第八章
悠呂は、朝食を終えると自分の部屋に戻り、机の上の鍵を持つと早々に玄関に向かった。
そして、駐輪場への行くと、いつもの様にコラルロッドに跨った。
エネルギータンクを調べ、減ってないのを確認するとアクセルを開け、そのまま真っ直ぐ飛び出し一路、はじめの家に向かった。
はじめの自宅前に着くと、当の本人はもう準備を整えて家の前で待っていた。
「ごめん、待った?」
「いやっ全然。」
悠呂は、はじめの周りをキョロキョロ見てから
「…まだ、直ってないの?はじめくんのコラルロッド。」
「まぁな。昨日、やっと修理だしたからな。まっ…高校の入学式までには直ってるだろ。」
と言うと、勝手に後ろに跨った。それに何も言わず悠呂は発進の準備をする。
「行くよ。」
と後ろに言うと
「おぅ。いつでも行ってくれ。」
と答えると一気にアクセルを開け、禁止区域へ向かった。
今日の天気は穏やかだった。
顔に撫でる風はしかし、ヒンヤリとはしていたが暖かに降り注ぐ太陽が、それを打ち消してくれるようだった。
「なぁ?」
と声を掛けたのは、後ろからだった。
「お前、なんであそこがそんなに気になるわけ?まっ…俺も気にならない分けじゃないが…。」
その質問に、少し間があった。
「…僕も…良くわからない。ただ、漠然と感じたんだ。」
「感じた?…何を?」
「…わからない。」
「はぁ?わかんねぇのかよ?」
「…わからないから、また行ってみたいんだ。」
と静かに答える悠呂の背中を見て、はじめは軽く息を吐いた。
「へいへい。あんまし興味を抱かない悠呂ちゃんが珍しいこと…とことん付き合いますよぉ。」
と茶化してみたが、いつものように食いついて来ないので、不思議に思った。
とりあえず読んでいただいて、どこがどう面白いとか、面白くないとかご指摘でもかまいませんし、ただの感想でも構いません。メッセージお待ちしております♪