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僕達が生きる明日へ  作者: 愁真あさぎ
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第四十四章

 アジュラーチ村瀬は、警備兵舎のあるブロックへ急ぎながら研究員ロッヂ武田の話を聞いていた。

「…それが、思いもよらない情報でして…。」


「ふむ。」


「警備兵の中に裏切り者がいて、ここの情報を外に漏らしているというんですよ……。」


その話に、村瀬は眉を寄せてロッヂ武田にチラリと目をやり口を開く

「その情報は確かか?」


少し、間があったがロッヂ武田は『はい』と答えた。

 村瀬は眉間の皺をさらに寄せて、先を急ぎながら思った。

(…何故だ?…何故今頃になってこうもボロが出る?……警備兵の中にいたというのか?スパイが…。)


無言でズンズン進んで行く村瀬を見て、ロッヂ武田は威圧感を感じていた。


「それで……っ。」

と村瀬が振り向いた時だった。


『うわああぁぁっ!!』


「!!??」

と村瀬はその場に足を止めた。

武田も聞こえたのだろう、足を止めて声をした方を振り向くとすぐに村瀬の顔を驚愕したような表情で見た。

その視線に村瀬は軽く頷いて、先程歩いてきた第五研究所の方に目をやった。

人気のないガランとした廊下……。

もう一度、武田に目をやると彼は静かに頷いた。二人は向きを変え、もと来た道を戻り始める。なるべく靴音を鳴らさぬように……。



 第五研究所前にさしかかり、アジュラーチ村瀬はロッヂ武田を右手で制すると彼も村瀬に信頼を置いているのだろう大人しく従い、そこで歩みを止めた。

それを確認した村瀬は一人、静かに研究所の前に移動した。壁に背中を預け、腰のホルスターから小型ショックガン(※ここの設定では、相手を電気ショックで気絶させる…いわば警棒のような役割の銃)を抜き顔の前で構えると、研究所のドアの開閉ボタンにゆっくり手を伸ばした。

プシュッとエアーが抜ける音とほぼ同時に、ショックガンを持つ手に左手を添えて、臨戦態勢で銃を構え扉の前に立つ。

 構えた先、研究所の中は薄暗く何も見えないが村瀬はその闇に目だけを動かし、侵入者を探す。

 その場は気配を感じないので、ショックガンを顔前に構え直し慎重な足取りで部屋の中に踏み込んだ。 

目だけは忙しなく闇の中の侵入者を探す。外では不審者が研究所から飛び出て来ないかロッヂ武田が目を光らせている。

 村瀬はわざと明かりは点けず、そのまま奥へ警戒しながらゆっくり進んで行く。

実験室の入り口にさしかかり、再び壁に背中を預けてそっと中を覗き見る。試験管の中の液体の明るさで、中がある程度見えるが怪しい人影は見当たらない。

村瀬は壁から背中を離すと、顔前にショックガンを構えたまま実験室の中に入った。辺りを窺いながら部屋じゅうを見て回る。何かに躓いてとっさに銃を構えたが、それは床に散らばった資料や本の山だった。

すぐに銃を顔前に構え直し、何か盗まれた物はないか色々と調べてみるが特に異常はなく、奥の試験管環境制御室に行こうとした足が止まる。クローン精製試験管の前の床の一つに目がいった。


「!?」


そして、無言でゆっくり視線だけを試験管環境制御室の扉にやる。

近付こうと一歩足を踏み出した時。


「たっ隊長ぉ〜!大変ですっ!」


ロッヂ武田は中に入ってくるなり大声で村瀬を呼んだ。


村瀬は眉根を寄せて振り返り


「何事だ?」

と聞く。するとロッヂ武田は、ズレた眼鏡を直しながら肩で息をして


「おっ…お嬢様が…せっ星羅お嬢様が帰ってきました!!」

「何ぃ?それは本当か?」


と聞き返すとロッヂ武田は何度も頷いて

「はいっ…さっき研究員の一人が知らせてくれました!」


その報告に驚いたが、試験管群の前の床に振り返り、少し何事かを考えるとロッヂ武田に頷いて


「わかった、私は後で行く…お前はお嬢様をお迎えする準備を急がしてくれ。」

「えっ?たっ隊ちょっ…。」


と言いかけてロッヂ武田は止めた。村瀬の表情が固いからだ。


「わかりました…じゃっ先に行ってます。」

と武田は部屋の外に出て行った。

それを見送ると村瀬は、銃を顔前で構えゆっくり試験管環境制御室に近付いて行く。

そして、開閉ボタンを押した。

再びエアーの抜ける音が実験室内に響く。周りを警戒しながらゆっくり中に入る。

中は更に暗く、制御装置の小さな赤い明かりしか見えない。

一歩一歩、警戒しながら奥へ進むと何かが目の前を掠めた。暗闇と一瞬のことなので反応が遅れ、何かがショックガンを持つ手に当たりその衝撃で銃を落としてしまった。


「うっ…!」


銃は重い音を鳴らし足元に落ちたようだった。アジュラーチ村瀬は、冷静に銃を取ろうと屈むと何者かに銃を蹴飛ばされ見失った。


「!!!」


村瀬は銃を取ろうとした姿勢のまま、闇を見据えた。誰かがいるのはわかる。息づかいが聞こえるからだ。


村瀬はゆっくり口を開いた。


「何者だ?……」


(´∀`;)お待たせ致しました♪第四十四章…いや〜またまた気がつけば1ヶ月経ってました…本当に申し訳ない…なかなか次の展開が思いつかず苦労しました…こんな遅筆な私でありますが、最終話に向けて頑張りますので見捨てず応援のほど宜しくお願いします♪※今回は真面目笑

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