出会い
お父さん…お母さん…お兄ちゃん…。
何で…何でなの?
なんで私を置いて行くの?
一人にしないで…淋しいよ。
一か月前、お父さんとお母さんとお兄ちゃんは交通事故で亡くなった。
私を一人置いて…。
私は淋しい気持ちを抑えながら、池のそばに座っていた。
お母さんの形見の簪を持って。
…いつまでもここに居たって仕方がない。
帰ろう。
空を見ると、もう日は西に傾いていた。
冬だから日が沈むのが早い。
簪をしまって…。
「あっ!」
―――――ポチャン
叫んだときにはもう遅かった。
お母さんの簪は水音を立てて、池に落ちた。
やだ…。
「お母さん!」
私はすぐに池に飛び込んで探す。
でも池は深くて、私の足は届かない。
どこ?
どここにあるの?
諦められない!
私は池の中に潜った。
!
あった!あれだ!
私はそれを拾って、水面に顔を出した。
「良かった!簪だ!」
私は安堵のため息をついた。
だが…
―――――ピキーン
「ガバゴボっ」
足つった!
どうしよう泳げない!
でも…このまま溺れれば私は死ぬ…三人に会える…。
なら…いいや…。
私の意識はそのまま遠のいていった。
「…ぉい…しろ!…おい!」
誰…?
「しっかりしろ!起きろ!」
―――――ガバッ
私は跳ね起きた。
「やっと目が覚めたか…」
私はまだ状況が分からない。
「ここ…天国?」
「はあ?何を言っている…そんなわけないだろう。せっかく助けてやったのに…」
助けて…くれた?