠点の一つや二つある。

 まず一つは戦う時のアイツは怖い。

 性格が変わる、なんてものじゃない。

 人格が変わる。

 ちょっとした多重人格だ。

 これは欠点と言うべきなのか少し迷う…。

 とまぁ、そんな事を知っているのは13星座だけなのだが。

 

 そして二つ目は人の話を軽く聞き流してしまう事。

 恐らく手紙も返事を書いたは良いが、門番、あるいは誰にも伝えてなかったのだろう。

 多分、内容も適当に読んだだけ。

 彼女は俺以上に適当だ。

 というよりは面倒ぐさがりなだけなのかもしれない。

 

「で、話を戻して……どうすっかなぁ」

 

 とは言いつつちゃんと考えている。

 今からアポ取っても、会えるのはどうせ明日以降になってしまう。

 だからコレをするしかないだろう。

 

 

 

 

 ―――――侵入

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よいしょっと」

 

 問題です、ここはどこでしょう。

 正解は城内、もっと言うとジャクラの部屋でした。

 考える時間なんてやらねぇぜ!

 

 あと、前言ったように部屋の詳しい説明は無しだからな。

 あれ、前は説明自体しないって言ったんだっけ?

 まぁ良いや。

 ジャクラの部屋はこう……RPGの王女の部屋をイメージしてくれ。

 解り難いか?

 あれだよ、でっかいカーテンみたいなのが付いてるベッドがある感じ。そしてメチャ広い。

 

 軽く卓球は出来るぞ。

 む、卓球じゃ広さは伝えにくいな。

 なら野球は……流石に出来ないか。

 東京ドーム20分の1個分位。

 この例えってさ、東京に住んでる人じゃねぇと解り辛くねぇ?

 下手したら東京に住んでる人でも解り辛いだろうよ。

 え?この世界には東京なんてねーだろって?

 ……気にしないでくれ。

 因みに20分の1個分っていうのはかなり適当だ。

 

「誰かおられるのですか?」

 

 ……今の台詞は俺じゃねぇからな?

 大体俺があんな丁寧な言葉使う事なんてそうそうねぇぞ。

 てか声が明らかに女だったろ?

 いや、文じゃ声は解らないか。

 

 今更だけど、気付かれちまったな。

 逆に部屋にいたのに俺が気付かなかったわ。

 更に今更だが俺は今、クローゼットの陰に隠れている。

 中に隠れるという考えもあったが、それは人としてダメだ。

 

「おられるのなら出て来ていただけませんか?」

 

 やはり…この声はジャクラだ。

 ジャクラ・ソウルダー。

 長い金髪を後ろで丸く括っており、整った顔立ち、飾らずとも美しい純白のドレス。

 そして最大の特徴、それは男子も女子も(意味は変わってくるが)憧れる胸。

 

 以前、レイウス(天秤座リブラのおっさん)が「胸触らせて」と軽いジョークを言ったら殺されかけた。

 以来レイウスはジャクラに対するセクハラ行為を控えている。

 というより女性全般に対してのセクハラ行為を控えている。

 

「仕方ありません……警備を呼びに行かないと」

 

 なんて説明をしてたらジャクラが外に行こうと―――!!

 それはマズイ!

 色んな意味でマズイ!

 ……ごめん、ノリで言ったけど一つしか意味は無い。

 

「待ってくれ!俺だ!ロアールだ!!」

「あら、獅子座ではありませんか。何故此処に?」

「やっぱちゃんと手紙読んでなかったか…」

 

 警備なんて呼ばれたら俺どうなんだよ。

 下手したら討ち首だぞ。

 だからマズイ、と俺はさっき言ったという訳だ。

 言ったというより、思ったって方が正しい。

 

「それにしても不法侵入とは……やはり警備を―――――」

「それは違う!いや違くは無いんだが……ってか元々お前のせいだからな!?」

 

 お前がちゃんと門番達に伝えないから!

 チクショウ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず俺はジャクラにしっかり状況やその他諸々を説明した。

 後二人ともちゃんと椅子に座ってるぞ。

 立ち話なんて5分が限界だ。

 …にしてもやっぱこの部屋落ち着かねぇなぁ。

 広過ぎる。

 

「成る程……要するに警備を呼んで来ればいいんですね?」

「お前は俺の話の何を聞いてたんだ!?お前のせいで俺はわざわざ侵入したの!!解る!?」

「人に責任を押し付けるのは良くないと思います」

「責任を押し付けてるわけじゃない!お前の責任なんだよ!!」

 

 本当に人の話を聞かない奴だな。

 これはわざとなのか、という質問にはこう答えるしかない。

 わざとではない、と。

 実を言うとコイツはかなり天然だ。

 類稀なる天然だ。

 天然記念物だ。

 

