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僕達が生きる明日へ  作者: 愁真あさぎ
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第五十五章

死に関わる表現等があります、決して真似などしないようお願い致します。

 


ーー近くで何か音がする。とても重くて冷たい音。それにひやりとした感覚を額に感じる。



……微かだが誰かが呼ぶ声もする。



とても悲しそうな声……。


なんだかその声を聞いていると、この暗闇から早く抜けださなければならない気がする。


 儚げに聞こえくる声に意識を集中して、抜け出そうと試みてみるが、しかし、抜け出すどころか肩の辺りがじりじりと燃えるように熱を帯びてくる。その感覚が少しずつ皮膚を射抜くような痛みに変わり、悠呂は暗闇からゆっくりと目を醒ました。


ぼやける視界にまず映ったものは、額に冷たい感触のする黒く光るものだった。


この黒光りするものが、暗闇の中で聞いた重く冷たい音なのだろうと、ぼんやりした思考で思う。


すると、聞き覚えのある声がどこからかする。悲しそうな、少女の泣く声が今度ははっきりと聞こえる。


どこだろうと鈍く首を巡らすと、少し離れた場所に二つの影が見える。 ぼやけた視界では良く捉えられず、目に力をいれる。


見えたひとつの影に見覚えがあった。



ーー星羅? どうしたの? 何故、泣いているの?



 雲の上にいるかのような感覚と思考に酔いそうになる。瞼は重く、再び閉じよと命令してくるが、これに従ってしまうともう二度と開けることができなくなるような気がして、悠呂は必死に閉じようとする瞼と闘う。


そこへ、男性の低い声が聞こえた。



「ふっ……撃たなくとも放っておけばそのまま逝きそうだな」


その声は間近に聞こえる。


声の元を探して、視線をさまよわせると、真正面に男の姿を捉えらた。


涼しげで、蔑むように自分を見下ろす男。


そして、さっきから額に感じる冷たい物がしっかりしてきた視界にはっきりと映る。


その正体は、数分前に自分の肩を射抜いたあの銃だ。

 悠呂は、弾かれたように身を引いた。



「どうやら、お目覚めのようだな? 幼き侵入者よ」


皮肉を含むその低い声は、どこまでも冷たい感じがして、人を殺めることなど一切厭わぬ口振りだ。



「……おとっお父様。 やっやめて」


星羅の緊迫した声がして、悠呂は慌てて星羅の方へ振り向いた。



その光景に我が目を疑う……。


今にも星羅の首に手をかけようとする、アスラビ・尾崎の姿ーー。


「やっやめろぉ! 」


無意識に体を動かしたが、動くことができない。


「!? 」


そこで初めて自分の胸倉を相手に掴まれていることに気がついた。


「はっ……離せっ! 」


掴む手を剥がそうともがくが、びくとも動かない。


「……! 」


「ふっ…どうした? もう諦めたのか? 」


村瀬は小馬鹿にしたように口元を歪め、挑発をしてくる。


「くっ……」


悠呂は眉根を寄せ、相手を睨む。

村瀬はそんな悠呂を鼻で笑うと、彼の胸倉を引き寄せ耳元でこう呟いた。


「君は……なぜ、そう必死になる? 」


「……」


「まさか……星羅お嬢様に気がおありかな? 」



その質問に動揺し、顔を赤らめると悠呂は男から顔を逸らした。


「図星か……」


 村瀬は高らかに笑い、すっと表情を消すと悠呂の胸倉に力を入れ、服で気管を絞め始めた。


「うぅっ……」


キリキリと絞め上げられ苦しくなる。



「君は、どうやらとんだヒーローごっこをしてしまったようだな」


男の力はどんどん強くなり、宙づりの形で気管を締め上げていく。


「かはっ……」


「ヒロインを助ける為に単身、こんな所までやっきて……しょうのない坊やだ」


 悠呂は、この男の拘束からなんとか逃れようともがいてみるが、その力は尋常ではなく、段々と意識が遠のいていく。


ーーくそっ……。



『悠呂! 』


遠のいていく意識の中で、聞き覚えのある声がした。


『おいっ! 悠呂! 何やってんだよ! しっかりしろよ! 』 


『ほんっと、お前って弱々なのな』



ーーはじめ…くん?


