最終話-①
大変長らく、ご無沙汰しておりました かなりブランクがあいておりますので読みづらい文章になっているかと思います
それだけご了承いただければと……
爆発の影響で天井からは瓦礫が雨のように降っている いまだ爆発や振動は続いている
人の気配のない廊下を悠呂と星羅二人はゆっくりとした足取りで歩いていた
悠呂の息づかいは依然として深く、支えて歩く星羅の歩みも重くなっていた 何もなければすぐにでも外へ出られるのだが、爆発の影響もあって通れる廊下に限りがあり、先から遠回りを余儀なくされている
重傷の悠呂の体力は徐々に削られて星羅が支えていなければ歩くのも困難だ、少し休ませてやりたいがここが崩れ落ちるのも時間の問題なのだ そんな状況から星羅は足を止めることが出来ずにいた
地上に近い方へと道を選び歩いてきたが果たしてこの道であっているだろうか?そんな不安を思い起こさせるほどにこの地下研究所は無惨な有り様をさらしている
辺りが静かになると二人の息づかいだけがして、それが余計に不安を掻き立てる
そば近くに荒い呼吸を感じて星羅は支える体を気遣った
「大丈夫? しっかりして! もう少しよ」
その声掛けに悠呂がちからなく頷くのを見て星羅は支える体を担ぎ直し力強く歩みを進める
その先では電灯が所々壊れ、唯一残った電灯が心もとなくついたり消えたりを繰り返している
その廊下を歩きながら星羅は何かの匂いに気がついた……
良く嗅いでみると鼻につんとくる薬品の匂いだ この匂いがしてくるということはあの倉庫が近い、倉庫の一角が無事ならばきた時に使ったあの隠し通路が使えるかもしれない……
星羅は少し安堵したすると自然に足が早まった
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その頃、倉庫から地下研究所に潜入した浅乃木と清両人は倉庫の扉に苦戦していた……
どうやら、この震動により自動扉が壊れ半開状態になっている その隙間から中をうかがうが、人の気配が感じられない 片手一本分に開いた隙間をどうにかこじ開けようと浅乃木は手を力を込めてりきむがびくともしない、諦め手を抜くとすぐ横から細長い鉄板のようなものがあらわれ隙間に収まる
「おい、これどうした?」
後ろを振り返り訊くと清は口角を上げて笑い自身の背後を指差して応える
「ここに腐るほどありますよ」
指差した場所には荷物がすべて降ろされ箇所があり、その棚の一部の天板が外されていた それを見た浅乃木が感心した声をあげ
「ふっ……お前にそんな力があったとはな」
と茶化した
「あ、先輩、俺を見くびりましたね?」
「………お前は頭でっかちで体力のないもやしっ子だと思ったがな」
「もや……ふ、ふん! 好きに言ってて下さいよ! それよりこれ、手伝って下さい」
やれやれと言ったかんじで浅乃木は清を手伝った
二人の力が加わって扉は軋みながら少しずつ開いていく 人がひとり通れるくらいに開くと浅乃木が先に中へと侵入した 清もその後につづく、扉から出るとそこは廊下の途中で左右には奥につづく長い廊下があり壁は白くて所々に何かの部屋だろう扉がいくつもある
浅乃木と清はまわりを気にしつつ、部屋をひとつひとつ開け中を確かめていく、しかしどの部屋も誰もおらずもぬけの殻だった 脱出したのか、はたまた地下へ潜ったのか
「おい!! 清、そっちはどうだ?」
だが、期待した返事はかえってこなかった 廊下の先にはひとつの扉、奥につながっているらしい………
浅乃木と清はお互いの顔を見合わせ、その扉に手をかけた--
扉はこちらも壊れていて自動では開かず、二人で力任せにこじ開ける 開いたその先は今までいた場所と比べものにならないほど崩壊していた
「こりゃ、また………」
浅乃木も清も呆然とする
「想像以上の崩壊ですね………これは、早く悠呂くんたちを見つけて脱出しなきゃ俺ら共々生き埋めですよ」
そう言って清は先に入り、道を作るため瓦礫をよけ始めた
浅乃木も全くだと呟いて清に倣う
何分、何時間この作業をしていたのだろうか 浅乃木はふと自分たちがつくった道を振り返る
入ってきた扉が遠くに見えた 額の汗を拭い、違うほうへ行った清の背中に呼びかける
「おーい! 下につながるような道は見つかったか?」
数秒おくれて、いいえという応えが返ってきた 仕方ないので違う道を模索しようとしたその時、どこからか物音がした
「おい! 清!! こっちだ!」
清を呼び戻し、物音がした場所を二人は探す
何やらくぐもった女のような声がどこからかする 二人は手当たり次第に瓦礫をどけ小さな隙間の開いた岩をみつけた
その岩に挟まる小さな隙間の上の石は大き過ぎて二人ではどうしょうもなかった とりあえず岩の向こうの相手へと浅乃木は声を掛けてみた
「おい! 誰かそこにいるのか?」
相手は自分たちの存在に警戒したのか応えなかった
構わず浅乃木は続けた
「おい! どうした! そこにいるのか?」
返答はやはり返ってこなかったが相手が身動きしたのがわかった しまった逃げられたかと思った瞬間………
「おじ…さま………?」
と相手が反応した、この声は--
「ん? その声は、星羅お嬢様か?」
また身動きしたのがわかる、どうやらあちらはどこからかの穴でこちらが見えるらしい………
「君がいるということは、悠呂は? 悠呂は一緒にいるのか?」
一瞬の沈黙があった 浅乃木は嫌な予感がした
「おじさま!! 悠呂が………悠呂が」
彼女の切迫したその声音が予感を的中したのだと浅乃木は思った………信じたくないという思いが一瞬言葉を詰まらせる、しかしまだ希望があるかもしれないと縋る気持ちで星羅に問いかける
「悠呂が……どうした? そこに…星羅お嬢様の傍にいるんだな?」
できれば次の言葉は聞きたくなかった……が、星羅が涙ながら告げる
「悠呂が…悠呂が……息を…息をしていない………」
その言葉に浅乃木は目の前が真っ白になり、次の言葉が出てこない
それを見かねた清が瓦礫の向こうの星羅に悠呂の状態を聞いたあまり良くないようで星羅の嗚咽だけが聞こえる
清は彼女にしっかりするように告げると的確に心肺蘇生の手順を教えた
心肺蘇生をそのまま続けるように告げると清は足下で意気消沈としている浅乃木の背を思いっきり叩いた その拍子によろけながら見上げる浅乃木に清は強く言った
「先輩! 何年この仕事してんです! こうなるだろうことは予想できていたはずでしょ! しっかりして下さいよ! 何のためにあのドロ目刑事から外れてまでここに潜ったんすか!」
真剣な強い眼差しを向けられながら浅乃木は掠れた声で応えた
「………あぁ」
「生きますよ! 先輩は俺と違う方向へ! 絶対、二人を助け出しましょう!」
今度は強く肩を叩かれ浅乃木は顔を引き締めた
力強く走り出した清の背中を見送りながら、立ち上がるとその背中とは反対に浅乃木も走り出した