「それにしても既に2000文字が来ているにも拘わらず、ようやく私との会話シーンとは……私なんてどうでも良かったのでしょうか」

「そ、そんな事は無い。ただ俺が侵入するのに時間が掛かって……ってそれも元を辿ればお前のせいじゃねぇか!!」

 

 2000文字っつったら、大体一話分だ。

 けどまぁ2000文字以上書いてはダメ、というルールは無い為、気長に行こう。

 

「本当に私だけのせいでしょうか」

「……どういうことだ?」

「作者がおよそ3000字辺りまで書いたのに消えてしまったデータのせいでは?」

「作者がメッチャ落ち込んでたが、この件に関しては何の関係も無い!!」

「あまり大声を出しては私が呼ばずとも警備が来てしまいますよ?」

 

 くっ、コイツ……無意識に脅してきやがった。

 別に警備をぶっ飛ばす事なんて実質可能だが、そうしたら俺はどうなる?

 その時点で罪人決定、さらに城に不法侵入=重罪人……最悪じゃねぇか。

 いや、待てよ、コイツの無罪を証明してもらえば……それは無理か。

 コイツの場合、無意識のうちに俺の罪を重くしていきそうだ。

 本人に自覚も悪気も無いだろうが。

 

「ま、まぁ、この話は終わりだ。そういや最近変わった事とかは無いか?」

「いえ、私は特に……獅子座はどうなのですか?」

「俺?俺は最近カインの修行で忙しいな」

「カイン?ああ、あの第三の手から鬼傀を破壊する破傀掌を放つ実験体『零號』の事ですか?」

「違ぇよ!難易度の高いボケかますな!そのネタ一体どれだけの奴が知ってんだよ!!」

 

 100人に1人知っていれば良い位の割合だろ、それ…。

 そう言えばさっきから三点リーダを多用し過ぎている気がする。

 てせもこれ、案外使い勝手が良いんだよ。

 

「あの作品は面白いですよね。最終回のメイ〇ァって絶対に気付いてますよね」

「面白いけども!気付いてただろうけど!下手すりゃ読者の誰一人として解んねぇからやめろ!!」

「私はティ〇ンが好きです」

「人の話を聞け!!そしてちょっと黙ってくれーーーッ!!!」

 

 いい加減怒られそうだ。

 そして結局大声出しまくってるな、俺。

 

「てかよく知ってたな。書庫にマンガ置いてあんのか?」

「はい、大抵のマンガなら全てありますよ」

「ヤベェ、スゲェ行きてぇよ」

「私は一応全て読破しています」

 

 そう言って上品に微笑むジャクラ。

 あぁ…この微笑みに街の人々は騙されているんだろうなぁ。

 裏に真っ白い純真無垢な悪魔が潜んでいる事も知らずに。

 

「今度いらした時はご案内しますね」

「よし、来週来る」

 

 来週の日曜日。

 休みの日。

 でも来週の日曜日に来ても、また門番に伝わってないんだろうな。

 

「それはともかくとして……」

「え、逸らすの!?聞き流すじゃなく話を逸らすの!?」

「そろそろ私は用事があるのですが」

「ここで聞き流すなよ!!…って、お前用事あんの?」

「はい」

 

 皆忙しいんだな。

 今のところ俺以外全員。

 俺が暇な時に限って皆忙しいって何なの?

 あ、もしかして皆常に忙しいのか?

 俺だけ暇な時があるのか?

 

「私は失礼しますが……ここに居て頂いても構いませんよ?」

「いや、一人で他人の部屋に居ても何もする事ないから行くわ」

 

 そういや、俺も今日忙しいんじゃん。

 今何時だ?

 ……1:38 pm

 このペースで行ったら全員回れなくね?

 

「では、お気を付けて」

「ん、ああ」

 

 俺は適当に挨拶するととりあえず窓から飛び降りる。

 高さ的には10m以上あったが、こんな事で足を怪我したりはしない。

 ここで怪我したら戦ったりできねぇもん…。

 

「さーて、次は……」

 

 そう言えばさっきシルゴートを後回しにしたんだっけ。

 なら行く所は決まった。

 

 

 

 

 

 そして一瞬で着いた。

 うーん、『光化』良いねぇ。

~大地を照らす13星座の名前解説~

今回はメイディンです!


メイディンというのは『Maiden(乙女)』という単語から来ています。

ロウルは『Row(列)』という単語から来ています。

何故"列"なのかと言うと、彼女の前にひれ伏している人の列ができている、という絵が想像できたからです。


英語で書くと

Maidin.Rowl

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