『なんだよっ! 悔しかったら巻き返してみろよ』


『お前、負けたまんまで悔しくないのかよっ! 』


ーーえっ?


『意地を見せろよ! 意地を! 』


ーーわっわかってるよ。


『わかってるよって、そればっかかよ。 ほんっとお前、口ばっかなのな』

ーー違う!


『違うんなら、態度で示せよ! 男だろっ! 』


ーーうっうるさいなぁ。



『お前、やる気あんのかよ〜! 』


ーーうるさい!


『お前、負けたまんまかよ! それで、また逃げるのか? 』


ーーうるさい!黙れ!




「ふんっ……終わりだな。 呆気ない…ものっ…ぐあぁっ」


気管を圧迫する手の骨が軋む音を立てる。


「ぬぁっ……に…」


その尋常じゃない力の持ち主は、ぐったりと俯いているのに村瀬の手を剥がそうと動いている。



 村瀬は堪らず、彼の胸倉から手を離した。



 拘束から解放された悠呂の体は、床に崩れ落ちると、不足のものを一気に肺に取り込んでむせた。

「がはっ…けほっけほっ」



村瀬は、折れそうになった手をかばいながら顔を歪める。


「くっ……しぶとい小僧だ。 あのまま絞め殺されればよかったものを! 」


村瀬はおもむろに、銃口をこちらに向けた。


悠呂は肩で息をしながら、照準を合わせてくる相手を睨みつける。


 何かが空気を割く音がして、悠呂は重たい体を横に避けると先までいた辺りの床に一筋の黒い線が入った。


 続けざま、村瀬はレーザー銃を撃ってくるも、悠呂は間一髪のタイミングで右へ左へ転がり、躓きながら避けた。



「はっはっはっ…避けるので一杯一杯といった感じだな」


わざと外しているのか、高らかに笑いながら容赦なく打ち込んでくる。



ーー一瞬、タイミングがずれた……



 悠呂の頬に赤い筋がつく。


「タイミングが合ってきたかな? 」


村瀬は不気味に口角を上げた。


その表情に後退りしながら悠呂は、村瀬の隙を窺う。



 しかし、先程の首への圧迫で酸欠なのと銃撃から逃れる為に動き回ったせいか、これ以上体が動きそうになかった。


ーーどっどうしよう? もう、体力が……。


村瀬は一歩二歩と銃口を向けながら、近づいてくる。


それに合わせて悠呂も一歩二歩と下がる。



「や……めて……」

苦しそうな星羅の声がして、悠呂は慌ててそちらに視線を向けた。


星羅の細い首に、アスラビ・尾崎は手をかけている。


「!? 星羅っ! 」


「よそ見をしていていいのかな? 」


はっと我に返り、村瀬に視線を戻すと再び、自分に照準を合わせてきた。


 後退ると、何かが踵に当たった。


「!? 」


村瀬に気付かれないように、視線だけを足元に遣ると数時間前に弾かれたあの銃が、妖しく黒光りをしている。


 まさに好機が訪れた。しかし、あの男に気付かれないようにしなければ……。

 悠呂は嫌な汗をかきながら、村瀬を睨みつけた。



期間を置かず連投稿ができたのがちょっと嬉しいです♪


えと、小説書きというのはプロでもバンバン構想が出てきて書いていると思われがちですが、実際はそうではありません♪ やはり、波があるそうです。全く出てこなくて一年なんて方もいるらしいです。そんな情報を聞いて、改めて執筆というものの難しさを知りました。 まぁ〜文法も怪しい、素人が語る話ではなかったですね汗 次回もお楽しみに☆

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